• 異世界ファンタジー
  • 現代ドラマ

「この虹色の世界から~」一部完結。裏話、反省点、今後の話

 いえーい。ぴすぴす。めでたい。

 終わりました。四か月弱でしたね。作者視点ではちょうど四か月になります。

 27万字——文庫本換算だと二冊分くらいの文量になりました。少なくない量なのに、最後までお付き合いいただいて、ありがとうございました。

 以下、自分語りです。(6000字あります。自我も強めに出てるので苦手な方はご注意ください)


 まるで続きを書く気が無いかのような言い草をしていますが……無いんですよね、今すぐには。構想はあります。最終話近くで新キャラ出してたし、二部はきっと聖戦編になるのでしょう。いずれは〝魔女の塔〟と〝銀の翼〟の過去編もやるはずです。

 まあいつかは書きます。いっぱい評価を貰えるようならそのいつかが早くなります。その程度のつもりです……。
 ちょっとでも目に留めてもらいたいので完結済み表記にしちゃいます……けど更新再開するつもりはありますのでご安心ください……要は完結済み詐欺です……。いやでもこれで完結って言っても全然大丈夫だし? 一応の完結はしてるのでセーフ。


 作品の内容に触れます。

 五章はそこそこ綺麗にまとまったかと思います。一応、四章までのほとんどの要素を拾えたかなあ。
 アノールとガルが伏線回収纏めをする回とかあったと思うんですけど、あれは後から追加したものです。要らないかな……蛇足かな……と思いつつ、しかし五章が概ね思い通りにいった満足感から、ついつい書き足してしまいました。

 「蛇足とか言うならアノールとレオンの決着からの全部が蛇足だよね」。
 あっ……。
 「ガーレイドとイエグの末路とか興味ないわコイツら魅力ないんじゃ」。
 分かります。分かりますその気持ち。
 なんでガーレイドはこんなに微妙なキャラになったんだろうね。裏主人公かってくらい設定はあるのに。欠点無いからかな。過去編省略したからかな。分からないです。

 話を戻します。伏線回収が上手くいくのも当然といえば当然で、この作品は自分の過去作「カプ厨の俺がお似合いな幼馴染を引き合わせるまでの少し長い話」のリメイクです。一度書いたものをもう一度書き直す以上、お話の流れや構成は洗練されていなければならないでしょう。まあ「カプ厨」は無理やり新人賞単位の文字数でブチ切ってるので、未完みたいなものでしたけれど。

 リメイクを最後まで書き切ったの偉いですよね。(最後まで←???)


 前作からの変更点——再構成したところに触れておきます。

 やはり大きな点は、主人公が変わっていることです。タイトルが「カプ厨が云々」であることから察せられるように、主人公はレオンでした。

 前作は「メインの主人公はレオンだけど、アノールとエールも主人公!」というものでした。多少慣れた読者様なら既に「あっ」とお気づきかと思います。そう、ダブル主人公(どころか今回はトリプル)は初心者がやりがちなミスなのです。視点が飛んで誰の立場で読めばいいのか分からなくなるんですよね。

「は? お前今作も視点飛ばしまくりやないか!」ですって? なんと、お気づきになりましたか……。

 今作ですら四章の半分以上がエール視点だったりしたので、何を言ってんだコイツと言われてもただ首肯するのみなのですが、なんとこれですら必死にアノールに視点を集めているのです。まあ四章はエールとキルリの話なのに決めシーンではなぜか幼少期のアノールが活躍しているという不思議回なので……別かも。別枠かも。そんなことはないか。

 ともかく、今作の主人公はアノールです。他の二人は主人公ではない、という体でやらせてもらっています。
 しかしアノールは元がメイン主人公ではないので、キャラ付けがちょっと強火なんですよね、特に一章が。なので、読者の皆様に置かれましては感情移入できず、応援しづらいところもあったと思います。だというのに最後まで見届けてくださってありがとうございます。

 対してレオンは元々主人公だった以上キャラ付けが弱いので、クルミという強キャラでバランスを取ったという経緯があります。五章まで出てこないけど。

 「じゃあオニクスってなんやったん?」 なんだったんでしょうね。個人戦単位だと扱い辛い以上、一部における出番が最小限だったのは仕方のないことでした。


 主人公以外でのキャラクターの変更について。特にシワスを挙げておきます。

 今回、前作で最強のキャラクターであったところの(キャラ立ちという観点で最強)シワスというキャラクターを三人に分けました。フィオネ、ショット、そしてシワスの三人ですね。

 前作のシワスは、今作でギラフ以外のイヴがやったこと全てを担っていて(あとエールに対するクエスリィの役割もやってる)、それはまあ作品後半の中枢でした。前作でいいところがあったとしたら多分シワスだけです。キャラクター性——性格もまあ、結構魅力的だったんじゃないかな? ちなみにその性格はエールに引き継がれました。逆に、元のエールの性格はフィオネに引き継がれています。

 なぜ彼女を引き裂いたかと言うと、これには海より深い理由が——無いです。なんとなく作品世界が狭く感じるなーと思ったので分けちゃいました。設定過剰だったんですよね。結果、イヴはみんなそこそこいいキャラになったと思うので、結果オーライです。


 他にもほとんどのキャラクターに変更——キャラクター性の統合、分解、配置換え——が為されました。

 ガーレイドの女装設定は他のキャラから移したものだし(移行元のトクワというキャラクターは消滅し、役割は現在のアスキアが継いだ)、元々ガーレイドにいた二人の従者(タクンとドール)は、それぞれイエッタとドミエンナになりました。

 今挙げたのは、一応それなりの理由がある面々ですね。キャラクター性の補強と出番の先行のために、他のキャラと統合した例がガーレイド。展開の都合で魔女のメンバーに変換されたのがイエッタとドミエンナです。

 前作ではガーレイドは魔女と全面的に協力しているキャラでは無かったんですよね。別の勢力だったんです。なので彼個人の戦力が必要でした。しかしこれを魔女と最初から協力関係にある、とすると、彼の従者だった能力者枠を魔女にできるんですよね。これでキャラクターを紹介する展開の圧縮になります。

 更に深堀りすると、実は元々、前作の戴冠式決戦には〝銀の鶴翼〟勢力がいなかったんです。アノール(ガーレイド)側、エール側、そしてムクル(ギラフ)側の三勢力でした(実際にはガーレイドにアノールとは違う思惑があって、スラアギ側という追加勢力も突然現れるので、それはまあ複雑だった)。
 自分はこれを美しくないと感じていたので(トリプル主人公を謳っているのに一人欠けていることに対して)、今回の最終決戦にはちゃんとレオンも登場させようと思いました(今作はトリプル主人公を謳ってはいないので矛盾していますけどね)。となると勢力が増えすぎるんです。今回は三勢力に絞ろうと思いました。
 なので、ガーレイドを魔女勢力に取り込むという措置が行われ、更にギラフたちイヴはショットの設定を搦めて盤外に弾きました。スラアギにも早々に帰ってもらいます。おかげでかなり分かりやすくなりました。

 最終戦から逆算して構想してるってことですね~。そこまでの20万字の間に起こる戦闘は結構行き当たりばったりで書いてたところがあります。


 あと、レオンの能力とかは前作のものから全くの別物になりましたが……これは別の過去作小説「モルガナは自分のことを語りたい」の一章ボスであるところのモドリドリというキャラクター(敵モンスター)の能力を再利用したものです。
 「モルガナ~」はダンジョンでモンスターを倒す的な作品なんですけど、敵モンスターがみんなSCPじみた能力を持ってる——といった作品です。このモドリドリ自体がそもそも「キング・クリムゾンを過去に遡る形で再現しよう」としたものなので、まあ最強寄りの能力ですね。
 前作のレオンの能力はちょっとピーキーだったので(主人公だったし強くしすぎるのも、という意図があった)、今回はもっと万能で最強感あふれるこの能力にしました。やってることはキンクリ&エピタフで、効果時間中の攻撃もできるってやつなので、まあ相当強いです。でもキンクリと違って効果時間中の無敵は無いんですね。そういうバランスです。


 逆に性格も役割も全く変わっていないキャラもいます。エールを除いた一章組の全員です。逆に、一章以外が初登場の人物はほとんど新キャラのようなものでした。
 一応エリカとかも変わってませんが、コレはどうでもいいよりのキャラなので割愛しましょう。
 ガル、ヨルノ、ギラフだけ特筆しておきます。

 ガルは言うまでもなくこの作品の根幹です。策謀キャラとかいう無謀な(笑)キャラ付けだったんですが、説得力がありましたでしょうか?
 皆様に策謀キャラを書くコツをお教えすると、ご都合に見える展開を全てそいつの思惑通りにすることです。プロットを俯瞰したときオチの説得力が足りないと思ったなら、ちょこちょこエピソードを足して(今回で言うなら vsストロベリー回)、適当に思わせぶりな発言をさせておくのです。そしたらほら、なんかいい感じ。
 ストロベリーは当初の構想にはいないキャラだったんですよね。元々、城壁はアインのハサミで壊す予定でした。
 もう一つのコツは、ともかく話を複雑にすることです。……が、これは諸刃の剣なのでお勧めしません。それについていく主人公を賢くしなきゃいけなくなります。アノールより一枚賢いレオンとか天才設定のキルリ(天才キャラも策謀キャラ並に無謀)辺りはそこより上の次元に行って、ガルは更にその上をいかなきゃいけないわけですからね。四六時中ずっと小説の構想を考え続けられる人にはお勧めです。自分は一度書いたものの書き直しだったのでギリ致命傷で済みました。

 ヨルノはずっと温めてきたキャラクターで、あまりこれといってモデルらしいキャラはいないかなと思います。独自性に自信アリ。一部は彼女のための物語だったと言っても過言ではありませんね。序盤からずっと引っ張るフック役で、最後も結構綺麗にまとまったと思います。
 一章では狂言回しをやっていたんですが、後は落ち着いてヒロイン仕草に努めるので、意外に思われたかもしれません。拍子抜けとすら思われてるかも。二章以降のトリックスター役はギラフ、もしくはレオンなんですよね。

 ギラフは容姿がまるきり某探窟家の白笛です。パクリ筆頭。ただ性格は全然違って、一般人寄りの感性を持ったキャラです。能力もそんなに強くないですしね。トリックスターをやるには力不足な感も否めないのですが、なんとか頑張って物語を引っ搔き回してもらいました。なんだかんだ三勢力のトップを張れる存在感はあったでしょう。
 こう思うと、三勢力のトップはそのままなんですね。
 そこそこに仕事優先、そこそこに目的優先で便利なキャラでした。


 満を持して、反省点を纏めます。主に二つです。

 一つ目、主人公アノールです。主人公仕草が少ないし、ちょっと応援しづらい。序盤が顕著ですね、後半から落ち着くんですが。これは上で挙げた、元からのキャラ設定の問題があるのと、キャラ立ちを急いで過激な発言をさせた結果というのがあります。
 キャラ立ちなんて時間がかかるものなので、ちょっと急いだところで焼け石に水だったなあと今は思います。

 二つ目、二章です。脱落率75%を誇ります。逆にここまで読んでくださっている方は、割と最後まで読んでくださっているんですね。脱落率だけで言えば一章も二章に匹敵するんですが(66%くらい)、これは最初であることを踏まえれば十分高い数字と言えるでしょう。
 二章の何がダメだったか。これはいくつかあると思いますが……ストーリー展開が一気に遅くなったことが主要因にあると思います。二章前編なんてメインストーリーに直接関わりませんしね。完全にストーリーが一旦途切れています。一応、全体を眺めて見ると必要な話だったと分かるのですが、前から読んでてそうとは分かりませんからね。

 もう一度書き直す機会があるなら、特に二章に大幅な変更を加えると思います。それ以外はまあ、あまり気になっているところは無いですね。強いて言うならイエッタ、ドミエンナのキャラがちょっと弱いかな? もう少し強気なキャラ付けした方が良かったかもと思っています。


 最後に、影響を受けた作品について。実はこの作品はほとんどとある作品のパクリです。今作まで至って結果的に要素の抽出くらいに収まりましたが、「カプ厨」の時点ではもう丸パクリでした。

 自分が強く影響を受けたのは、ブランドン・サンダースン氏の『ミストボーン』シリーズです。アメリカで2006年から刊行されたもので、日本ではハヤカワ文庫から出ている翻訳版を読むことができます(シリーズ全九冊)。

 公式の紹介分が以下になります。
『空から火山灰が舞い、老いた太陽が赤く輝き、夜には霧に覆われる“終の帝国”。神のごとき支配王が千年のあいだ統べるこの国の底辺には、スカーとよばれる卑しい民が存在した。盗賊団の少女ヴィンは、とるにたらぬスカーとしてひっそり生きてきた。ある日、腕に凄惨な傷をもつ男に見いだされるまでは——金属を体内で燃やし、不思議な能力を発現させる盗賊たちの革命を描き、全米でベストセラーとなった傑作、ついに開幕』

 はい。ヴィンちゃんは間違いなくエールです。この盗賊団、〝魔女のよすが〟です。支配王って奴が中央教会ですね。あらすじを見るだけでパクリであることが分かるかと思います。
 え? 中央権力に革命起こすファンタジーくらいならいくらでもあるって? いやいや、読んでみてください。もう、細かいディテールが本当にパクリなんです。ヴィンちゃんが舞踏会に潜入して王子様と仲良くなる展開とかもうそのまんますぎ。

 とはいえ原作はファンタジーの重厚さの次元が違うんですけど。全米でベストセラーらしいですから、それはまあ当然です。
 原作は意外にも能力バトルの節があって、十種くらいの能力系統があり、それぞれ生まれつきで使えるものが違うといった趣です。主人公のヴィンは全部使えるんですけど。じゃあ能力バトルじゃないじゃんって? そうかも……。

 今後の「この虹~」の展開もこのシリーズをなぞっているところがかなりあります。ガルの元となったキャラクターもあからさまにいて、最期はかなり近い末路になる予定です。つまりなんとこのシリーズを読むと、先の展開が分かるんです! 図書館で借りれますのでね、読みましょう。


 「この虹~」についてはこのくらいなのですが、次に投稿する作品について一言二言語らせてもらおうかなと思います。

 次に上げるのは、過去作「魔法学園フレニアロサイト」の要素を再利用したものになると思います。これはまあ冗談抜きでつまらない作品で、しかも完結を待たずに更新を投げてしまったという忌み子です。これのテキストを再利用したものを書こうかと思っています。まだ何も書いてないんですけど……。


 以上となります。

 では——長々とお付き合いいただきありがとうございました。改めて、「この虹色の世界から〝神〟を盗めるまで」を読んでいただき、ありがとうございました。もし気が向かれましたら、次の作品を御贔屓していただいたり、過去作「モルガナは自分のことを語りたい」なんかも読んでいただけると、嬉しいです。

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する