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「こんなに月が綺麗なのに~」完結の話。感想とか反省点とか

 やっちい~(気さくな挨拶)。こんにちは、うつみ乱世です。作品完結振り返りノートの時間です。

 製作期間について。
 このノートを書いているのは8/15なんですが、作品自体が完成したのは8/9です。作品を書き始めたのがいつかというと、これがまたはっきりしていなくて、少なくとも6/1、前作を書き終えた翌日以降になるのは確定です。実際のところは一週間か二週間くらい空いたかな。なので、製作期間は概ね2か月、くらいかなと思います。11万字を2か月で書いたなら日割り1800字くらいになるようですから、まあ、こんなもんですかね。

 文字数について。
 前作は書き終えたときWordページ換算129ページでピッタリだったよ~みたいな話をしたのですが、今回はそれほど上手くいきませんでした。122ページくらいだったのかな。少なかったんですね。そもそも何ページが理想だったかというと、新人賞基準で130ページです。9月末で出すつもりのガガガだと150ページまで許されるんですが、他の新人賞への流用も視野に、130ページ前後で終わらせたいな、という気分でいました。
 これまでは文字数を削る経験ばかりだったので、足していく経験というのがあまりありませんでした。122ページから130ページにしようと思うと、まるまる一話以上書けてしまいます。最初から振り返って、細かい掛け合い、主人公の内心描写などを追加していったとしてもまだ余ります。それで僕が何を書いたかというと「vs 哲学的ラブゾンビ」の國分依舞のセリフです(この回だけ字数が二話分あるのにはそういう背景があります)。國分が言い返すパートは元々存在していなかったんですよね、炉端の長台詞も現在とは少し違う雰囲気でした。そうと知って見てみれば、あそこは無くてもいいというか、浮いているのがお分かりいただけるかと思います。話の流れもちょっと不自然ですしね。
 今回詰まったところは……あるにはありましたね。何週間も放置するということは無かったかと思いますが、日割り500字すら書けないところはあったと思います。章冒頭を始めとした、場面が大きく変わる部分は、書くのがなんとなく嫌でモチベ上がらないんですよね。場面と配置さえ整えばスラスラ書けるんですけど。

 ここから内容です。ストーリの構想、舞台設定、出来上がったもの、みたいなことを語るかと思います。軽く浅く振り返って行こうかと思います。(触れすぎるとボロが出るので)

 今回はストーリーやテーマに合わせて舞台が設定されたわけではなく、舞台設定を先に思いついて後からストーリーやテーマが出来る、という形になりました(僕はいつもそうなんですけどね)。「机の中の交換日記」、まずはここから。夜間定時制の人間と全日制の人間がやり取りをすることになる……となるとやはり価値観の違いを描くことになるんだろうな……。これが自然な流れですし、一章はまだその構図が機能していたかと思います。
 本来理想的な形は、夜サイドの人間たちだけでは行き詰っているところに、昼サイドからヒントが出る、みたいな形です。ですが問題は二章ですぐに表出しました(僕はプロットを組まずとりあえず書いてみるタイプです)。
 夜サイドの登場人間だけで話が回せてしまったんですよね。夜サイドだけでサイクルが完結しているというか。問題発生から解決までに昼サイドが出てくる必要が無い。加えて設定上の欠陥——昼サイドとやり取りするのに物理的な日数が経過する——がとにかくやりづらかったです。例えば二章終盤は一日二日の話ですので昼サイドの出る幕がありません。これが普通のボーイミーツガールで、ありがちなミステリアス女がヒロインだったなら、保健室の前後や水壺戦の前後で主人公になんか声をかけたりできたんでしょうけどね。
 まあともかくやりづらかったです。それに対して僕が取った解決策が……ありません。ただ「やりづらいな~w」と思いながら書いていました。昼の女は物理的な干渉も(ほとんど)できませんからね……やりづらかったですね。

 テーマについて。この作品のテーマってなんだったんでしょうね。うーん……若者に訴えかける雰囲気ではありますが。テーマっぽいものはちらちら覗いていたものの、一貫したテーマはない気がしますよね。
 テーマという括りで捉えようとすると少し頭を捻ることになりますが、メッセージは分かりやすい気がしますよね。ね。素敵な哲学を持とうねとか精神的な自立は大事だねみたいな感じです。こういった、作品を体現するセリフをよく分かんないキャラに言わせるのが僕は好きです(>亜港先生)、逆張りオタクなので。

 そろそろキャラクターを語ろうかと思います。主要人物は五人。

 主人公、望月倫斗。
 ありがちな口調のありがちな男でした。色んな人たちに振り回されて大変だったね。ちょっと鼻につくところもあるけどポンコツ描写で許してね。

 メインヒロイン、炉端春夏李。
 よくある不幸なヒロインです。最後負けてて可哀想ですよね(笑)
 うつ病では自然に対して無感動になることがある、という話を小耳に挟みまして、じゃあうつ病の人には「月が綺麗」の告白が全然響かないのかな? という疑問が以前からありました。その疑問がそのまま形になったみたいなキャラクターです。この理屈からとんとん拍子で理屈を積み重ねていって作品は出来上がりました。
 とはいえ結局この女に関してはうつ病ではなかったのかなーと解釈していますが……。
 最後にタイトル回収して勝手にフラれることだけは最初から決まっていました。終わってみれば、この女に「月が綺麗」と言わせるまでの物語だったということがお分かりいただけるかと思います。それに向かって作品を進めていく感じです。
 この作品は個人的に非常に書きやすかったのですが、それはやはりこの女がずっと軸でいてくれたから、という面があると思います。特にこの女が自分から何かをすることはないんですけどね。

 真のメインヒロイン、椎名彩音。
 昼の女(大嘘)。まあこういうオチはありがちな気がします。四章以前から伏線らしきものもちょくちょくあるんですが、教室とかはね、そういうものなのかなって思いますよね読者視点だとね。結果として最終話だけで一気に差し切る印象になっていると思います。これが良いことなのか悪いことなのかは分かりません。
 役割だけ追うと舞台を俯瞰して思わせぶりなことを言い天啓を授ける全知全能の神様になってしまうので、なんとか人間味を与えたいなーと思って書いていたのですが、やりすぎたかもしれません。しおりを配り歩くおもしれー女になっております。

 トリックスターその一。水壺颯兎。
 やりたい放題だったくせに勝ち逃げの雰囲気をかましてる男ですね。小泉がエンジョイ勢かと思いきやこっちこそ真のエンジョイ勢でした。特に背景を語られないのがエンジョイ感を加速させています。
 うーん……あんまり語ることないな。書き切ってますよね。特に問題も想定外もなく、予定通りに役割を終えました。落書き帳が無くなる前後の本文にはミスリードが多すぎて、読者を混乱させたかもしれないなーと思っているのですが、どうだったでしょうか。

 トリックスターその二。小泉八千恵。
 え? 望月を救ったのメインヒロイン共じゃなくてコイツじゃね? こと、小泉さんです。
 本来物語を動かす存在であるところの水壺が二章終盤まで身を潜めているので、二章序盤を持たせるヘイト役が必要とされました。結果生まれた第二のヤベー奴枠です。作品を俯瞰して、二章の瀬戸見姉妹みたいなゲスト枠がもう一組くらい欲しかったのですが、水壺と小泉の二人を捌こうと思うとそんな余裕はなく、小泉がそのまま四章のゲスト枠に収まった……というような感覚です。ゲスト枠、小泉、水壺、あと春夏李。これらの人間を全て描くと二章の長さ(全体の三分の一)になってしまいます。やはりトリックスター二人は過剰だったかもしれません。
 水壺が純然たる敵役であるのに対して、こちらは望月のご家庭事情を雑に解決するという舞台装置でもありました。この作品にはファンタジーなところがたくさんありますが、最もファンタジーな部分は宗教詐欺が起訴されるまでのスピード感だったり。
 この女がこれほどまでに大きな存在感を持つのは想定外でした。与えられた役割の多さとその重大さを振り返ってみればメインヒロイン共を食ってしまうのもむべなるのですが、いざ書いてみるまで自分はそれに気付いていなかったんですよね。だから迂闊に一章丸ごと与えるだなんて事が出来たわけです。気付いてからは反動で三章と五章の出番を抹消しました。ふーっ、危ない危ない。やっちぃー!(憤慨の鳴き声)

 そのほかのキャラは有象無象ですが……。
 特筆に値するのは國分依舞くらいでしょうか。出番の短さに対して役割がかなりキツい(多い)ので、設定主体のキャラクターになってしまうのではないかと恐れていたのですが、意外とちゃんと人間やってた気がします。
 ああ、あと、瀬戸見美咲? 勝手に「罪な男だね」とか言い出して困りました。作品のノイズですコイツ。でもなんかいいポジションに収まった気がするので結果オーライ……なんですかね……?

 月が重要なモチーフなわけですが、モチーフにこだわっていたかというとそんなことはあまりなく、結構テキトーに引っ張ってきていました。ウサギと亀とか、織姫と彦星とかね。深い意味は無いです、読んだままです。
 「望月と炉端を潮汐ロックに例えた以上は、二人の関係が壊れるときは隕石の例えが必要なのかな……」とか、そんなん気にしてるの作者だけですからね。ほどほどに適当にやんなきゃいけません。

 こんなもんでしょうか。以上とさせていただきます。

 次に何を書くかは例によって未定です。何書くんだろーな。現実ドラマちょっと面白く感じたのでまたそれで書くかもしれません。

 では改めて、『こんなに月が綺麗なのに~夜間定時制の俺と机の中の交換日記~』を読んでいただいて、ありがとうございました。もし気が向かれましたら過去作の『Hide Reign〜』とか『若返りの賢者~』とかを読んでいただいたり、次回作を御贔屓いただけたら嬉しいです。失礼します。

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