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日記のあの子3(終)

前回https://kakuyomu.jp/users/usaho/news/16817330660528114269 の続き。

『あの子』の行方。「存在抹消」の方法。幸いにして、私には心当たりがあった。確証はないけれど。普通の人ならたどり着かない結論。

でもその前にお互い、情報が必要だった。あまりに心許ない希望だったから。
私は日記を一層読み込んで、彼女の記憶とを元に考察を深め、彼女は自分の足で、技術で情報を集めて。
できるだけの情報共有をした。お互いに秘匿すべきものが多くて、話せないことは多かったけど。
こんな形で人と関わるのは初めてだったから、内心楽しかった。
お互い奔走していたある日。

「心配のし過ぎは身を滅ぼすぞ」

何も知らないはずの人からの言葉。やっぱりすごいな、そうやっていつも片手間に、無自覚に人を救っているんだろう。こっちは人生かけても救えないというのに。
「それでいいんです」とは言えなかった。

もしあの日記を読んだのが私じゃなかったなら、「もう探さなくていいんだよ」「君が頑張ってるのは分かった。でも、『あの子』は君に普通に幸せになってほしいんじゃないかな」とか言うかもしれない。そんな言葉じゃ救えないのを承知で。

10年続けてきたことを、今更誰かに言われたくらいじゃ止まらないと、実際本人も言っていた。

多分、私のやってることは正しくないし、こんな方法じゃ救えないこともわかっていた。それ以外に出来ることがなかった。
でも彼女はどうせなんやかんや、誰の助けがなくても生き延びる。

それに普通、友達なら「周りの記憶から自分を消していなくなる方法」を探してると知って「手伝うよ」なんて言わない。

「兎蛍さんの好奇心は知ってるから。全部、分かった上だよ」

伝えたら、そんな感じのことを言われた。
心のどこかで悪いことをしている気になっていたから、その言葉はだいぶ助かった。

その後も変わらず、私たちは奔走した。私の頑張りなんて彼女に比べたら微々たるものだったけど。

結論から言って、『あの子』は見つかった。
彼女は「存在抹消」の方法には一旦触れないことを選んだ。

それでいい、と思った。

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