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近況

本来力を入れて書きたかったはずのファンタジーは見る影もない。

正直、自分の表現力に絶望していた。
男は、そんな自分の非力さを、違ったジャンルの小説を書くことで慰めていた。それでも、彼は非力さを痛感するあまりであった。
彼は書くことでしか自分の心を埋められなかったのである。
力が入らなかった。男は渇いていた。少しでもいいから、自分を潤す何かを求めていた。
渇望する欲求が、彼の足を、いや、心を突き動かしていた。
自分に足りないものを求めて、彼は走った、飛んだ、泳いだ、そして、四輪の箱に飛び乗り、足にあるレバーのような何かを踏みしめる。加速する背景が、とてつもない速さで通り抜けていく。
男を駆り立てるものは何なのか、何が彼を突き動かすのか。
刺激が、刺激が足りない。みずみずしい潤いを、力強い血肉を、気を高ぶらせる興奮を求めていた。

紅い雫を器に浸す。骨身のない肉を、葉を茂らせて、白き塊をその手に取ってゆっくりと刃物で切り裂いていく。
やがてそれは、慈悲なき釜戸に放り込まれた。
釜戸の中では、紅き雫に満たされた芳醇な香りを漂わせ、命を乞うように、そいつらは身を踊らせていた。
男は、無慈悲にもその釜戸に火を点けた。
釜戸の中では溶岩にも似た飛沫をあげながら、ただひたすらにその身が柔くふやけ、溶け出すのを待つしかないのである。

それが……チゲ鍋であるということは、彼はまだ気づいていなかった。

4件のコメント

  • 青我さま へ

    ・・・て、チゲ鍋かい!(笑)
    面白かったです( *´艸`)w

    ちょっと遅くなってしまいましたが、8日に頂いたコメントへのお返事読ませて頂きました(^^)
    「由緒あるハイファンタジー」と、嬉しい言葉を頂けて、私は幸せ者です!
    先日、青我さんは私のコメントが励みになっていると書いて下さいましたが、それは私も同じです。
    青我さんから頂くコメントや感想がとてもとても励みになっています!
    私、褒められて伸びるタイプだったみたいです!(笑)(*´艸`*)(笑)

    そして、『RiaOnline -リアの英雄物語-』第三章突入おめでとうございます!
    それから、すみません!
    私、読むの遅くて(;´・ω・)
    まだ物語の最初しか読めてませんm(_ _)m
    でも、少しずつ読み進めておりますので、また、感想を書きに遊びにお邪魔させて頂きます!

    それでは、寒くなってきましたから、風邪にはお互い気をつけましょう!

  • 来ノ宮様

    まさか・・・こんな拙い近況報告をお読み下さる方がいたとは!(失礼

    いえいえw
    ここまでコメント返しが続いた方は初めてですし、とても嬉しく思っております!
    もっともっと切磋琢磨し合いながら、お互い励んで参りましょうw
    そして、続きを楽しみにしておりますので、早めの更新を・・・!(

    ありがとうございますw
    いえいえ、読んで頂けているだけで幸いです!
    実は、小説として形にしたのはRiaOnlineが初なので、拙い文章だと思います。。申し訳ございません。

    また、雑談だけでもぜひいらしてくださいねw
    僕はチゲ鍋を食べて頑張ります(`・ω・´)
  • 青我さま へ

    私の近況ノートにも、いつもコメント下さいまして(人''▽`)ありがとう☆ございます!
    ツイッターでもお世話になっておりますw
    青我さんが反応を返して下さるまで、全く孤独なツイッター生活でした(笑)

    チゲ鍋食べながら頑張って下さい!
    私も、チゲ鍋作ってみようかな。
    旦那が辛いもの好きなんです。
    私は・・・キムチ鍋の方が好き・・・(笑)
  • 来ノ宮様

    いえいえ!
    来ノ宮様にもいつも絡んでいただけていますので(๑•̀ㅁ•́ฅ✧
    僕もお話相手ができて嬉しく思っております!

    よく見たらキムチ鍋でした(笑)
    辛いもの、いいですよねー!
    デトックスされるというか、刺激たっぷりで(
    今日は全く食欲が湧きませんでした(笑)
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