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タンニショウ

毎週末、深夜から早朝は惰眠を貪り倒した卯月が地中から這い出てくるお時間です(どこのホラーやの)。

「ニーチェ」から「えびふりゃー」というようわからん流れで書いてきた近況ノートですけど。これはお若い方にぜひぜひというのがありまして、それについて。

なんでも日本三大美文というのがあるそうで。

日本三大◯◯ってよく聞く言葉。ウィキにも「日本三大一覧」なんてものもあります。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%B8%89%E5%A4%A7%E4%B8%80%E8%A6%A7
昔、アメリカ横断ウルトラクイズってのに参加したくてクイズ知識に貪欲だった時期が卯月にはあります。こういうの眺めるとワクワクする(知り合いにガチのクイズ勢がおりまして、昔のテレビの一般参加系クイズもので予選とか余裕で通っちゃう奴。そいつを見てソッコー諦めましたけど……)。でも、ここには「三大美文」なんて無く。誰が言ってるのか不明ですけどネットでは見るので一応あるのでしょう。

鴨長明の『方丈記』、吉田兼好の『徒然草』は学校で教科書使ってお勉強するし、美文だというのはたしかに分かる。あとひとつが『歎異抄』。大学入試でよく出題されてたアレ。(美文なるものが鎌倉時代にすべて集中していることは興味深い)

この『歎異抄』、卯月は、上の世代のイケてる大人たちがよく勧めていたのを思い出したり。でも、まあ、みなさんもそうでしょうけど「ススメられる」本って却って読む気が起こらなくなることないですか?(でも断るのもアレなんで結局卯月は手に取るのですけど)

まあ、日本史や古典の時間にお勉強したかもですけど、仏教書です。若い方はあの世からのお迎えはまだまだ先のことでしょうから、ふつう興味なんて持つはずもなく。ですけどこれ仏教書のベストセラーなんですよ。書店にいけば『歎異抄』タイトルのものは必ず目にするくらいに。

哲学、文学、映画(脚本?)、まあさまざまな方面に多大なる影響を与えています。有名なのは日本を代表する哲学者の西田幾多郎が、「一切の書物を焼失しても『歎異抄』が残れば我慢できる」といったとか。他にも『歎異抄』があればあとはいらん! って仰る大物は多いようで。

卯月はたぶん梅原猛か吉本隆明で一度気合をいれて読んだはず。

でも、記憶に残ってたのは

「善人なおもって往生を遂ぐ、いわんや悪人をや」

の超有名フレーズ。あと、「悪人正機(説)」って試験に出そうな単語だけ。

そんなジジババ臭がすると軽くみていた『歎異抄』ですけど(卯月は宗教観も皆無だし)、高橋源一郎が【一億三千万人のための『歎異抄』(朝日新書)】が出しているのを発見。源一郎さんがふつうに書くわけねわな、と思い電子版をノータイムでポチってました。

『歎異抄』をここまで読みやすい読み物にしてしまうのか! という感じ。現代語訳のなかに彼のイロイロなものが詰め込まれており。正確には現代語訳ではないけど、まちがいなく一番よくわかる現代語訳でもあり。原文自体は短いのですけど、書き加えられた『歎異抄』についての彼の文章が面白い。これは若い方が読んでも知的に十分愉しめる。

「善人なおもって往生を遂ぐ、いわんや悪人をや」っていうのをこの作品中ではこんな感じで書かれてますね。

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 あるとき、「あの方」はぼくにこういった。

「善人でさえ、死んでからゴクラクジョウドに行くことができるのだから、悪人なら当然行けるはずだ。おれはそう思うんだ。わかるかい、ユイエン」(引用)

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なんか親鸞聖人がイマドキです。ラノベのキャラで登場しそう。いつかは読むべき『歎異抄』ですけど、これなら読めるし、創作家の教養としてならこの本だけでも十分なのではと思います。

巻末には、『歎異抄』の原文もちゃんと載っていて、卯月は「音読」を二周しました(だって谷崎が音読せいっていうものですから……。効果もいまだ感じられずですけど)。

というわけで、日曜の夜明けごろの近況ノートは、卯月のオススメ本でした(まあ、ススメられると読む気はなくなりますけどね!)。

では、みなさま素敵な日曜日をお過ごしください。





2件のコメント

  • え、ちょ、カッコいい……!(なんか美男で脳内再生されました
  • 千織さま
    それ、わかります。かといって、軽すぎもせず。高橋源一郎すごっ。
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