心のエネルギーなるものが少なめ(小さじ少々ほど)の卯月です。
そんな卯月も、なぜか心の感度が高くなりすぎるときがあり、何を読むのも何を書くのも難しくなることがあります。そんなときは詩なんかを読んでこころを落ち着けようとつとめます。
『月夜の浜辺』 中原中也
月夜の晩に、ボタンが一つ
波打際に、落ちてゐた。
それを拾つて、役立てようと
僕は思つたわけでもないが
なぜだかそれを、捨てるに忍びず
僕はそれを、袂に入れた。
月夜の晩に、ボタンが一つ
波打際に、落ちてゐた。
それを拾つて、役立てようと
僕は思つたわけでもないが
月に向かつてそれは抛れず
波に向かつてそれは抛れず
僕はそれを、袂に入れた。
月夜の晩に、拾つたボタンは
指先に沁み、心に沁みた。
月夜の晩に、拾つたボタンは
どうしてそれが、捨てられようか?
詩はそのときの気分や体調、気温・湿度、天候、季節、年齢、いろんな要因で感じ方がちがったりして面白いです。
ひろった「ボタン」に何をイメージするかもそのときどきでちがったり。
カクヨムでなにげに読んだ作品のなんてことないフレーズや一文、誰かさんの近況ノートのさりげないつぶやき。そんなものが卯月のひろう「ボタン」だったり。
まあ、悪くはない気分ですのでよいのですけど。
そんなわけで、今日はおとなしく詩を読みながら出勤にそなえるのでした。
ふう。
では。