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卯月の初心者さんのための短編作成講義の実況中継?③

凝りずに実況中継講義続けますね。

『夕方五時のリズム』が、SF週間65位になってました。

久しぶりのなんちゃってSF作家の卯月です(嘘)。いやいやこれも皆様のお陰でございます、感謝!

短編って上手くいくとこのように週間ランキングなんかに乗りやすいのです(その命は短いのですけど)。逆に長編は簡単にはいかないというカクヨム仕様。ですから、なかなか長編を書きたがらないという流れに。まあ、コンテストありますから。それが長編書きさんたちのモチベーションになってますかね。

せっかくなので、ひさびさのジャンル別比率(2024/06/07時点)を。「ジャンル」「作品数」「割合」です。

異世界ファンタジー 79945 17.39%
現代ファンタジー 54581 11.88%
SF 30373 6.61%
恋愛 55360 12.05%
ラブコメ 30989 6.74%
現代ドラマ 73011 15.89
ホラー 25781 5.61%
ミステリー 13857 3.01%
エッセイ・ノンフィクション 28078 6.11%
歴史・時代・伝奇 9335 2.03%
創作論・評論 4427 0.96%
詩・童話・その他 53867 11.72%
合計459604作品です。

異世界・現代を合わせた『ファンタジー』が多いのはどこの投稿サイトでも同じでしょうか。カクヨムの特徴は『現代ドラマ』の存在感ですね。初心者さんがまずランキングの通知が送られてくるようにしたい場合、数の少ないジャンルで短編でドカンと一発が最も速いです。もし歴史モノとか書けるのならその時点で『能力者』扱いです。ちゃちゃっと書いてランキングを駆け上がりましょう。

『創作論』という鉄板ジャンルもあります。書くのにはちょっぴりの勇気がいりますけど、初心者さんだって書いてOKなのです。カクヨム民たちは創作論を読むのが大好きです(たぶん)。書く人が多いので、他の作者さんが何を考えているのか気になるのでしょう(卯月もです)。書き始めたばかりの人が頑張って書いた『創作論』には、多くの方がやさしく応援してくれる傾向があると思います。歴史も創作論も、それとあとはミステリーでしょうか、書くのが大変そうなジャンルは競合が少なく狙い目です。

でも結局、みんな自分の書きたいジャンルで書くのですけどね。

えっと、第二回は短編と長編の違いを書きましたかね。この近況ノートで扱っているのは二、三千字の短編としては短めのものについてでした。もっと短い数百字レベルの『掌編小説』なるものもあるようですけど卯月は詳しくありません。

ファンタジー長編を書いていてよく思うのですけど、十万字程度では世界は救えません。どっかでこのフレーズは見たことがあるのでよく卯月は使います。卯月的には百万字は必要ないけど五十万字じゃ不安かな

とはいっても、この二、三千字で何も書けないかというとそうでもない。

卯月のこの『夕方五時のリズム』は、主人公の女の子が帰宅して、実家の二階に上がって、お兄ちゃんをベランダから引っ張り込むだけの話。

ですが、ほぼ同じ文字数で卯月の『二年後の流れ星』は壮大な宇宙戦争が書けてしまっています。

『二年後の流れ星』
https://kakuyomu.jp/works/16818093075851144866/episodes/16818093075851202577

同じSFジャンルですけど、不思議ですね。

これには短編小説を書くさいのあるコツが影響しています。以前読んだカクヨム運営さんの円城塔先生へのインタビュー記事が参考になりました。

短編という限られた文字数の中で作品を作り上げることについての質問に、円城先生は「短篇の長さでは全てを説明しきることはできないわけですが、それゆえに自由度の高いところがあり、読者にゆだねるところが大きい」と仰っていました(詳しくはカクヨム内の過去記事を御覧ください)。

この「読者にゆだねる」ことがうまく機能すれば少ない文字数で多くのことが表現できてしまいます。まあ、卯月の独断的な解釈ではありますけど。

『二年後の流れ星』で、アカリが兄を引きずり倒す場面がありますけど、

「あっ!」

 お、お兄ちゃんの顔が近い。この無駄にイケメンな……。

 ええ、みなさんご存知、古典的なマンガやアニメのテンプレですね。兄妹なのでアレですけど。よく男主人公がヒロインの胸を……的なラッキースケベでいまだにどこでも使用されるのでは。この、顔が近い的なのは恋愛、ラブコメ方面のクラシカルなのですかね。書き手と読み手の間で共通理解、知識がある場合は小説の外に放り出せます。読者さんの頭の中でもっともふさわしい場面が作り上げられる。

 こういったことはある場面における「お約束」として、日本人の読み手の常識的知識として複数の型が存在するだろうと。卯月はそれを信じて詳細は省いて放り投げちゃいます。勇気はいりますけど、そこまでのストーリーの流れに乗っかっていただけており、同じような感覚で読み進めておられることを信じることで可能になります。

 このオタク的、いやサブカル理解のある方たちを読者として設定して書き進めれば少ない文字数でもいろいろできてしまいますし。何よりテンポがよくなります。

 もちろん、「何やねん、それ?」的な読者様には不発に終わる可能性が大ですけど、何かを選び取るなら何かを諦めなければならないのです。

 この「読者にゆだねる」という短編小説の肝は、明確な読者設定が必要になるということです。歴史には歴史の、ラブコメにはラブコメの『定式』が存在するのでしょう。それを活かすためのジャンル選択でもあります。といいながら、さっきの卯月作品のはSFの決まりごとではもちろんございません。

『二年後の流れ星』、カテゴリーエラーの可能性も。いや、お兄ちゃんは【宇宙人との交信】をしているし、最後にはどこぞの独裁国家から飛翔体が飛んできますし、SFに違いない、はず……。

 あからさまなジャンル違いは作者としての信用を失いますから皆様、お気をつけください。

 今回はこんな感じで。

 では。


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