わたくし、後悔しておりますの。
なぜあのときに、チャーターしたヘリの代わりに来られた人力車に乗ってしまったのかと。
車夫さまが、あの斉藤タクミ似だったから?
そもそもなぜ人力車?
町内の慰安旅行先である、この富士の樹海に迷い込んでもう何日経ったのかしら……
せいぜい一泊二日の下見旅行だったはずですのに。
車夫さまは本当にこの樹海から、脱出されるおつもりがございますのでしょうか。
わたくし、こう見えましてもサバイバルは得意としておりますの。
ですから食べられる野草などは熟知しております。
ところが車夫さまはわたくしを人力車に置いて、ふらりと姿を消したと思ったら、なんと野鳥を捕まえて戻ってこられたのです。素手で?
火を熾し、塩焼きにして食しましたわ。
人力車には調味料から包丁類、鍋やカップまで積んでありましたの。
この車夫さまは、人力車で生活しておられるのかしら?
夜は焚火に向かって、二人で九九を輪唱いたしましたわ。
意外に面白かったりして。
でも車夫さまは、六の段がちょっぴり不得手みたい。
わたくしは優しく訂正してさしあげました。
車夫さまが毛布にくるまって(ええ、これも常に積んであるとのこと)お休みの間、わたくしはスマホでカクヨムさまをチェック!
やはり栄養不足なのかしら、画面が二重に見えるわ。
まあっ! 拙作「猟奇なガール」にレビューとお★さまが!
長良 黄泉さま、わざわざお目通しいただき、その上レビューとお★さままで!
ありがとうございます!
お読みになるご専門職の、いわばプロフェッショナルなおかたから頂戴できるなんて、つばきはなんと幸せ者でございますでしょう。
嬉しさで胸がときめいております。
元気を注入くださったおかげで、なんとかこれで富士の樹海から脱出を図りま、いえ、新たな創作活動にいそしみたいと思います。