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小説投稿サイトに未来はあるか

調べてみたら、小説投稿サイトは50以上もあるそうです。

大手の『小説家になろう』や『カクヨム』、『アルファポリス』あたりが有名どころですが、ガラケー時代に流行った『魔法のiランド』なんてまだあったんですね。

私はブログ全盛期の2007年頃、今は亡きYahoo!ブログで小説を投稿していました。

当時、ネットでやることは2ちゃん(現・5ちゃんねる)かブログくらいでしたので、業界最大手のYahoo!はユーザー数の圧倒的多さで凄まじいばかりの活気と熱気に満ちあふれていました。

プロ・アマを問わずモノカキを自認する方々が集い、お互いに作品を公開して批評し合う。知らない者同士が和気藹々と交流し、切磋琢磨し合い、じつに有意義で充実した時間を過ごしました。

2010年代に入り、動画やSNSが急速に普及すると、テキスト主体で画像少なめのブログは徐々に衰退し、Yahoo!ブログで小説を投稿されていた方々も次第に更新頻度が減っていき、2019年のYahoo!ブログサービス終了時にはほとんどの方がリタイアされていきました。

あれから5年。

今や「ブログ」もすっかり死語と化し、うっかりブログやってるなんて言おうものなら「え?まだブログなんてやってんの?」「今時ブログって……」みたいな反応をされます。

時代はSNSです。今時の若い人たちは実名・顔出しで仲間とゆるーくつながっているのがいい。どこの馬の骨が書いたかわからん長文なんて誰も読みたくないのです。

ブログに書けども書けどもまーったく反応がない。てか、アクセスが全然ない。社会的影響力を持ったインフルエンサーならいざ知らず、無名の一般人のブログなんてそもそも誰も知らないのです。

SNSで宣伝してもリンクを踏む人は稀です。見やすいレイアウトを工夫し、わかりやすいところにリンクを貼っても、人はよっぽど興味のあることでもなければわざわざクリックなんかしません。

だから、ブログでシコシコ小説なんか書いても誰も読んでくれません。無人島で必死に手紙を書いて瓶に詰めて大海原に流すようなものです。運よく瓶を拾って手紙を読んでくれる人なんていないのです。

で、ブログを諦めて小説投稿サイトに出張するわけですが、投稿直後はバーッとアクセスがあっても反応はなし。数日たつと無風状態。波間に漂うボトルメールなのです。

『なろう』はかなり昔の小説にも定期的にアクセスはあるのですが、『カクヨム』はさっぱりです。過疎ってます。

つーか、今時画像も載せられないのは痛い。なろうは別サイト経由で画像を掲載できますが、カクヨムにその機能はありません。「近況ノート」に画像を一枚貼れるだけです。

今や誰もがスマホでいつでもどこでも動画見放題の時代。画像も動画も載せられず、ただひたすら長文を読まされるだけの小説投稿サイトって……?

そんな中、ある人が「ブログや小説投稿サイトよりnoteがおススメだよ!」というので、試しにnoteに小説をUPしてみました。

noteはログインすれば誰でも簡単に投稿できます。ブログのようにレイアウトを工夫する必要もありません。いたってシンプル。画像も動画も貼り放題です。

投稿直後から「スキ」が付き始めました。投稿から24時間も経過しないうちにコメントを頂きました。フォローもされました。

10000字以下の短編に画像てんこ盛りなので、読者も食いつきやすいのかもしれません。

前回の記事でも書きましたが、現代人は長文を読めません。長くなればなるほど読みません。この傾向は今後ますます拍車がかかると思います。

動画やSNSがこれほど普及したのは「読者の視覚に訴える訴求効果が絶大」だからであり、視聴者はパッと見て興味を引くものしか見ようとしません。

ゴチャゴチャと長ったらしい文章なんてハナから読む気も見る気もしません。そこに写真やイラストが入ると「お、なんやこれ?」と少しは反応してくれるかもしれません。

今後は小説もテキストのみではなく、写真やイラストをふんだんに盛り込んだ「絵本」のような形式が流行るかもしれません。

読者の視覚に訴えかけるインパクトのある画像をどーんとトップに貼りつけて、本文は改行だらけの短文。ササッと短時間で読める5000字前後の短編。

読むのにメチャクチャ時間かかる重厚な大長編なんてのは流行らない。そういうのは確実に廃れていくと思うのです。

難解な長文をじっくりと読み込み、その行間に秘められた含蓄ある示唆に富んだ作者のメッセージを読み解き、壮大な文章にちりばめられた文学的美しさを堪能する、なんてのは今時流行りません。

「今の若者は本を読まない」という嘆きの声をよく耳にしますが、高齢者だって本なんか読みません。みんな目も腰も悪くなり、長時間椅子に座って正しい姿勢で読書を続けるなんて苦行でしかないのです。

ベッドに寝っ転がって読むのも疲れます。重たいハードカバーの分厚い本なんて寝たままじゃ読めません。首も手もしんどい。読んでるうちに眠くなってきます。

超高齢化社会の日本で本を読む奇特な人は確実に減っていきます。

画像も動画も載せられない小説投稿サイトは今後オワコン化するだけなのかもしれません。

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