久方ぶりというほど久方ぶりでもないとは思いますが(挨拶
懲りずにキャラ語りです。
今回は作中の便利キャラ二人!
私が無茶ぶりしてもたいていのことは何とかしてくれそうな《連盟》サイドの二人です。
一応個別のエピソードも考えているんですが、果たして本編で出す機会あるのかなぁー、っとォ!!
ともあれ、そんな塩梅で!
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【サイラス・ユーデッケン】
・コンセプトは「都合のいい弟子ないし後輩」。
身も蓋もなく言えば、世間的な評価がいまひとつな主人公を誉めそやして大舞台へ連れて行ってくれる感じの、都合よく主人公に恩義を感じて尊敬してくれている、むかし世話した弟子ないし後輩、というポジション。
作中にそういうキャラが一人もいなかったので、オルランドでの本格稼働に先立ちそういうキャラを用意した――というアレ。
当人の格が高いのを前提に、何かにつけて「さすがシドさん!!!」とめちゃくちゃ褒めてくれて、主人公の格を爆上げしてくれる感じのキャラ。
持ち上げられる主人公と持ち上げられる理由がしっかりしてないと「こいつなんなん?」となりそうなタイプの太鼓持ちですが、こいつの場合は果たしてどうか。
・主人公をはじめとする特定のキャラについて「どういうキャラか」を印象付ける技法に、『モブを使う』というのがあるそうですが――モブキャラの口を借りて言及させることで、「作中ではこういう扱いなんです」という印象を読者に与える技法だそうです――煎じ詰めればそんな感じのやつ。
これは、むかし「月刊少女野崎くん」で都ゆかり先生が言ってたのを見ただけのやつなので、「技法」というレベルできちんと確立された手法なのかきちんとはわかりませんが、少なくともそういったものはあると思っています。
…こうして実情を書けば書くほど、「こいつ身も蓋もない便利ポジションだなぁ」と感じることしきりです。
・「三下の太鼓持ちをいくらくっつけたところで、主人公の格が上がるものかよ!」というきわめて個人的な信念に基づき、当人の格を上げる感じで彼個人の設定を用意。
箔をつける意味で、作中で登場した冒険者の中では最も階位の高い人物となりました。既出の冒険者の中でこれより格が高いのは、「《機甲少女》といっしょ!」のシオンとその仲間達くらいのはず。
「格が高い想定のキャラ」は他にもいますが、冒険者の枠組みだと今のところ彼らくらいのはずです。
そのうち都合よく冒険者になる「格が高い想定のキャラ」は出てくるかもしれませんが、まあ、そんな感じです。
・現役時代のサイラスにまつわるエピソード――というより、彼が《永久の翼》に加入した際のエピソードは、どこかで書きたいやつです。
というより、想定として、彼がシドへ心酔するきっかけになった話のはずなので、伏せ札を開く機会がないと困るやつです。
幸い、語り始めのフックにできるアレコレは複数あるはずなので、どっかで引っ張り出せる…と、思いたいのですが。
・描写上、トータルの印象が「でかいわんこ」になるといいなぁ、という感じで書いてます。
とはいえ、「仕事なんてものはカス!」はさすがにやりすぎだったかなーという気もしないではありません。新しい舞台の新しいキャラを少しでも印象付けたい一心で、勢いに走ってました。
・「男にくっついてるわんこ系後輩は、男の方がかわいげあっていいかな」と思ったので男です。
いえ、女の子でも可愛いというか私的には大好物なので、べつにそれだけが理由ではなかったんですけど。
正味、この時点で下手にヒロイン候補を増やすと、後から追いついてくるフィオレの印象が薄くなりそうだなぁという、割と切迫してあやうい感じの懸念があったので、ワンコ少女はどうあっても『無し』でした。
そんな訳で、男です。
役割――というより、ポジションの重複はなるべく回避したいところです。
キャラクター全般でももちろんですが、同作品のヒロイン間で役割や立ち位置、バックグラウンドが重複するのは結構あぶなっかしいと思っていて、自分が他の方の作品や商業作品を読んでいても、そういった感じのヒロインズは印象がかぶりがちな気がします。いえ、単に私の記憶力とかその辺のなんかが足りてないせいかもしれませんが…。
・遠野の傾向をご存じの方だと――いらっしゃるんだかどうなんだか分かりませんが――「別作品で、おっさんにくっついてまわってる舎弟系わんこ少女みたいのを既に書いてたから、というのがほんとの理由では?」と思われそうですが、そこは今回、無関係だったりします。
登場順は前後しましたが、キャラの素案だけならサイラスの方が先にできていたので。
・正味、初登場の頃は先々の出番が果たして確保できるものであろうかと懸念がないでもなかったキャラではあったのですが。
《箱舟》における冒険とは別に、オルランドという「都市」における物語――より直截に言えば、都市の都合や権力にまつわる「政治」「陰謀」「しがらみ」の物語が並走する形へと移行するにつれて《連盟》まわりの比重が自然と上がり、《連盟》側の窓口というべき彼も、セルマ共々、そのぶんだけ出番を作る機会が増えたように思います。
物語の前面に立つことはまずなかろうと思いますが、今後も便利に使ってゆきたいところです。
【セルマ・オリゴクレース】
・コンセプトは「新舞台の導入・案内役」「ギルドの美人受付嬢」。
オルランドでの物語が始まるのを踏まえ、「オルランドにおける冒険者」がいかなるものであるか、それと同時にこれまで作中で「冒険者ギルド」的なあやふや運用をしていた《諸王立冒険者連盟機構》がいかなるものであるかを説明するための解説役として運用を想定した、「主人公から見た場合の第三者」がセルマです。
今も多分にあやふや運用な気はしないでもありませんが。はい…。
・型式番号GTMD412-LⅣ-Rf SDept:2202。
「《L-Ⅳ》改フレーム《特務》配備先行生産型:都市汎用機能強化改修型/改LLⅣタイプ(フェアリィ・タイプ改)/第二ロット」の意。
末尾の四桁の数字は、
・運用目的/機能別タイプ分類(1桁)
・形成人格ベースタイプ(1桁)
・製造ロット番号(2桁)
――という設定にしています。
形成人格ベースタイプの番号は、「0:LLⅣタイプ/フェアリィ・タイプ 1:LRⅣタイプ/ホーリィ・タイプ 2:改LLⅣタイプ/フェアリィ・タイプ改 3:改LRⅣタイプ/ホーリィ・タイプ改」です。
さらに完全に余談ですが、「フィギュア」のフレドリカの場合(0177)は「陸軍機甲歩兵仕様多目的量産型(0)」「形成人格:ミスリィ・タイプ/LRⅢタイプ(1)」「第七七ロット(77)」ということになる――はずです。
違う設定でどっかに書いてたら設定管理のミスです。
いろいろ後知恵で設定ぶち上げたり変えたりしてるので。申し訳ないです。
・この辺、「くすんだ銀の英雄譚」にのみにおつきあいいただいている方には「急に何言ってんだこいつ」となることうけあいのドン引きポイントではなかろうかと思います。
本作ですが、自分の別作品と世界を共有しているため、そちらでぶち上げた設定に基づく(本編上だけだとなくてもあんまり問題なさそうな)設定がアホほどくっついているのです。すみません。
もし気が向くことがありましたら、別作品にもおつきあいいただけますとありがたいです。
・《L-Ⅳ》だのフェアリィ・タイプとはなんぞや、というアレコレは以下の近況ノートをご参照いただけますと嬉しいです。
拙作の作中世界は《機甲人形》なるロボ少女がいる感じの(※少女以外のロボもいます)、胡乱ファンタジーワールドなのです。
https://kakuyomu.jp/users/toNo_ddd/news/16817330652582375546・「オリゴクレース」という名字は鉱石の名前から。長石の鉱物グループに属し、宝石の一種だとか。
原型機の名字がすべてクォーツ系結晶の名前なので、そこから延長する形で鉱石の名前を持ってきています。
実は書き始めた段階でまだ名前が決まっておらず――というか、しっくりくるのがなかなかなく――「セルマ」という名前は必要に迫られた段階でようやく確定させました。
名字を決めたのはそのさらに後。
・セルマ、もともとはただのクール系受付嬢でした。
「オルランド支部の人気受付嬢」くらいの設定しかなかったのですが、いざ書き始める段階で
「今更そんなありふれたのを増やしても面白みがないな…」
――などと急に思い立ってしまい、さらに、
「このポジションは、別に人間でなくてもよくない…? そうだ…ロボ少女にしよう…私はロボ少女が書きたい…!」
――と、こんな感じの発作が起きた結果、セルマはロボ少女ということで設定変更がなされました。
ロボ少女はありふれてないのか? となるとまあまあありふれていると思うので、今にして振り返るとこれってロボ少女が書きたい発作が出ただけです。
そも、ありふれてたら何が悪いというのか? ぶっちゃけ失礼だな、自分。
・でも、まあ、ロボ少女は出せたし、後々までいろいろ便利に使えたりもしていて、いいことずくめでした。
やはりロボ少女はいいものですね!!!
・とはいえ、この直前での設定変更と「クール美女系受付嬢」の設定を何のひねりも改編もなく結合させた結果、「フィギュア」のヒロインであるフレドリカの亜種みたいな感じになってしまいました。
いえ、フレドリカもセルマも設定上「量産機」なのでそこは別にいいのですが、完全に同じだとなんかこう気持ち的にアレです。
一人称や定型として使う言い回しの一部をいじることで、急場しのぎの対応としました。
たぶん、書いてるうちに性格の違いなんかが出てくるだろうと信じて。
定型の言い回しに関しては、後々サイラスとのエピソードを作りたいなぁというのを念頭に置いたものでもあるので、わざわざ「アイ・コピー」という言い回しを選んだ理由は一応ちゃんとあります。
なお、「アイ・コピー」という言い回しに関する直接の元ネタは、「ウマ娘 プリティーダービー」の「マヤノトップガン」から。
・ロボ少女化に伴い外見年齢が少女まで下がりました。設定変更前は二十代の大人の女性だったのです。
これはロボ少女だからというよりは、《L-Ⅳ》の設定に寄せた結果です。外観が十代少女の設定なもので。
たしかまだどこにも書いてなかったはずなのでここぞとばかりに言及してしまいますが、前級の《L-Ⅲ》が「陸軍機甲歩兵多用途型」――前線の歩兵として運用するほか、兵士の慰安など『危険すぎて慰安部隊を送り出せないような最前線での、兵士たちの精神安定、及び士気・治安の維持』を目的に、兵士である男達を癒す『女』としての役割を振っており、そのため総じておっぱいもおしりもむちむちでっかい感じでいかにも「ちちしりふともも! むちむち抱き心地!! ウオオォォォ女ァ!!! 女だァァ!!!!!」ってな具合に外観の設計がされていたのですが、《L-Ⅳ》はこの「多用途」を外してより歩兵として戦闘機能に特化した、機甲歩兵以外の役割といえば「データがブチ壊れない限りは基本的に物忘れをしない」という機械のいいところを活かした司令部や指揮官の補佐役・歩くデータバンク役くらいとなり、そうなると、
「おっぱいとかおしりとかでかいの、邪魔じゃない…? 無駄に被弾面積増えるし、狭いとこ入れなくなるし、慣性つくし重心ずれるし、要補給の予備パーツも余計に種類が増えるし、いいこと何もなくない…?」
――ということになり。
かくして「多用途」目的の追加装備が綺麗に取っ払われ、あとは「なるべく被弾面積ちいさくしたいね」という主旨での再設計がなされた結果、原型機が女性型フレームなので一応シルエットは女性のままなのですが、全体としてより細くて華奢な、「少女」の印象に寄った外観になった、という設定がくっついているのです。
なお、
「おっぱいでっかかったら耐衝撃の緩衝材になるやろォ!」
という現場からあったかもしれない声に対し、
「えー…? じゃあ、まあ、耐衝撃緩衝材に使えるくらいはつけとくよ…」
という答えが返ってきたかは知りませんが。ともあれ《L-Ⅳ》シリーズ、完全なぺったんではない想定です。
薄さとほそさは《L-Ⅱ》と《L-Ⅹ》あたりが双璧であろう、という塩梅で考えています。
・さらに余談ながら、「フィギュア」のヒロインであるフレドリカがおっぱいでかい娘なのは、上述の設定に基づくものです。
嘘です。
これらは「おっぱいでっかいデザインで制作された戦闘用機械人形ってどういう目的でそのデザインになったんだ? でかちちとか端的に邪魔では?」という自分の中の拭いきれぬ疑問から合理化を目指して逆算した設定なので、おっぱいでっかいロボ娘ヒロインを合理的に作中世界へ出すために上述の設定をぶち上げたというのが真実の経緯です。フレドリカはおむねのおっきなヒロインにしたかったんです!!!!
・余談のさらに余談ながら、基本フレームが《L-Ⅳ》ベースの《L-Ⅴ》キアリィが割とおっぱいおっきい感じの外観として描写されていたのは、《L-Ⅴ》が「機能試験機」であり、被弾面積とか戦闘特化とかそんな実運用上のアレコレを気にする必要がないので、製作者の趣味ないし先入観が出ただけです。
私じゃないです。
そういうメタなアレではなく、具体的にはユイリィお嬢さんの趣味と先入観です。
私の場合、何も考えずにヒロインをデザインすると総じて薄くて細くて花のように手折れて羽のように軽い感じになってしまうし、そこまでいかなくともいいとこ均整の取れた幼馴染系バランス型(※フィクション相当)くらいに落ち着いてしまうため、意識してひねり出さないとむちむちドスケベボディな女の子が出てこないのです。
なもので、正味フレドリカやフィオレあたりは、かなり意識して「スタイルがいい」設定を念頭において描写してました。周辺の別キャラとの差異をつけるのを意識して、そういう運用にしました。
いえ、むちむちが嫌いとかじゃなくてですね。断じて。
何でかそうなっちゃうんですよ。昔っから。何で?
・これもついでに言及しますが、局地型運用を念頭に入れた全環境対応型である《L-Ⅶ》ことナナリィは、当人ないしその後継となる高機能量産型が《L-Ⅳ》相当の機甲歩兵として運用される場面を想定しているため、むちむち加減が控えめになっています。
――という設定を、後から継ぎ足しています。
気を抜くとむちむちが抜けるんですよ。斯様にして。
・「ロボ娘の話になるとあいつ急に早口になるよな」「やめなよ」
という声が聞こえてきた気がしますが、幻聴なので問題ありません。
・振り返ってみると、これ途中からセルマの話をほとんどしていませんね。何の話してるんでしょうね。終わりの方なんかむちむちだのドスケベだの煩いし。
今更ですけど、どうなのかなって気はしないでもありません。はい。
なので最後にセルマの話をしますと、彼女は当初、《忘れじの我が家》亭に来る想定なんかまったくなかった子でした。
とはいえ、今後の諸々の利便性を鑑みると、何かあったとき便利に使えるポジションのキャラが身近なところにもう一人くらい欲しいな…というのがあり。
また、サイラスなど《連盟》方面のキャラの存在をいつでも引っ張り出せる(作中において、という意味でも、読んでくださる方々の意識において、という意味でも)布石としても使えるな――ということから、セルマには《忘れじの我が家》亭へ来てもらいました。
結果的に、主人公周辺の女の子が増えたし、私的にもロボ少女の出番が増えたので、それらの意味でもよかったのではないかなと思っています。
とはいえ、九章から本格参戦と相成ったセルマですが、当面の彼女は「賑やかし」の域を出ないのではないかな、という気がしています。
何故かというと、オルランドという街、冒険者宿という拠点の側で「主人公(シド)ができないこと」を担うのは基本的にサティアの仕事で、セルマの存在というのは、サティアの行動の自由――及び、周辺の安全――を確保する、バックグラウンドとしての意味合いの方が大きいと見做しているからです。今の時点では。
いずれもっと事件の規模が大きくなったり、サティアの動かせる駒では対処がおぼつかなくなるような事態へ物語が至った時、《連盟》という『組織』の力を背景におけるセルマの存在は、はじめてきちんとした意味を持ってくるのではないかな――と見込んでいます。
「くすんだ銀」本編の描写だとそこまで伝わっているか到底おぼつかないのですが、セルマって結構『何でもできる子』なのです。
《連盟》という組織の力に繋がっている子ですし。その範疇であれば知識も期待できますし。のみならず、「原型機は軍用」と自身で言及しているとおり、戦闘技能も持っていますし。
何かあった時に、たいていのことは独力で担える子なのです。
とっても便利。
やはりロボ少女。
ロボ少女はすべてを解決しますね。マーベラス!!!