未来屋　環

そう、その出逢いは私にとって、正に未知との遭遇でした。 或る会社の総務課で働く鈴木雪花(せつか)は、残業続きの毎日に嫌気が差していた。 そんな彼女に課長の浦河から告げられた提案は…

ここからどこにも行けない。そう気付いた瞬間、私の両足は地面に溶けてしまった。 黒木は今年で30歳になる。嫌なことばかりが起きたその日、心が折れ休職することになった彼女は小説投稿サ…

今思えば、あれは遅ればせながらの『初恋』だったんだろう。 山田太郎は社畜の如く働く会社員だ。 激務を続けていた或る日、意識を喪った太郎が目覚めるとそこには見たこともない景色が広が…

さぁ、次はどんなものを持って帰ろう。 「ただいま」とお父さんの声がする。ひさしぶりに会えるのがうれしくて、わたしはげんかんへと走っていった。今回はどんなおみやげなのか楽しみだなぁ。

ねぇ、それ、わかって言ってます？ 同じ部活の先輩の冬島さんは秋嫌い。そう聞くと、亜季(あき)という名の私は面白くない。 なので、食欲の秋で対抗してみることにした。 ※長編『夏鳥は…

好きの数だけ、強くなる。 仕事が上手くいかず鬱々として電車に乗り込む『俺』。空いた車内のシートに腰を下ろすと、ふと目の前に楽しそうに会話する女子高生たちがいることに気付く。そんな…

いとも簡単に夏は砕け散った。ただ茫然と立ち尽くす僕の目の前で。 冴えない毎日を送る後藤は、行きつけの中華料理屋で同じ会社に転職してきたばかりの女性、久住と遭遇する。普段とは違う彼…

会社員をしながらイラストレーターの夢を追いかけていた明里(あかり)は、或る日異世界に転移してしまう。元の世界に帰るまで毎日絵を描いて暮らす明里と、毎週末その絵を取りにくる魔術団長…

人生色々なことが起こりますが、私は比較的ご機嫌な毎日を過ごしております。 それはきっと、好きなものがあるお蔭(´ω｀*) これは或るリーマンが自分の『好き』について語ったエッセイ…

そのほのかな甘さは、優しさで。 三十歳になった夜、仕事で失敗した僕は一人居酒屋でやけ酒をしていた。 そんな僕に話しかけてきたのは、緑色の髪の女性で……。 1,000字ちょびっと、…

仕事で一人、夏の伊豆出張へ向かった私。せめてもの愉しみと平日の温泉旅館へ泊まる。 某文学作品とは何の関係もない静かな掌編小説です。

既に私こそ、毒に侵されていたのでしょう。 事務員として働く紅子には、榎木という恋人がいる。彼との泊まりがけの旅行に胸を躍らせる紅子だったが、彼女には秘密があって……。 梅雨の時期…

そう、今日こそ僕は生まれ変わる。 モブキャラ生活を脱して高校デビューを叶えるため、一瀬拓也は軽音楽部の部室に足を踏み入れる。しかし、体験入部も早々に同級生たちが揉め始め、なす術な…

――長い冬が続いても、命芽吹く春がいつかは訪れるように。 大学受験に失敗した少年 中野凌牙は入学した大学で中村綾芽と名乗る少女と出逢った。 「――あ。名前似てるね、私たち」 ふと…

――春になれば、あなたに逢えるの。 春になると、葉(よう)の元を5歳上の幼馴染みである美散(みちる)が訪れる。東京で働く美散は葉にとってあこがれの存在だ。今年も美散は唐突にやって…

そして、私は生まれ変わるのだ。読み終えたあなたの心があたたかくなりますように。 『卒業式』をテーマに描いた1,000字掌編、さくっと読めます。

あの海に還らなきゃ。 或る海辺の街を訪れた女性。夜な夜なひとりでタクシーに乗った彼女の目的とは……。 『懐郷』をテーマにしたためた掌編、さくっとお読み頂けます。

進学した高校で演劇部に入部した裕美は、凛とした雰囲気を纏う三年生の早織に出逢う。容姿端麗で演技力にも恵まれた彼女は、皆のあこがれの的となっていて――。 先輩女子へのあこがれを描い…

本当に世話が焼けること。 私は猫。名前はあるのよ、ちゃんと。でもねぇ……。 『猫と子どものお話』をテーマにしたためた掌編、さくっとお読み頂けます。

いつしか、雨の日が待ち遠しくなっていた。 或る日相川くんの通う高校に転校してきたのは、超高性能AI女子のAIDAさん。 なんでもできるAIDAさんだけど、唯一苦手なものがあって……

犀川ようさん主催『最可愛女子💗たちが感想書いちゃうぞ⭐️』企画の感想まとめ。 リーマン系純文アイドルたまちゃんがお送りします！ 素晴らしい作品がたくさん集まっているので、こちらの…

私の人生であれ以上に勇気が必要だった瞬間はない。 六十歳で大学教授を辞し、散歩と読書に興じる『私』。仕事ばかりで恋愛に縁のなかった彼だが、そんな彼には最近気になる存在がいて――。…

いつか君をびっくりさせてやろうと、心に決めていた。 陸上部の昼練を終えて教室に戻ってきた真理奈は500ml紙パックピーチティーを飲む。 そんな彼女に声をかけてきた相手とは……。 …

そこには一面の白い世界が広がっていた。雪降るその土地で、僕は黙々と作業を始める。 そんな中、通信機に着信があって――。 『雪』をテーマにしたためた掌編、さくっとお読み頂けます。

高校2年生の夏野は以前気心の知れた仲間とバンドを組んでいたが、或るトラブルをきっかけに人前で歌うことができなくなっていた。 そんな或る日、夏野は公園で出逢ったギタリストとセッショ…

そう、君はまさしく月から来た少年だった。透き通るような金髪に鼻筋の通った大人びた顔付き、それはまるで月の光から生まれた別世界の住人のようで……月から来たような美しい少年 望との日…

その日私が見付けたのは、雨夜に咲く銀色の花だった。 伯爵令嬢のセレナは或る日幼い頃からの婚約者であるアレクに婚約破棄されてしまう。その傍らには義理の妹のミリアが勝ち誇った様子で立…

目の前に現れた彼は天文学者だと言った。初めて逢う職業の彼に、私は色々と質問をするが……。 『天文学』をテーマにしたためた掌編、さくっとお読み頂けます。

どうすればあなたに、この想いが届くだろうか。 教科書を見せてもらったことを切っ掛けに知り合った男女。想いを伝えられない口下手な彼が選んだ方法とは……。 『表現力』をテーマにしたた…

あなたはライトノベル作家に逢ったことありますか？ えっ、私？　はい、実はあるんです。 ちなみにその方、フランス人でして……。 これはひょんなことからフランス人ラノベ作家にインタビ…

今日という日がどんな一日であっても、明日はきっといい日だと思う。 終電に乗った彼女は、吸い込まれるように都心の温泉施設を訪れる。 日常に疲れた女性がただただ癒される、そんなゆった…

恋というものを知らない私に、あなたを愛する資格はあるのだろうか。 静は子どもの頃好きだった女子に想いを拒まれて以来、ひとを好きになることに臆病になっている。そんな彼女の元に或る女…

あの子も、あの子も、あの子もみんな、素敵な花を持っている。 高校時代の友人の結婚式に出席した主人公は、華やかなかつての同級生たちの姿に気後れし、ひとり帰路に就く。 そんな彼女が雨…

そう、あなたはぼくの神さまだから。 学校から帰ったら、ぼくはひとりで近くの公園に行く。同学年の子たちが楽しそうにサッカーをしているけれど、ぼくの待ち合わせ相手は別にいるのだ。これ…

あなたはライチを食べたことはあるだろうか。 傾国の美女楊貴妃が愛したことでも知られているライチ。 特に生ライチはびっくりする程おいしいので、是非是非。 そんなライチエッセイです。

「ひとりでもう一度生き直してみようかと思いましてね」 目の前に座る菊池さんは今月末で定年退職を迎える。後輩の下田のミスをカバーするため、人事部係長の私は菊池さんのお喋りに付き合う…

或る日行きつけのバーを訪れた男は、後輩の彼女を初めてこの店に連れてきたことを思い返す。お酒の弱い彼女は嬉しそうにクリームソーダを飲んでいて……さくっと読める恋愛短編です。

その感情を言い表す言葉を、僕は他に知らない。 僕が好きな相手は大学の後輩であるアマネ。しかし、アマネは僕が憧れるロックバンドのボーカリストに恋をしていて……。彼に逢うため夏フェス…

――僕にとってあなたは、たったひとつのゆるぎない星だった。 公私ともに忙しい恋人とのすれ違いに悩む『僕』は、ふとしたきっかけで北海道に旅立つ。突発的な旅の道中で、彼が見付けるもの…

――まるで、何も見えない暗闇の中を泳いでいるみたいだ。 上司との飲み会に付き合って終電を逃した俺は、夜の街で途方に暮れる。そんな俺が見付けたのは、不似合いに深夜の街中で光を放つC…

「わたしを魔法使いの弟子にしてください！」 或る日の仕事終わり、珈琲を飲みながら空想に耽っていた僕の前に、突如として彼女は現れた。小学生だろうか。彼女は僕のことを魔法使いだと信じ…

その男は、雨の訪れと共にやってくる。 中学校教師の女性、露木は或る日不思議な男と出逢った。暗闇の中で歌う男は『ソラシド』と名乗り、毎回雨が降る夜に露木の元を訪れるのだった――真面…

私の好きなもの。シャンパンゴールドカラーのフレンチネイル。ふわりとカモミールの香るオーデコロン。奮発して買ったルブタンのパンプス。 好きなものに囲まれて日々を過ごす私は、何不自由…

その色はいつだって、僕の幼き日の記憶を呼び覚ます。 僕は小学生の頃に出逢った少女に思いを馳せていた。男子は黒、女子は赤のランドセルとされていたその時代、彼女はネイビーブルーのラン…

星座占いなんて、この世からなくなってしまえばいいのに。 そう思っているのは、きっと私だけじゃないはずだ。 ついてない一日でも、1コくらいいいことがあってほしいですよね。そんなお話…

私はいつも、自分とは正反対の男に恋をする。 白と黒に彩られた部屋で、彼は一心にショパンを弾いていた。 ピアニストとの恋を描く短編。

――例えば、私に この世界を翔び続けられるだけの強靭な翼があったとして。 ものを書く、或るひとりの女性を描いた作品です。 なんだかやけに筆が進む、そんな夜ってありませんか？

毎週水曜日の午後、私は月の魔法にかけられる。 女子高生のシオリは月の住人リドの店でアルバイトをしている。バイトの内容は至って簡単、それは「金色のもの」をリドに届け、月の雫あつめを…

――嵐の去った、そのあとにあるものを知っているかい？ 機器のメンテナンス員として働く横井は、或る日嵐が訪れる街の旅館にやってくる。 そこで彼を出迎えたのは、空模様よりも深いグレー…

――ただ、きみの喜ぶ顔が見たいだけ。 週末の朝、僕はひとり目玉焼きづくりに励む。すべては、『女王様』であるきみのために。 さくっと読める恋愛小説です。このおいしさが伝わりますよう…