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危険球に泣く

私は、泣いた。

大谷くんが危険球を受けたからではない。

彼は、危険球を受けてもずっと笑顔だった。

四球は、ふくらはぎに受けたにも拘らず、手当等一切受けず、ただ笑い続けていた。

歩いて行った先の塁上では、敵軍の一塁手の肩を抱えて笑い合った。
私には、その姿が、大丈夫だ、問題ない、両軍とも喧嘩とか止してくれって言っているように感じた。

ベンチに帰っても笑っていた。

相手投手に対する配慮、自軍のベンチの選手に対する大丈夫アピールと野球は楽しんでヤロウぜアピール。
報復なんて、なんてバカな事なんだろうと、彼は笑って主張している。
私には、そう思えた。

今、彼は正念場である。
MVPとか、ホームラン王とか、ベーブの二けた勝利二けたホームランに100年ぶりに達成するかとか、MVPの行くえとか、とかいろいろの記録がかかっている。

でも、でも、それでも彼は自分を信じて試合の勝利だけを見つめ、野球を楽しんでいる・・ように思える。
たぶん、どこか具合の悪いところがあるのだろう。
たぶん、バッティングを苦しんでるんだろう。
腕の張り?そんなものだけではないのだろう。
でも、そんな事を表には彼は出さない。

ホームラン争いをしているにもかかわらず、バントを狙う様な選手なんだ。
明日先発なのに、盗塁をするような選手なんだ。
グラウンドでは、ボールが転がってるのを見つけると、ボールボーイのようにそれを拾おうとする選手なんだ。

野球の神様ってよく言われるけど、その存在がホントにあるのなら、彼こそ野球の神様に愛されるべき存在。
そして、この正念場に、神様の祝福があって然るべき存在のはず。

わたしは、私の書くお話に、まだ神の事を直接書いてはイナイ。
だが、もし書くのであれば、この大谷くんの今シーズンの終わり方次第で、神への取り扱いが変わるかもしれない。
そんな気持ちで、あと10ちょっとの残り試合を観戦しています。

がんばれ、大谷くん。
種族を越え、世代を超え、性差を越えて、愛される君だから、きっと・・・・・・。

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