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読めない心3

https://kakuyomu.jp/works/16817330656927273343/episodes/16818093073542812536


 人一人を社会的に抹殺するというのになんともあやふやな説明であるがこれを鵜呑みにしてはいけない。この時ウィルズが話した内容は、“そういう形で処理をする”というシナリオである。あらゆる手段を使ってヤーネルを引きずり落とし、最終的に国家への反逆という汚名を着せて完全に息の根を止めるのだ。反対に、ディディール系企業を接収するという話については寝耳に水であったもののこれは事実だろうと思った。まるで戦中のようであるが、ベーシックインカムを始めとした政策は国を小さな政府から大きな政府へ戻していく作用があった。雇用と市場によって依存していた国民の生活基盤は変化し、遊んでいても最低限の金と十分な社会福祉を得られる時代である。格差の是正も教育も生活保障も全て国が管理しなければならない状態で国営を回すには権利と権限を強化せざるを得ない。これは破綻と隣り合わせなのだ。民間競争が軟化するという事は発展が遅れるという事。ここにどこかの国が革新的な発明をし、あらゆるシェアを独占してしまったら、国の経済は一気に傾きリカバリは容易ではなくなる。その対策として、巨大企業を政府管理下に置いて利益を直接国庫に入れるというのは合理的ではある。加えてディディール系の企業はほぼ情報産業であり世界各国で利用されているから、国営になった場合、国にとってこれ以上ない武器となるだろう。当然非難やサービス利用を控える事は予想されるが、内政への干渉は不可能。また、既にインフラとなっているから完全に除外する事はできないし、代替を作るには時間がかかる。各国が対応をしている間に新たな経済、技術政策を進めていけるというわけだ。用が済めばまた民営化すれば問題ない。というか、それ前提で動いていただろう。

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