https://kakuyomu.jp/works/16817330656927273343/episodes/16818093073494647836「……アンデックスはディディールから派生した企業だというのは知っているね?」
「はい」
「では、ディディールが先の大戦で利敵行為をしていたというのはどうかな?」
「え?」
「人類がまだ母星に住んでいた頃、ディディールは戦争に対して反対の姿勢を示していた。政府としてもそれを縛る事はできなかったし、国民感情もあるから一意見として聞き入れ話し合いや会談の場も設けてきた。政治家だって好きで戦争がしたかったわけじゃないんだからね。しかしディディールは国民を扇動し、反戦から反政府へ思想を恣意的に誘導した。ディディールには多額の金が集まり、その金を難民支援や反戦プロジェクトという名目で敵対国に流したんだ」
「なぜそんな事を……」
「情報さ。ディディールは枢軸国の公になっていない情報を手に入れたかったんだ。それで、世情を操作し国民から得た金を対価とした。向こうからしたら願ってもない事だし、ディディールとしても非常に合理的な手段だった」
「なぜ政府は告発しなかったのですか?」
「決まっているだろう。政治家もディディールに情報を握られていたんだよ。各党の大物と呼ばれるような人間全ての家族構成から好物、ほくろの数まで把握されていた。下手に動けば政府は倒壊し戦争に負ける。国を守るためには、ディディールが暗躍をしていると知りながらも黙認するしかなかったんだ。そして、ディディールは解散。追及する事が難しくなったタイミングで敵が母星を破壊する程の攻撃に打って出てくるわけだ。これもあまりにでき過ぎているから、恐らく、ディディール側は事前に情報を掴んでいたんだろうね」