https://kakuyomu.jp/works/16817330656927273343/episodes/16818023212316136229 その会議の構成は、議題となる事象について数字を出し、あれこれと意見を交換するという具合である。芯を食った提言、提起はあるもののマクロ視点での弁が多数であり、労働者や現場への対応は二の次といった様子で、さすが経営者だなという印象を受けた。
高度に発展した人類においてはやはり高度な人権意識が形成されていたが、人間は感情の生き物だから問題が一掃される事などあるはずもなく、人種、性別、年齢、生活水準など、多様な要因による問題が日夜起こりニュースやゴシップ記事を彩っていた。その中には資本家階級と労働者階級との間にある格差、軋轢も含まれており、それぞれ「雇ってやっている」「働いてやっている」という意識のもと、相入れない価値観と思想から起こる無為不毛な闘争が行われ報じられていたわけだが、定例会では「それはもう仕方ない」という結論で一致し話が進められた。労働者に働いてもらわないと困るが、これ以上の権利を与えてしまった場合組織として破綻するから、何かが起こるまで静観を決め込むという対応に落ち着いていたのだ。労働者の問題は現場の問題。経営者は経営が仕事というわけである。合理的な思考だ。