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いくひ誌。【341~350】

※引き際が肝心なのはしっているけれど、引き際がどこかを見極める目利きがないので、引き際をぶっちぎってもだいじょうぶなように、とりあえず、引き際ごと三途の川を渡りきって、それから「あ、きちゃだめなとこだった」って気づいて戻ってこられるだけの体力をつけることにしたのはもうきのうのことのように遠いきおくさ。


341:【妖怪番長6巻】
めっちゃおもろい。THE漫画って感じする。漫画じゃなきゃ出せないおもしろさの極み。めっちゃおもろい。ほかの作家さんが同じストーリィでプロット練ったらぜったいこの三倍は長くなっている。圧縮率の高さよ。そして見せ場の外さなさよ。見習うのではなく、しかしこれを越えなきゃならんのだなぁ。小説で。いっぺん生き抜いて死という息抜きしてからもっかい生き抜いたあとじゃなきゃムリそうだなぁ。すごい。かっこいい。


342:【くずしろ、という名の作家】
くずしろさんのマンガ「龍崎さんと虎生さん~百合姫短編集~」を読んだ。すごいっす。まじぱねぇっす。生々しさをデフォルメさせたら右に出る者はいないんじゃないかというくらい、人間の醜いがゆえのうつくしさをかわいらしく抽象化している。すごい。教科書にしたい。全国の虚構愛好家に配って歩きたい、そんな作品を生みだす作者さんです。ちなみにさいきん、いくひしちょっと受け身になりすぎてない? と、なにかしらを表現したいと欲する者としての質の低下を真摯に受け止めながらも、買い溜めた虚構どもをぺろりとたいらげていく休日を送っている。ちなみに小説は、戌井昭人さんの作品「ぴんぞろ」がお気に召しました。ほかの作品も読み漁るぞ。


343:【びようしつ】
他人との肌の接触が苦手ないくひしさんですから、そりゃあとうぜんの帰結として美容室なる場所は「苦手」なるカタチを成したムシがうじゃうじゃ床や天井を這って映る魔の巣窟と呼んでなんら差し支えない。しかし足を運ばぬわけにもいかぬ。黙っていても髪は伸びざかりを一向に越える気配をみせず、永遠の成長期なんてストイックな真似事をしよるわけでして。頭髪なる布地に「へあすたいる」なる絵画を描くだけの器用さはむろんいくひしにはない。自分のツノでいずれ頭蓋骨突き破って死んでしまうと謳われるバビルサじゃないんだから、せめて「ここまで」っていっちゃんかっこいい髪型で止まってくれたらいいのに、地毛が際限なく伸びる生き物なんてほかにいるかい、呪われてんじゃないのニンゲン。ぼやいたところでボサったい髪型が直るわけでもあるまいし、いくひしは重い腰をよっこらせ、魔の巣窟に行ってまいった。魔法だね。いくひしのボサったい頭部に「へあすたいる」なるものが宿ったよ。会計を済ませた時分まではたしかに宿っていたんだ。万年孤独ウェルカムマンのいくひしさんですからそりゃー万年帽子手放さマンなわけでして、せっかくセットしてもらった髪のうえから帽子を被って帰宅するでしょ、だって春先はまだ遠く、さむいんだもん。で、靴脱いで帽子とって重い腰もとい、疲れた身体をベッドのうえにどっこいしょ。下ろしたらさ、ほら、枕元のよこちょに置かれた手鏡覗くよね。目がいっちゃうよね、だって頭にこれまでなかったへあすたいるだよ。確認するじゃん、いるかなって。いたよね。河童が。ただの河童ならまだよかった。よくはないけど、でもさほら、水面から顔を覗かせた水もしたたるよい河童よりはただの河童のほうがよいわけじゃん。ぺったんこ。いったい誰の胸板かな?ってくらいのぺったんこ具合。あれ、いくひしのへあすたいるどこいった? けしごむで消しちゃったかなぁ、なんなら若干ハゲてない? いや、ハゲをわるく言うつもりはないよ、いくひしどちらかといえばボウズ好きだし、かっこいいし、でもさほら、河童はなくない? 妖怪番長のカッパだって、頭のうえの皿は帽子だよ? 着脱可能だよ、選べるよ? もうね。こうしてパチパチ打ってるPCのディスプレイに映るじぶんの顔がこわくて見れない。だから万年帽子手放さマンのいくひしさんは、ついに部屋のなかでも帽子を手放さマンになっちゃったんだとさ。寒いしね。せつやく、せつやく。


344:【あ”?】
「かつて選ぶ側だったあのひとたちが、いまは選ばれる側だってことに気づくのはいつのことになるだろう。黙っていても才能が集まる時代は終わった。面と向かって言ってやりたい。『降りてこいよ。リングはここだ』って」


345:【Linkin Park】
数年ぶりにアメリカのロックバンド「Linkin Park」を聴いていたのだけれど、やっぱりかっこいいな。そして有名どころの「Numb」「Faint」「Breaking The Habit」「 It's Going Down 」以外で、なんだこれー!!?って曲があって、いやーさすがリンキン、進化しつづけてるなぁ、って思ってたら、じつはデビュー前の曲だったっていうね。タイトルは「 Dedicated 」。かっこいい。暗黒騎士って感じだ。ドクロの仮面かぶってるの。いつかこの曲イメージして短編つくります。めっちゃダークなやつ。でもかわいくてせつないやつ。


346:【「あ”?」じゃないでしょ】
「あんたが上がってきなさいよ、なに三下相手にイキってんの、みっともないとは思わないの」


347:【聞き飽きた、しかし忘れてしまう】
自由という言葉に囚われ、型をつくるのをおそれてはいけない。


348:【あなたではなくきみに】
共感しました、と称賛されるような作品だけはつくりたくない。知らない世界を知ってもらいたい。すこしでも世界を広げたい。あなたではない誰かを、あなたのなかに埋め込みたい。それはどうあっても良書では適わない。ぼくのこれは、悪意だ。ぼくはずっと世界に復讐しつづけている。


349:【誰かのせいにしたくって】
「こんな目に遭っているのはぜんぶおまえたちのせいだ!」いくひしはきっとそう叫びたくてたまらないのだな。いっそ叫んでみればいい。虚しいだけならいい。きっとすごく傷つくはずだ。錆びついた釘で肌を裂くみたいに、浅いくせしてひと際甲高く痛みを訴える傷口があく。叫んでみればいい。それがいくひし、おまえの慰めになるのなら。


350:【じゃあ言う】
おまえたちのせいだ! ぎゃーイタイ!!!

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