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いくひ誌。【331~340】

※いびきを掻いてないと思っていても掻いている、自我なんてそんなものだよ。


331:【折り返し地点】
紙を折り曲げたら、そこには影ができて、立体になる。世界が拓けるとはそういうことだ。次元を越えてこそ折り返す意味がある。


332:【実情】
いくひしの言葉の数々は主として、じぶんを肯定してほしい、とする「おしつけだましい」である。おしつけだましい、とは、「押しつけがましい」と「騙し」と「魂」からなる造語である。とにかく、じぶんのやっていること、じぶんの人生、存在価値を認め、崇め、奉られたいとするみっともない欲望がその構成物質の大半を占めている。それ以外の要素があったのかと、おどろきを隠せないとする声には目をつむらせてもらう。しかし耳は塞いでいないので膝がガクガク震えている。あまり辛辣な指摘は控えていただきたい。いくひしは豆腐みたいにもろくてとぅるとぅるしているものが好物なのだ。冷やしても、茹でても、炒めても、揚げたてだって美味しい。すばらしい食べ物だと思う。


333:【2DK、Gペン、目覚まし時計】
大沢やよいさんのマンガ「2DK、Gペン、目覚まし時計」がおもしろい。心の唾液ダラダラです。百合×お仕事×創作モノで、百合を主軸に話が進み、仕事のできる人間の魅力、そして葛藤、卑近さ、一つのことに夢中ゆえにダメな人間の憎めなさ、とにかく人間くささの魅力みたいな塊の作品で、ありゃー、赤ちゃんの食事かってくらい心が唾液でびしゃびしゃです。おすすめ!


334:【セブンティウイザン】
タイム涼介さんのマンガ「セブンティウイザン」がマズい! これは非常に危険だ。否応なく人生のあたたかみに触れてしまう。しあわせな話だ。しあわせな話なんだ、とてつもなく、しかしこれはなぜか解らないが胸がほっこりじ~んとするのとは裏腹に、いまあるじぶんの何か触れてはいけないところまでもがグラグラと揺るがされてしまう。解らない。しかし言えるのは、子育てブーム、きてるな。一読の価値ありです。


335:【息子がかわいくて仕方がない魔族の母親】
十五夜さんのマンガ「息子がかわいくて仕方がない魔族の母親」が子持ち萌え族を狙い撃ちしすぎていてヤバい。午後の日差しのうららかな街道を赤ちゃん抱っこして歩いている女性の姿にピンときてしまう人には、ピンピンってセンサっちゃうひとには、超絶おすすめしておきたい一品です。にしても今回購入したマンガを眺めて思うのは、やっぱり子育てブームきてるなってことですな(主にいくひしのなかで)。


336:【ダンジョン飯四巻】
言わずと知れた九井諒子さんの漫画「ダンジョン飯4巻」に開いた口が塞がらない。塞ぎたくない。あんぐりというか、ハングリーというか、これはもう巷に氾濫する飯マンガとは一線を画する物語の密林、ジャングル、まさしく秘境だ。キャラクター、セリフ、絵柄の濃淡、コマ割りのコミカル度の絶妙な割合、全体を通して起伏があるストーリーライン・展開でありながら、一定の温度を保っている「世界観のトーン」、それらすべてに職人技としか思えない絶妙なさじ加減が感じられる。比重のまったく異なる宝石を載せながら瞬時に秤が吊り合うように重しをコマ毎に選択し載せるのに似た驚異的なバランス感覚があってこそ成り立つそれらはことだろう。巻を重ねるごとに、いったいこれが何の漫画だったのかを忘れることなく忘れてしまいそうになる、終わらない悪夢ならぬ終わらない映画のような作品だ。そう遠くない未来、虚構をつくりだす者にとっての教本となるであろう一つである。ちなみにチルチャックの「楽しくなってんじゃねーよ」は2017年度いくひしツッコミ大賞の現時点での受賞候補NO1である。


337:【コメディ】
小説において、ツッコミのない笑いが理想です。


338:【ラブデス。】
くずしろさんのマンガ「ラブデス。~短期集中連載集~」がうんとべんきょうになります。百合でガチで殺し合いなんですが、真剣すぎてギャグっていうね。いや狙ってますよ。笑いというか命というか、マジでラブなコメディを狙ってるけれども大真面目だからこそおもしろい。なにより過去の体験をふりかえったときに、「あ、あれってこういうことだったのね」と新たな知見が得られる、目からうろこが落ちまくる、中学生のころに読んでおきたかったぜ。青春やろうどもにおすすめの逸品です。


339:【コヨーテを殺す方法】
あ、まちがった。「心を殺す方法」ね。病み系BLかつネトラレで、ところどころでドロドロなのに、なぜかムカムカしない、ふしぎな後味の作品だよ。作者はカシオさん。仕事のできる上司(せんぱい)好きな方におすすめしたい。しかし仕事のできるせんぱいの出番が二巻からしか増えないのでそこはご愛嬌で乗り越えてほしいな。ちなみにことし読んだなかでトップクラスの高跳びのハードルなBL漫画は、座裏屋蘭丸さんの「コヨーテ」で、高跳びのハードルなきぶんになりたい方にはうってつけの作品です。ぞんぶんに心にそそり立つあなただけのステッィクを使って高跳びのハードル、それはたとえばこんなカタチ→「H」をしているのだけれども、からだいっぱいに反りかえって挑んでみるのもまた一興ではないかな。


340:【花と黒鋼】
篠丸のどかさんの漫画「花と黒鋼」がイイ。いくひしがここ数か月行きつけにしているちいさな書店さんだけが最新刊三巻を分かりやすい場所に、表紙が見えるようにして置いてくれていた。ほかの書店さんではなかなか見つけられなかった。ざんねん極まりない。ちいさな女の子と人型兵器の相性はとてもよいと思う。タイトルのとおり、有機物(花)と無機質(黒鋼)くらい隔たりがあって、反面それはどこか太陽と月くらいに切っても切れない深いエニシで繋がっている。異種間交友であり、SFであり、冒険譚であり、策略譚でもある。物語の野菜スープみたいなコクがありーの、さっぱりーの、透明感のある、しかしとろみある、野菜嫌いなひとにはすすめられない、けれど身体は欲しているだろう、そういう物語である。巻を重ねるごとに迷いがすこし感じられるので、売れ行きだとかを気にせずに、やりたいことをすきなだけ圧縮して煮込んでほしい。煮すぎて、しょっぱいスープにならないようにだけ注意してほしい。こちらから注文を挟みたくなるほど、このテイストを保ってほしいとせつに願う、稀有な物語である。

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