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いくひ誌。【111~120】

※日々おもいつきでいきている。


111:【言いわけ】
なにかを失敗したときにその要因を説明しようとすると言いわけじみてしまうことはないだろうか。失敗するとき、基本的にその失敗の最たる要因はじぶんにある。じぶんが干渉したために失敗したわけだから当然である。だからして、不注意や技術不足は、本来、失敗したことへの説明としては不適切である。なぜ骨折してしまったのか、に対する説明にわざわざ、人間だからだとか、生きているからだとか、そうした前提条件を挿す必要はない。では失敗に対する説明はどうすればいいのか。なぜそうした不注意や技術不足が起きたのかについて言及すればよいのである。それはたとえば道具の不備であったり、参考にした資料の誤謬であったり、上司とのホウレンソウがうまく機能していなかった連携不足であったり、上司や先輩たちが平然とルールを破っている様が常態化している職場の環境問題であったり、とかくそうした自己以外の変化の兆しが重要なのである。バナナの皮で足を滑らせたならば、取り除く要因は足を滑らせた人間の前方不注意ではなく、バナナの皮そのものであろう。本来、そこにあってはならない変化こそが、失敗の要因として認められるべきである。対策をとるとすればまずはそこからであろう。ゆえに何が問題だったのかと問われた際に、そうした問題点を挙げ連ねるのが正しい対応の仕方だと感じるのだが、そうすると、まるでじぶん以外に難点があったと言いたげに相手には映るらしく、責任転嫁をしているように誤解されてしまう。誤解されないようにするためにはまず、謝罪の意を表明し、自身の過失であった旨を認め、それから問題点の言及へと移ったほうが、周囲との軋轢は生じにくい。それって常識じゃないの、という声が聞こえてきそうである。でもいくひし、しらんかったもん。たぶん、あれ。小3のときにおなか痛いって言って、いくひし、仮病つかったじゃん? そんときみんなして授業で習ったんでしょ。いくひし習ってないもんきっとそう。じゃあしょうがないじゃんね☆


112:【今後の課題】
いくひしの今後の課題は、頭いいって思われたい欲をどうにかすることだな。あとかっこいいって思われたい欲もどうにかしなきゃならんし、スゴイって思われたい欲もどうにかしなきゃならん。人さまから一目置かれたいって欲もどうにかしなきゃならんし、でもいちばんどうにかしなきゃならんのは、創作する時間が極端に減ったという目を背けたい現実なのだな。うんうん。人生ってやつだ。


113:【RANMA1/2】
俺の原点はひょっとしたららんま1/2かもしれないと、復刻版を購入してきて思うきょうこのごろである。幼いころはメインヒロインあかねよりもシャンプーやウっちゃんのほうが断然ずばぬけて好みだったが、いま読み返してみるとあかねの魅力もよくわかる。時間が経ってから判ることが往々にしてあるものだが、しかし、なるほど。むかしはなんだかんだ言っていちばん胸がトキメいたのは女らんまだった。いまはなぜかさほどでもない。幼き日の感性の鋭さが失われているのではないかとすこし落胆している俺がいる。


114:【足枷】
読者のためを思えば、とにかく読みやすいように物語を紡いでいくのが正解であろう。文体の軽さや、改行の数、書式など、いくらでも工夫はできる。けれど読者のために物語を紡いでいくと、どうしてもある限界を突破できないのではないかという予感もつよくある。おもしろさの追求と読者への献身は必ずしも正比例しない。たとえば敢えて段落をつくらないことで読解への抵抗をかぎりなくつよくしておきながら、それでもリーダビリティ、いわゆる物語に没頭してしまうような文章を紡げたならば、それもまたひとつのおもしろさの追求になるだろう。けっして読者のためではない足枷が、けっかとして読者のためになる。そういうこともあるのではないか、といくひしは今、いろいろとあーだこーだと考え、すこしずつ試している最中である。ダメだと言われていることの中にこそ、磨くべき原石、或いは挑むべき山脈があるのではないのかといくひしの直感は鋭く働きかけている。


115:【試されている】
障害者なんて生きている意味がない、死んだほうが世のためになる、よし殺そう。そうして大量殺人を犯した人間を異常だと言って極刑を望む人々は、図らずもその唾棄すべき殺人者と同様の行動原理を伴っており、その者の犯した行為を否定しているようでいてそのじつ、その殺人者を全面的に肯定してしまっている。異常だから、異端だから、理解できないから、悪だから……あらゆる理由を持ちだしたところで、自らが悪に染まる免罪符にはならない。何かを理由に悪を執行するのは、単なる悪より手に負えない。人はときにそれを正義と呼ぶ。


116:【足枷2】
段落を挟まずに物語を紡ぐ練習をしている。鋭意制作中の新作では、およそ六万字の中編を段落をいっさい省いた状態でつくっている。いったいそれにどんな意味があるのか。しょうじき解らない。ただ、段落を挟まないことが目的ではない。両の脚に重りをつけてダンスをするような修行の一環である。ふつうに動くよりも負担がかかるため、より楽な身体の使い方を編みだそうとしているといえばそれらしい。ゆえに、段落を挟まずに物語を紡ぎあげ、そして脱稿したその足でこんどは段落をつけていく。圧縮に圧縮を重ねた空気をひといきに解放するような膨張が、ときに爆発じみた現象が、みられるのではないかと、今はそれを期待している。失敗するかもしれない。その公算が大きい。ただし、これは失敗だった、と判るだけでも儲けものである。


117:【拡張と仮想】
AR(拡張現実)が本領を発揮するのは、VR(仮想現実)が社会に普及してからの話になるであろう。仮想世界への小窓として、或いは仮想世界との架け橋としてARはその機能をまっとうする。仮想(の一部)を現実に重ね合わせただけではその本領の半分も発揮できていない。仮想世界はそれそのものとして単独で存在しなければならない。もうひとつの世界として確立されたとき、VRとARの垣根は取り払われ、仮想も現実のうちになる。(そういう意味では、人々の脳内にある共通認識――既存の物語――を仮想現実と見立て、VRの代理として用いる方法論は、短期的な視野で見た場合、有効ではある。ただし、そこに世界としての奥行き、すなわちストーリーラインと、常に更新されていく世界の変遷、すなわち奥行きがなければ、一過性の流行に留まらざるを得ない。VRとの融合が待ち遠しくもあり、おそろしくもある。物語はこのさき、もうひとつの現実――世界としての広がりを帯びる。果たしてそのとき、虚構としての物語にいったいどんな役割が残されるだろう。もしくはどんな役割を見いだせるだろう。今からよくよく吟味しておかねばなるまい)(仮想世界がもうひとつの現実として昇華されたならば、そこでもこの世界同様に小説や漫画やアニメなど、虚構の物語が必要とされるのではないかと単純に考えてしまいたいが、しかしことはそう単純ではない。世界が増えたところでその世界を受動する個体は「私」という存在に限定される。問題なのは、もうひとつの現実を処理するだけの余裕をいったいどこから賄うかである。もっとも手早く白羽の矢が当たるのは、まさしく現実にとってなんら直接的な益を結ばない虚構であろう。それとも我々は、もうひとつの世界ですら現実逃避の術を希求しつづけるのだろうか)


118:【笑い草】
偉そうなことを散々のたまいておきながら、つくっている作品が、性行為をしたくてたまらない男といがみあいながら性玩具を開発する純粋処女の話や、男と浮気をするおっさんの話なのだから、とんだお笑い草である。大いに笑ってくれるがよい。ほどほどに。加減をして。可能であれば笑わないでおいてもらえるとラスカル。それはあらいぐま。笑い草とはすこしちがう。


119:【萌え】
さいきん、おっさん萌えに拍車がかかってる。べつにそれで困ることはないのだけれども、思えばいくひし、元からその傾向がつよいんじゃないのって過去作の内容を思いだしながら釈然とせぬ思いを抱いておる。なんでもできるスーパーおっさんよりも、ぱっとしない少年がそのままおっさんになったような、頼りなくも年をとったぶんだけ吹っ切れてこれ以上どうなりようもないって下向きにひたむきになりすぎて却って前向きになっちゃってるおっさんが好き。たとえば部下が何かをミスしたときに、「がっはっは、いいよいいよ、それくらいの失敗だれでもある、うんうん、気にしなーい、気にしなーい」とかほとんど無責任な言動でしかないのだけれどもそういう気休めをなんの臆面もなく言えちゃえるおっさんが好き(陰で確実に頭抱えてる)。かといってこっちからグイグイ迫ると、見るからにうろたえちゃって、それを隠そうとする威勢のつよさをみせようとするのだけれどもうまくいかず、すたこらと絵に描いたような姿で尻尾を巻いて逃げてしまう臆病なおっさんが好き。わかってくれるかなー。わからない? じゃあこれを美熟女に置き換えてみ? な? 萌えるやろ?


120:【配慮】
どんな配慮も差別にはならない。そこにあるのは見通しのわるかった善意でしかない。差別と区別は現象としてみれば大差ない。そこに対象への侮蔑の念があるかないか、見下しの精神があるかないか、極めてあいまいな要素が差別の根幹をなしている。やらない善よりやる偽善とはいったもので、しない配慮よりもする配慮のほうがけっかとして世のなかうまくいくことが多いのではないか。差別をなくすこととすべてを同等に扱うことは異なる。違うものは違う。そのうえで対象への配慮をどう配るかがだいじなのではないだろうか。

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