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『一本花』

という横槍メンゴ先生の短編作品があるのですが、それが死ぬほど好きなのです。

死ぬほど、と言ったのは誇張した表現とかではなくて、このさき生きててもきっとこれ以上の作品に出会うことはないんだろうな、と思えるほどに、自分の中では至高の作品の一つなのです。



『一本花』は、何年も前にヤングジャンプに特別読切で掲載された作品です。

当時、石田スイ先生の「東京喰種」が好きでヤングジャンプを毎週買っていたので、横槍メンゴ先生が「レトルトパウチ!」を連載していることは知っていました。ただ、なんか急に始まった感があって(今調べたら他雑誌から移籍した作品でした)読んだり読まなかったりという感じのまま、しばらくして東京喰種の完結と共にヤングジャンプも買わなくなりました。

その後もコンビニに立ち寄ったときにヤングジャンプを手にすることはあっても「テラフォーマーズ」が再開されていないかチェックする程度だったのですが、そんなある日、特別読切として掲載されていた『一本花』と出会いました。

その頃はもう、絵柄と、名前を憶えている程度でした。

「この作者さん知ってる」という軽い感覚で立ち読みを始めて、コンビニを出るときには、逸る気持ちを抑えるように、買ったヤングジャンプをしっかりと胸に抱えていました。

そのときの掲載号は、今でも本棚に残っています。

絶対に捨てられない、と今でも思っています。

初めてこの作品を読んだときの衝撃は、それほどに強烈だったのです。



その後、横槍メンゴ先生の読切作品を収録した短編集が発売されたことを知りましたが、長らく買う機会がないままでした(本当に好きな本は手に取って買いたいという気持ちと、ド田舎なのでまともな本屋が近場にないという絶望的な状況のせいです。あと単純に忘れていたり、出不精なので本屋に行く習慣がなくなったせいもある)



その短編集を、今日ついに手に入れることができました。

別件で立ち寄った、車を何十分も運転したところにあるTSUTAYAで見つけたのです。

「一生好きってゆったじゃん」と「めがはーと」の二冊。

前者が『一本花』が収録されている短編集で、後者は発売されていることすら知らなった短編集です。



久しぶりに読んだ『一本花』は、やはり自分にとっては至高の作品でした。

他の収録作品も、一つ一つの濃度が濃すぎて、読み続けていると窒息してしまいそうな感覚に陥ります。

一つの作品を読み終える度に少し気持ちを落ち着ける時間を作らないと、次のページが捲れませんでした。



これは本当に素人考えなのですが、漫画の短編作品って、小説での短編作品よりも難しいと思うのです。一コマでは成り立たないし、ワンシーンでも全然足りない、限られた絵と言葉を最大効果となるように配置して、一つの物語として形を成す。

漫画と小説ではまた違いますが、横槍メンゴ先生の短編作品は「こんな短編を書けるようになりたい」と思わずにはいられなくなる作品ばかりなのです(めちゃくちゃ烏滸がましいこと言ってる自覚はちゃんとあるので許してください!)

小説を書く人にこそ、読んで欲しいと思う漫画です。

表現すること、その極みの一つがここにあると思います。





これだけ熱く語っておいてなんですが、「推しの子」は読んだことも見たこともありません。

原作が違うのか―という残念な気持ちを最初に抱いたときから、なんとなくずっと避けています(そもそも、数年前から流行のアニメや漫画にほとんど触れなくなりました)

ヤンジャンを買っていたときは「かぐや様~」も面白いと思って読んでいたので、赤坂アコ先生が嫌いとかではないんです。

『一本花』に触れてしまった後だと、より純度の高い横槍メンゴ作品が読みたいなーという我儘な気持ちが邪魔をしているのだと思います。

まぁ「クズの本懐」も読んだことはないんですけどね……(アニメ化された当時に作品名を見聞きした程度でした)
「レトルトパウチ!」もなんとなく読んでいただけですし(今思うとこれはすごくモッタイナイことしてましたね)



結局は、短編だから好きなのかもしれないです。

溺れる程に濃密な人間が描かれた作品が、きっと溜まらなく好きなのです。

5件のコメント

  •  わたしは一通りのアニメは観ています\(^o^)/

     それにしてもペンネームの由来もそうでしたが、意外に漫画とかアニメを観ているようで意外でした。

     作風からの勝手なイメージでは、まったく想像できなかったので。

     東京喰種はよくアニメ化できたなと驚きの内容でしたね。

     推しの子は内容というより、構成が上手いと思っています。特に引きが見事な作品でした。

     横槍メンゴ先生の作品はグズの本懐しか知らないですねー。しかもアニメで(汗)
  • >シノミヤ マナさん
    フツーにオタクだと思いますw 正確が天邪鬼なので流行に逆らう傾向があるってだけかもですね。最近は美味しんぼのアニメが面白いなーと思ってよく見てます(平成に取り残されている

    東京喰種のアニメは見ないままですね。漫画だけで完全燃焼できたので、アニメはいいかなーという気分でした。最終回が掲載されたヤングジャンプも未だに本棚にありますよ!雑誌の背表紙が石田スイ先生描き下ろしなんですよ!(オタク再熱
  • コメント失礼致します。
    横槍メンゴ先生は「推しの子の作画の方か」と思いクズの本懐を電子で3話くらい読んだことがありました。
    漫画を描くというよりも人を描くといった印象で子供の私が読める作品ではないかなと思いその先は読みませんでした。

    私はまだ子供の内は推しの子だけで良さそうな感じですかね〜(推しの子もまあまあ大人な内容ですが)
  • 〉雪華さん
    「推しの子」はすごい人気なので、年代を問わずに見れる作品なのだろうと思っていたのですが、あれも大人向けな部分があるのですね(それすら知らなかったw

    人を描くという印象、本当にそのとおりだと思います。余すところなく描かれているので、あの作風は大人でも抵抗を感じる人は少なくないと思います。

    そのあたりの線引きをちゃんと認識できている雪華さんは、自分のような半端な大人よりも、物事を正しく見れているのだと思います。
  • そうですね…芸能界の裏側的な内容なので子供には割と難しい方だと思いますw

    いえいえ、そのような大層なものではないと思います!線引き出来てきたのも最近ですしね…


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