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遠い約束



花が咲く木の下で子どもが二人座っている。

見た事が無い花、異星の子どもたち。
どこかから聞こえる弦の音。


「ねえ、いつロケットに乗るの?」
「うん、ボクは明日。」
「そうか、あたしはあさって。」
「どうしてボク達は同じロケットじゃないんだろうね。」
「……、そうだね。」
「ボク達また会えるかな。」
「……わかんない。」
「泣かないで、ボクも泣いちゃう……。」



「……あたし、明日そっちのロケットにこっそり乗る。」
「そうする?」
「うん、絶対にそっちに乗る。」
「約束だね。」
「うん、約束。」


「あ、お母さんが呼んでる。ボク行くよ。
約束、約束、忘れないでね。」
「うん、約束ね。絶対に行く。また明日ね。」


花が散る。
静かに。
その小さな約束は花しか知らない。

だがその全ては今では消え去って何処にもない。
遠い彼方の約束だ。

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