平安時代初期を舞台に小野篁の活躍を描いてきた物語『SANGI 参議・小野篁伝』がついに完結した。
連載としては今年の1月からはじめて、約8ヶ月間の連載だった。
文字数は112,566文字。一応、目標であった10万文字は突破している(長編の基準が10万文字以上であるため)。
長いようで短かった気もする。
小野篁の物語は『TAKAMURA』にはじまり、『YAKYO』に続き、『SANGI』で完結とする。勝手にTAKAMURA3部作と名付けたりしているが、それで物語はお終いだ。
小野篁という人について、ちょっと書きたいと思う。
平安時代初期(802年生まれ)に活躍した貴族である小野篁は、朝廷で活躍した他に、漢詩や和歌などでも実績を残した人物である。和歌に関しては、百人一首に参議篁の名で短歌が収められていることでも有名な人だ。
歴史の教科書には出てこない人物ではあるけれども、その人生は実に面白い。
元服後は父に従って陸奥国で蝦夷(読み:えみし。東北の豪族)相手に武芸を磨いていた。しかし、それを知った時の帝である嵯峨天皇に嘆かれ、慌てて平安京に戻って文章生(読み:もんじょうしょう)となる。文章生というのは大学寮の学生であり、政治について学んだりするエリート養成機関のようなものだと想像していただきたい。
文章生になった篁は、その才能を発揮して、弾正台の巡察弾正という役職に就く(弾正台は当時の警察機関のようなもの)。
そこでまた才能を爆発させて、出世コースの階段を駆け上がっていくというわけです。
そして、遣唐使で唐の国へと渡ることとなったけれども、遣唐大使で篁の上司となった人物が無能で理不尽な要求をしてきたことから篁はブチギレて、遣唐使をボイコット。
しかし、それが帝の逆鱗に触れ、官位もすべて取り上げられて反逆者として島流し(隠岐の島)。
島流しにあったけれども、恩赦で平安京に戻ってきた篁は、またまた才能を爆発させて朝廷の役人として復活。そして、またまた出世をしていって、参議の位まで上ったのでした。
というのが、小野篁の史実なんです。
しかし、この小野篁という人物は史実以上に面白い話が色々と残されていて、昼間は朝廷の役人で夜は閻魔大王の官吏を務めていたという噂が流れるような人物でした。
そういった逸話と史実を混ぜ合わせて描いたのが、TAKAMURA3部作となります。
3部作全部合わせると30万文字以上。
嬉しいことに先日1作目の『TAKAMURA』はPV数が2万を超えたところです。
まだ小野篁に出会っていない、あなた。ぜひとも、小野篁という魅力的な人物の物語を読んでみませんか?
そして、最後まで読んでくださった皆様、長きに渡りお付き合いいただきありがとうございました。