夏をテーマに『削り氷に、あまづら』という作品を書いてみました。
この作品は「さいかわ葉月賞」の選者参考作品ということになります。
「おめー選者参考作品で、なに平安時代小説書いてんだよ。どこを参考にしろってんだ」
と罵倒されるのは想定内なことです。
だって、気づいたら平安時代小説を書いていたんだもん。
言い訳はこのくらいにしておいて……
作品名の『削り氷に、あまづら』というのは、清少納言の枕草子に出てくる一文です。
「削り氷に甘葛《あまづら》入れて新しき鋺《かなまり》に入れたる」
これだけ読んだのでは、何の話だかわからないですよね。
現代語訳してみると『削った氷に甘葛という植物から出る甘い樹液のようなものを掛けて、新しい鋺という金属製の器に入れる』ってことらしいです。
平安時代中期はこれが貴族たちの間で風流だと思っていたのだとか。
でも、その削る氷ってどこから来ているのよ?
ということで、今回の物語を書いてみました。
主人公は、源頼光と渡辺綱です。
知っている人は、知っているけれど、知らない人は「誰よ?」となる人物ですよね。
彼らは平安時代中期に活躍した武士《もののふ》なのです。
酒呑童子退治や土蜘蛛退治の話や、鬼切、髭切、膝切といった名刀の話などが残されていたりします。
そんなふたりが氷室へ向かう物語。果たして、ふたりは氷室から氷を持って帰ることができるのか。
お楽しみいただけたら、幸いです。