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三題噺『小悪党日和』

前々から小悪党の現代ものを書きたいと思っていた。
現代でもっともポピュラーな犯罪。それは特殊詐欺事件だろう。
特殊詐欺事件をテーマに物語を書こうと思っていた矢先に、発生したのが「ルフィ」を名乗る男たちによる特殊詐欺事件だった。
この事件は特殊詐欺事件だけに限らず、高齢者の自宅に押し入り縛り上げて金を奪う強盗(強盗殺人もあった)や宝石店強盗など、SNSや闇サイトと呼ばれる場所で呼び集められた素人集団がプロ顔負けの犯罪を支持されながら行うというものであり、もはやフィクションを超えてきていた。
犯罪プランナーのような仕事(?)が裏社会では存在している。それは、ずいぶん昔から言われていたり、ドラマや映画のモデルになったりもしていた。
しかし、「ルフィ」を自称する男は、ただの小悪党なのだ。
映画や海外ドラマに出てくるようなコワモテ俳優ではない。面白い髪形をした悪党になりきれない小悪党。自分の手を汚したくないだけの小悪党。絵に描いたような小悪党なのだ。
こいつらの登場のお陰で、私は小悪党が主人公の小説を書くのを一度は諦めた。

しかし、書きたいという気持ちがどこかで燻っていたのだろう。
今回の柴田さんの自主企画『三題噺』のお題を見た時に、書こうと思った。
【三題噺 #39】のお題は、「モデル」「タクシー」「アリバイ」。
このお題で「これだ!」となったのは最後の「アリバイ」だった。
あとはモデル、タクシーをどう使うのか。
三題噺の難しさは、ここにある。
三つのお題をどう織り交ぜて話を組み立てていくかが難しい。
書こうと思って書けずに諦めたお題はいくつもある。
難しいからこそ、面白い。

私はお題企画の時は、自分の作品が書き終わるまでは、なるべく他の人が書いた作品を読まないようにしている。
被った時に、それに影響されてしまうのが怖いからだ。
お題によっては、みんながみんな被ってしまう時もある。
そこをいかに捻くれて、被せないようにするか。
天邪鬼の本領発揮である。

というわけで、今回書いたのは『小悪党日和』。
https://kakuyomu.jp/works/16817330666693478522
2800文字程度の短編です。

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