しろめしめじ

「これが何かわかるか？　」――霜月は興奮した素振りでそれを包丁でスライスすると、徐にホットプレートで焼き始めた。香ばしい肉の焦げる匂いが、研究室内に広がっていく。その匂いは、彼の…

私が体験した不思議な出来事や、知人から聞いたスピリチュアルな話を主体に書き綴ってみました。短編で、おちの無い話や、ただただなんだったんだろうってだけの話もありますのでお許しを。

ルポライターの宇古陀が、一枚のちらしを四方の事務所に持ち込む。『風の祀り』と書かれたカラー刷の案内には、『風が、全てを祓い清めてくれる～招神祓清』とのサブタイトル。主催は新興のI…

探偵四方の事務所に、一人の青年が訪れる。彼の名は杉沢明人。行方不明になった彼女、乾美夏を探して欲しい――それが、彼の依頼だった。一見、ありふれた月並みな依頼の様に見受けられたのだ…

まず俺のスペックを語っておく。小城遙２２歳。大学中退してからは主に実家の番人を生業？としている。ま、ニートです。んで、どういう訳かコンビニから家に帰る途中、いきなり人外異形のモン…

探偵四方の元に、身なりの良い一人の中年男性が現れた。彼は思いつめた表情で、四方に切実な願いを告げる。娘の魂を取り戻して欲しい――と。

宇古陀の紹介で、アラサーの女性が四方の事務所を訪れた。行方不明になった彼氏を探して欲しい――その依頼を受けた矢先、妙な依頼人が現れた。二十代後半から三十代前半の男性なのだが、彼は…

別にそれが専門という訳じゃないのに、何故だか人探しの依頼が多い。浮気や不倫の調査のほうが楽なのだが・・・。

　久し振りの潮の香が、僕の鼻孔をくすぐった。海に迫り出す崖の上に建つ、一軒の家。僕達家族四人の新たな生活がここで始まるのだ。でも新たな生活と言うには、正直のところ新鮮味に欠けてい…

限界集落だろうか。最初は、そう思った。俺――鴨川響輝が目的の無い旅に出かけて半月程経った頃だろうか。とある道の駅の観光案内を眼にした俺は、そこに載っていた、山中に僅かながらの住民…

この世界に溺れる者は多種多様だ。あくまでもゲームとして第二の人生を疑似体験している連中はまだ救われている。厄介なのは、リアルから逃げ出してこの世界ににどっぷりと身を沈める者達。闇…

惟村が死んだ。それも、自らの手で――それは、余りにも衝撃的な現実だった。彼女が何故、死を選んだのか。同じ大学で学部も一緒、一応人並みに会話もしていたが、そんな思いつめている感じは…

　大学で心理学研究室の助手を務める咲良爽は、何気なく散策していた路地裏で、不意に異界へと迷い込んでしまう。そこには、偶然にも彼と同様に迷い込んでしまった高校時代の同級生、保住美津…

茂利一行は、職場では年下の上司からパワハラを受け、ようやく単身赴任から解放されたにもかかわらず、家には居場所がないという不遇な生活を強いられていた。彼の望みは、夜の散歩中に異星人…

　2020年の夏――新型コロナウイルスの緊急事態宣言が漸く解除されたものの、へたれ中年サラリーマンの俺は、まだまだ安堵できずに単身赴任先のアパートで戦々恐々の日々を送っていた。あ…

苦しかった浪人生活を卒業し、晴れて大学生となった俺の部屋に、忽然と少年の幽霊が現れた。彼の名前はトモロウ。まだ中学生なんだけど、頭脳明晰で、俺が全く解けない数学の問題をすらすら解…

　ギルド難民のおれの楽しみは、酒場で安酒を呑みながら喧騒に身を委ね、昼下がりをまったりと過ごすことだ。時折、ギルドで紹介してもらう薬草運びで酒代を稼いでいる。そんなおれが、大鎌蛙…

西暦２XXX年。霊の存在が認められ、人間界と霊界が普通に交流しているこの時代、不動産業界はお祓いのエキスパート『霊能士』と組んで、『いわくつき物件』を浄化し売買するのが当たり前に…

俺は喜多尚人。某大学工学部の大学院生だ。その日も、俺はいつもの様に週末のドライブを楽しんでいた。だが、誤ってレトロな住宅の庭先に迷い込んだ時から、俺の数奇な運命が幕を開ける。走り…