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飼い猫を喪いました

10歳になったばかりの猫が、4月6日、空に行きました。

彼は2011年3月30日生まれ。
ちょうど猫とのご縁を求めていた私のところに飛び込んできた、「猫の里親募集中」の情報。知人の、そのまた知人の家で飼っていたママ猫と娘猫が、そろって脱走してそろって恋をし、3日違いで出産したとか。で、子猫がいきなり7匹になってしまったと。
そういうことならと、私はそのうち2匹をうちに迎えました。ママ猫の息子と娘猫の息子、それぞれ1匹ずつです。

ミルクティーカラーの綺麗な被毛を持つ「おじちゃん」猫に対して、「甥っ子」猫の彼は、きわめてスタンダードな、どこにでもいる茶トラ猫でした。
しかも、全体にどこか情けない猫でした。
猫なのになんとなく垂れ目。
妙に柔らかい体をしていて、撫でれば撫でるだけ、みょーんと伸びる。
「ふな゛ぁー」という、つぶれたような声しか出ない(しかも子猫のうちはほとんど鳴かず、「この子、声帯あるの?」と心配したことも)。
おまけに、長ーいしっぽの持ち主なのに、最後までぴーんとできない。どういうわけか、途中でクエスチョンマークみたいに、くにゃんと曲がって垂れてしまう……。
どこにでもいるようで、こんな猫見たことない。
不思議な不思議な猫でした。なんか見た目情けなくて、実際にポンコツで、そして甘えっこな猫でした。

膝に丸まり込んでくる彼の、あのやわらかーい体。重さと手ざわりとあたたかさ。
もっともっとずっと、一緒にいられると思っていました。
あの幸せが、こんなに早く失われるなんて思いませんでした。

寂しそうな相棒猫と気持ちを分かち合いながら、ここ数日を過ごしています。
このようなことでヨムもカクも滞っており申し訳ありません。
近日中には復活しますので、またどうぞよろしくお願いいたします。

10件のコメント

  • 悲しいですね。

    まだまだ長生きして欲しかったでしょうね。

    猫好きなのでその悲しみは分かります。
    うちの子達も10歳を超えているので、他人事とは思えません。

    ペットロスは辛いと思いますが、愛されていた記憶をちゃんと胸に抱いて天国に召されたと思います。いつかきっと虹の橋のたもとで会えるのを待っていてくれると思いますよ。

    書きながら泣けて来ました。
    😢そして、今は相葉君の番組でにゃんこを観ていますから尚更です。
  • >あいるさん
    こんにちは。
    ありがとうございます。

    あいるさんの猫さんたちも10歳以上なんですね。うちの茶トラは腎不全になってしまったので残念なことになりましたが、最近は20 歳超えの猫さんも珍しくなくなってきたみたいですし、きっとまだまだ元気でいてくれることと思います。
    うちの子のぶんも長生きしてくれますように^^

    コメントありがとうございました。
  • ひな祭りの段々を登ってた子でしょうか。
    紗矢子さんの文章に悲しみが溢れ出していて、一緒に悲しくなります。
    どうぞ安らかに。

    こういう時に無理してカクもヨムもする必要ないです。
    学生時代の大の猫好き先輩は、愛猫が死ぬ直前は「介護じゃ」、死んだ時は「忌引だー」と言って有給取りまくってましたよ。凄く仕事のできる、どちらかというとワーカホリックなひとなんですけどね。

    お子さんたちも、片割れにゃんこちゃんも、みんなみんなロスってると思います。どうか皆さんでゆっくりお過ごしくださいませ。
    春の夜は、旅立ったにゃんこちゃんとの思い出を振り返る時間としては、やや短いでしょうから🌠
  • >満つるさん
    こんにちは。
    介護、忌引、ちょっと笑っちゃいました。本当に私もそんな気持ちでした。そして今、介護期間に対していろいろな後悔が湧くのも、人のそれとかなり近い心理なのかもなと思います。

    猫にとって慢性腎不全は宿命的な病気ですが、人間と違って、透析も腎移植も現実的ではありません。それならせめて症状をやわらげてあげたいのに、緩和ケアも確立していない……。もっと、日に何度でも獣医さんに通って痛み止めを入れてもらったらよかったのかなとか、静かなほうが落ち着くかとあまり使わない部屋に寝かせていたけれど、リビングにいさせてあげた方が良かったのかなとか、いろいろ考えてしまっています。

    あ、ひな段チャレンジをした猫のモデルは、私がまだ子どもの頃に実家にいた子で、当猫とは別猫です。
    ずっと猫を飼ってきて、猫との付き合いはとても長いんです。でも、子どもの頃は今みたいに室内飼いが主流ではなかったので、たいていの子は、家出していつの間にかいなくなるパターンでした。だから、自分の子どものように育てた猫を、自分の家で、息を引き取るまで見守るという経験は、今回が初めてでした。

    時間が経てば、介護期間の後悔も含めて、受け入れることができるのかな。
    今はちょっとわかりませんが……。

    長文すみません。
    コメントありがとうございました&読んでくれてありがとうございました。
  • こんにちは。お邪魔いたします。

    家族の中でもペットとの距離感は特別なものがあるので、失った時の悲しさとやるせなさは特別なものがありますね。愛宕の場合は飼い犬でしたが、祖父や親戚が亡くなった感情とは違うものが込み上げてました。
    相棒猫も消沈気味かと思いますが、沈んだ飼い主に寄り添って励ましてくれているんじゃないかなと想像しています。まずは、心を癒やして。体調を崩さないように気をつけてお過ごし下さい。
  • >愛宕さん
    こんにちは。
    ありがとうございます。

    愛宕さんもわんこさんとのお別れの経験があるのですね。犬や猫は、時には人間よりもずっと近いところにいますから、亡くすのは本当に大きな出来事だと思います。

    相棒猫は茶トラの闘病中ずっと側を離れず、茶トラの命が消えてからも、まる2日間寄り添い続けていました。私より彼の悲しみの方が深いのかもしれませんが、お互いに早く立ち直っていければと思います。

    コメントありがとうございました。
  • 私に取って動物とは、この世に生を受けてからの身近な存在だと思っています。

    犬、猫、鳥を始めてとして多種多様な動物に触れてきました。家の中で鳥が歌い、庭に目を向ければ犬が吠え、縁の下を覗けば、猫が身を潜めているなどなど。振り返れば、とても感慨深いですね。

    そんな記憶を心に刻み付ける動物達は、人の声に応え、人の想いに反応して、様々な仕草を見せて愛らしさを覚えるものです。寂しさを埋め慰めてくれる存在でもありますね。

    そんな動物達は、人よりも短い生涯を余儀なくされる。人よりも早く天へ導かれてしまう。

    悲しいことですが、それ以上の幸せを動物達はくれますね。種別は違えども、人と等しい存在。人と同じ命の重さを感じ、儚くも尊い家族の一員だとつい想ってしまうものです。私は動物達を家族に向かい入れる中で、沢山、そして様々な涙を零してきました。

    看取る、喪う、弔う、に限らず、辛い、怒り、憎しみ、も覚えて涙したこともあります。その零した涙は気が付けば、人に対して流す涙と同じだと感じ入ってしまったものです。


    岡本様もきっと人と同様だと思っているからこそ、寄り添い、そして多くの涙を零してきたのだと私は思います。愛猫は、とっても嬉しいと思っているに違いがありません。ママ、沢山ありがとうと、伝えたいのかもしれません。愛猫は沢山の幸せを家族に魅せれて、そして別れを惜しんでくれる姿にきっと涙で応えているとさえ感じます。

    岡本様、泣ける間は沢山の涙を零してあげて下さい。そして猫と過ごし楽しかった日々を慈しんであげて下さいね。それが愛猫と岡本様の絆をさらに強く結びつけて、心に刻み込んでくれますから。そしてもう一匹の愛猫に伝えてあげて下さい。そうすればきっと愛猫は応え続けてくれます。

    私ね、先月、実家の愛犬を天へと見送りました。
    老犬であったが故、病魔に蝕まれるとあっという間だったそうです。義理の母が最期を看取りました。

    私は最後の別れを言いに実家へと足を向けました。

    十五年の間、私の姿を見ると何かと吠え続けた犬です。愛情もあり、実家の中に入ると静かだったことが胸を突きました。

    リビングに横たわる犬は物言わずで、ほんとうにただ寝ている様な感じでした。傍に寄り添い冷たく固くなった頭を優しくなでると、ひょこっと起き上がってまた吠えるのでは無いかと想像が浮かび、居た堪れない気持ちになったものです。

    灰に成った今でも、実家を訪れると私に吠えて寄って来る仕草が思い浮かび、声までする錯覚までします。本当に不思議です。その姿は決して見る事が叶わないのに……。


    岡本様、しみじみとした話ではあれなんで、一つエピソードを岡本様に届けたい。

    もう三十年ぐらい前の話です。アメリカンショートヘアを家族に向かい入れた事があります。
    銀毛に黒の縞模様のスリムな容姿に、長い尻尾が先端で鉤の様に曲がった猫でした。ちょうどフック船長の義手の感じですね。

    その猫は、幼い頃はとてもヤンチャで障子や襖に穴を穿ち、道を切り開く逞しさと冒険心を持ち合わせていました。ですが、おっちょこちょいな一面があり、尻尾の先端を障子や襖の露出した枠組み引っ掛けては、ニャーニャー助けを求めてきたものです。

    笑ってしまいますが、とうの猫は必死なのです。助けてと言うのですが、わざと助けずこんこんと叱り付けてしつけました。
    ええ、穿つ穴が目立ちボロボロになった襖や障子を他所にして、尻尾が死活問題だと猫に教えたのです。ですが、助けた後もケロッとする猫は懲りる事無く、飄々として、また同じこと直ぐに繰り返していました。

    そんな猫を目に収める中で痛い目を見ないと分からないなと感じてもいました。

    そんなある日の事、何処からともなくニャーニャー助けを乞う猫の鳴き声が聞こえる。

    家中を探して見るものの姿は見えず。見えない姿を追い求めて必死になって探す中で、鳴き声に耳を傾け、声を道筋に辿り近寄っていくと猫を見つけました。

    人が腰を掛けるには丁度良い高さにある出窓。

    そこから顔を覗かせると、窓枠のサッシに尻尾を引っ掛けて縦にぶら下がっている猫を見つけました。ちょうどハンガーで洗濯物を干すような感じですね。安堵すると共に無性に笑いが込み上げていました。
    そして必死に泣き叫ぶ猫を助ける中でクドクド叱り付けて反省を促し、尻尾に気を付ける事を教えました。

    猫はそれに懲りたのか二度とその失態を繰り返す事はありませんでした。


    三十年前ぐらいの話ですが、今でも鮮明に浮かぶものです。

    こうした記憶は猫が死してもなお、思い出と共に人の心の中に生き続けるのです。
    余談ですが、この猫、大人になって賢い紳士になりましたが、死してもなお私達家族に未だに力を及ぼし続ける、とっても力がある猫なんです。機会があれば、紹介したいですね。

    岡本様にお教えしたのかうる覚えですが、過去に四回に渡って猫を家族として向かい入れた所以の元がこの猫です。ミステリー的なお話です。

    私の話一つで岡本様が再び日常的に笑顔を浮かべられるきっかけとなりますように、願いを込めて。
    長文失礼いたしました。
    美ぃ助。
  • >美ぃ助さん
    こんにちは。
    ありがとうございます。
    そうですよね。私も種類は違っても存在としては人と同じだと、そんな気持ちで猫たちと接してきていたかもしれません。うちの猫だけの話ではなく、これまでに縁のあった子たちとはみんなそうかもしれません。
    実家のわんこさんのこと、美ぃ助さんもとても悲しかったことと思います。うちの実家にはずっと猫がいたと上記コメント内で書いていますが、うち一代だけなぜかミニダックスがいたことがあったので、猫とはまた違う犬のふるまい、そしてその存在感と喪失感の大きさ、とてもよく分かります。

    かぎしっぽのアメショちゃんのエピソード、楽しく拝読しました。
    しっぽをひっかけて助けを呼ぶのって、あるんですね。
    茶トラの闘病中は遠巻きで、いなくなってからもわりと通常運転の子なのでこれまで触れていませんでしたが、実は当家にはあと一匹、猫がいます。生後1ヶ月にも満たない時期に捨てられていたのを、拾ってうちの子にしたのですけれど、この子も、クリップのようなかぎしっぽです。で、ケージに思いっきりしっぽをひっかけて動けなくなり、ミーとかギャーとか一生懸命叫んで助けを呼ぶという失態を、しっかりやらかしました。
    こんなバカなことをするのはこいつだけだと思っていたのですが、「だけ」じゃなくてよかったです。笑

    美ぃ助さん、ありがとう。いろいろ聞かせてくださって、少し元気出ました。
    アメショさんのミステリー、楽しみにしていますね。
    コメントありがとうございました。
  • こんにちは。

    猫さん、ご愁傷様です。
    それだけ想われているなら、幸せに逝ったことと信じます。

    私自身はペットとともに過ごした経験がない(金魚を除く)のですが、父が昔犬を飼っていて、やはり別れが哀しすぎたので、二度と犬を飼えなくなったと言っていました。

    語るときの父があまり寂しそうなので、話を聞いたときはなんだか一緒に気持ちが沈みました。

    でもそういう時間って大切だと思います。傷つかないことには癒えることもないですから。

    無理にかさぶたをいじらず、泣くだけ泣いて、必要な時間をかけてゆっくりと立ち直ればいいと思います。楽しかった思い出と一緒に。

    浅薄な私見です。失礼しました。
  • >レオニード貴海さん
    こんにちは。
    ありがとうございます。

    お父様のお気持ち、わかる気がします。こんな思いをするなら最初からいない方がいいと、そう思うくらい、その子を愛していたんだろうなと。

    喪う悲しみは大きいですが、そこまで含めて、その子と「一緒に生きた」という証明ですよね。私も今しばらくは、茶トラの思い出と一緒に過ごしていこうと思います。

    コメントありがとうございました。
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