さかな

学問を極めるだけでなく、工業、農業、建築などの分野でも数々の革新をもたらした魔法生物学者として、広く名を知られるアシュティ・フロウ・メリウェイ。彼女は没する直前までアスバート大陸…

『魔力を使う者』と『魔力を与える者』が二人そろうことによってはじめて与えられる称号―― 「魔法使い｣。 中央大陸で随一の繁栄を誇る魔法国家セルビアは、数多くの｢魔法使い｣を世に…

王が崩御した。その知らせとともに知らされたのは「王位を手に入れたくば、赤き冠を手に入れよ」という遺言だった。 死神姫と呼ばれる第二皇女クラウィスは王位を手に入れるため、最も無慈悲…

急峻な山あいにひっそりと暮らす雪豹族。広大な草原で馬と羊と共に暮らす灰狼族。二つの部族は折り合いが悪く、行商の民である赤鷲族の仲介でなんとか平穏を保っていた。 だがある日、二つ…

神奈備の地、大城山。狩りに出かけた薬師の青年は、ある日山でひとりの女神と出会う。 前世の約束を果たすため、朝廷に従わぬ神に弓引く者からすべてを守るため――青年は立ち上がり、戦う…

遊牧民の生活に憧れる少女。 穏やかな日常はある日、異民族の襲撃と共に終わりを告げた。 とらわれの身となり、明日をも知れぬ日々を過ごす。 その運命は、幼き日の思い出と共に回り出し…

殺した数は数百と知れず、失敗は一度もしたことがないと噂される、凄腕の殺し屋――彼女はある日、行き倒れているところをアイと名乗る女に拾われる。それが悲劇の始まりだった。

かつて馬首を並べ、剣の腕を競い合った友は敵軍の将となった。 再びまみえた彼女と剣を交わすとき、明花は昔を想う。 彼女は約束を覚えているだろうか、と。

「それ」はいつも霧に紛れて私のところへやってくる。 わかっているのはただ二つ。 彼女は「処女の血」を求めてやってくる、ということ。 私が「血の巫女」に選ばれたということ。 人々は…

黒い森フォレノワールには、乙女の血肉をすする悪魔が棲んでいる。 彼女はある夜、ひとりの死にかけた少女と出会う。甘く甘美な血を持つ少女は、まさに悪魔が探し求めていたものだった。 …

日々酷い折檻を受けていた遊女の少女はある日、豪雨の日に花街から逃げ出した。 その先で少女が出会ったのは、一人の神だった。 ――これは、芸事をつかさどる女神に見初められた、美しい…

かつて、炎から逃れ全てを失った二人は誓い合った。どんなときも離れず、互いを支え合うことを。 その後成長したふたりは、それぞれ国を治める皇帝となり、国を守るため最前線で戦う将軍とな…

「悪い夢はここで全部喰ってあげよう」 暗闇の中、そう言って猫は笑った。 #400字アタック　第2回戦の企画に参加させていただきました。 お題は「夢喰う猫は実在するか」です。

立入禁止のテープが貼られたマンション。 そこが、二人の世界のすべてだった。 #400字アタック　の企画に参加させていただきました。 お題は「マンション、歪み、立入禁止」です。

たすけを請う龍に、男は言った。 「助けてやろう。そのかわり、おまえをよこせ」 男は求めた。美しい鉱石龍のそばにいて、ただひとり彼女に触れる権利を。 これは、死に場所を探す男と、…

生きる意味を失った犬神と、生きる意味を捜す少女が出会うとき、物語は動き出す―― 妖の姿が見え、その存在をこよなく愛す少女、彩花。 妖を忌み嫌い、その存在を厭う彩花の婚約者、優。…

人に触るだけで、感情を自分のもののように体験してしまう少女。 触れる人に自分を拒絶させてしまう体質ゆえに孤独な青年。 互いは互いを求め、そこに自分の存在を見出す。 ――それは…

本の虫が、今まで食べてきた本について語るおはなし。 ※ここでいう「本」とは、文字を使って表現された「読み物」を指します。 　そのため、ありとあらゆる書物はもちろん、Web上で書…

遊牧民の少女は夢を見る。 「ベルタが空高く上る夜、お前を迎えに行く」 蒼き狼が紡ぐ、ただのその言葉だけを信じて。