普通のようでいてギスっているようでいて普通なんだけどナーバスになってるからギスっているように感じてしまっている自己紹介を書いたので、息抜きに久坂部羊『嗤う名医』を読みました。
面白かったーのでネタバレ注意ー。
えっと、現役医師による医者短編集です。タイトルの嗤うから分かるように、嫌な医者だったり生臭い話だったりの短編集ですね。
内容は……寝たきりになった医者が殺人を計画する話、不幸な女の話、性格のキツい名医の話などなど。
ミステリ風にホラー風、エログロなど、あまり作風を選ばないタイプのようです。
文体は三人称メインでたまに一人称。現役医師だけあって普段はあまり見かけない特殊な語彙が頻出してちょっと楽しいです。叙事的で簡潔なので読みやすいですね。
ではお気に入りポインツ!
ポインツというか私の好きな話は……私自身もやや骨フェチなので、骨を愛するあまり美しい頭蓋骨が欲しくなる男が主人公の『愛ドクロ』ですかね。設定は好きです。
お気に入り話2はストレスのかかる手術を得意とする名医が微笑を浮かべながら生活のあらゆるストレスを溜めに溜め込んで裏で爆発させる話です。まあSMクラブなんですが。そこでの倒錯的な、特にオチ周りに倒錯的な話はやるなあと感心してしまいました。まあどっかで見たシチュなんですが、書くのは大変ですもの。ちゃんと扇情的でしたし。
逆に気になる話1!
冒頭の『寝たきりの殺意』ですかね。一行目でこういう話かなと思ったらそういう話だったので。
気になる話2!
2本目の『シリコン』。なんかこう、もうちょっと……いや、いいんですけど、もうちょっとこう……!
まとめ。
さっくり読める医療モノ短編集としてよろしいです。ただシモい話のシモさは人によってはエグいかもしれません。他はまあ、ちょっと嫌な感じの、ちょいイヤミスって感じです。ミステリか? うーん……まあ、一時間から二時間あれば読めますし、暇つぶしによろしいかもしれません。
明日のラッキー思いつき嘘知識
『医者の不養生とは、医者は高給取りで時間がない仕事であるために家を建てたり引っ越す際にいちいち養生などせず壊れたら交換してしまうという意味である』