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茉凜の告白

 ずっと辛かったんだよね。ずっと無理して、我慢してきたんだよね。私にはちゃんとわかるんだよ。あなたがどれだけ優しくて、不器用で、それでも一生懸命な人かって。普段はちょっとぶっきらぼうで、口数も少ないけれど、私に対してはいつも一生懸命に守ってくれてた。

 本当はすごく寂しがり屋で、たまに泣きたくなる気持ちを隠して、強がって、空回りしてるのも、全部知ってるんだよ。そんなあなたが、何も言わずに私を気にかけてくれて、それから、かわいいものや季節の花が好きだったり、真剣に勉強を教えてくれたり、お弁当を毎日残さず食べてくれたりするのが、すごく嬉しかった。

 それに、無防備な寝顔や、ふと笑ったときの表情がすごく素敵で、時々ドキッとしちゃう。夏休みの楽しいことや学園祭の演劇のことも、全部一緒に過ごせて、本当に楽しかった。もう、私の心の中はあなたでいっぱいで、どうしようもないくらいなんだ。

 だから、嫌いになんて絶対なれないよ。むしろ、もっと好きになっちゃうんだよ。たしかに、あなたが言う通り、私が見てきたのは弓鶴くんなのかもしれないけど、その彼を動かして私にいろんな顔を見せてくれたのは、あなたの心なんだよ。それだけはぜったいに間違いない。だから私はあなたが好きになったんだ。私はあなたが好き、たとえここであなたが消えてしまうとしても、ずっと好き……」

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