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苗字は三文字とかが可愛い

 本名が四文字とかだから、あらゆる場面においてのペンネームやハンドルネームの苗字とかにあたる部分を三文字にしている。三文字は言いやすくてよく、なにか可愛いような印象を、個人的に受ける。わたしにとって可愛いことはすべての場面においておそらく九割くらいは優先されるべき事項なので、もし今後自分の苗字を決めることができる場面に出会えたら、そのときは三文字の苗字にしようと思う。来海とかが良いを字面が可愛いものが良い。出席番号が早そうなものがいい。あんまり早すぎても困るから、真ん中とかが良い。真ん中、とかいうものはふしぎとやさしい気がするから。真ん中とかグレーとか、曖昧なのとか、グラデーションとか。
 ……インスタグラムで長い文章を書くのをやめたから、長い文章を書くことができる場所を探してここに辿り着いてしまった。そういうはなしです。
 与えられたものとみずからの手で得たものはどちらがどれくらい多くて、少ないのだろう。わたしのクローゼットには母親の買ってくれた服なんてもうほとんど残っていないけれど、わたしの大学までの学費は両親が工面してくれたものだ。わたしのメイクのやり方はわたしが大学生になってから試行錯誤したものだけれど、今わたしの部屋にある家具は父が買い揃えてくれたものも少なくない。比べたって意味がないのかもしれない。比べる尺度もまちがっているのかもしれない。むかし、「人と比較せず、自分の限界を知って、あゆみを決めることにしてい」ると、誰かが言っていた。そうなれたら、とおもう。けれどもそのひととわたし自身の距離は、その時点であまりにもかけ離れていて、そのひとが笑っていたのか、怒っていたのか、どんな表情をしていたかなんてわからなかった。相対化をすることでしかおのれの立ち位置を推し量ることができない。河合塾の偏差値がすごく優秀でありがたかった人生ばかりが思い出されるから。
 それでもわたしはわたしが可愛いと思えるものを知っていたらそれで良いって言えるときがいつか来たりするのかな。
 そうだといいなとおもうし、そんな日は来ないことを知っているような気もする。わたしの現在の苗字を縮めても、可愛いと思える発音になることはない。車が飛べば事故になることをわかっているから、明日の朝に食べる白米の予約炊飯をすることだけが今できることなのは変わらないままである気がした。


貯めてる下書きがあるので明日には投稿します。では

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