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【魔導士物語】第十六話「罠」を掲載しました

https://kakuyomu.jp/works/16817330649026392153/episodes/16818093074320322685

そんなわけで、第十六話です。

最初の方で、蒼城に使われた緑色凝灰岩(グリーンタフ)の話が出てきます。
私の住む地方では「十和田石」というのが昔から有名です。
十和田湖は火山のカルデラ湖で、火山灰由来の凝灰岩の産地なのですね。

ちなみにこの十和田湖は、古代に凄まじい超巨大噴火を起こしており、それが八郎太郎伝説(仲間のイワナを食べて龍になってしまう男の話)の元ネタと言われています。
この十和田石は、水を吸うと滑りにくくなり、しかも美しい緑色になるため、高級旅館の風呂石としてよく使われています。
興味のある方は、画像をググってみてください。

さて、今回はマグス大佐と蒼龍帝シドとの対談が主となります。
シドはまだ二十一歳で、童顔の上に男性としては極端に背が低い(大佐とほぼ同じで、百五十センチほど)、ショタ属性の美少年です。
体力はありませんが、魔導院時代に同期から〝悪魔〟という渾名をもらうくらいにずる賢く、陰険なニート体質をしています。
今回のタイトルである「罠」とは、シドがマグス大佐に仕掛けた「言葉の罠」の意味です。

大佐も百戦錬磨の軍人ですが、基本的に軍人は「嘘をつくな」と教育されます。
そのため「〇〇を知っているか?」と訊かれて場合、嘘の否定ができずに「答えられない」と言ってしまいます。
これでは「知っている」と白状しているようなもので、シドからすると非常に分かりやすいのです。

このほかにも、大佐との会話から、蒼龍帝は多くの情報を引き出しています。
約三十歳も下の若者に、完全に翻弄されている大佐というのは、なかなか見ることができません。

シドが前年に会った吸血鬼とは、伯爵の使いです。なぜそんなことになったかは「黒死山の館」を参照してください。
この使者が、シドを説得するための餌として提供した情報が、本章のタイトル「辺境の虜囚」につながっていきます。

さて、次回はマルコ港の見学を挟んで、再びカメリアが受けた襲撃の続きに戻ります。どうかお楽しみに!

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