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【幻獣召喚士3】第三十三話「綻び(ほころび)」を掲載しました

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そんなわけで三十三話です。

■帝国軍は黒城市を占領後、クレアからの物資・人員を受け容れる北を除いて門を固く閉じ、目立った行動を起こしていません。
 帝国が本気で王国を攻める気なら、城を拠点に打って出て、まずは第二軍の残存部隊を殲滅、次いで王都に向けて進撃するはずです。
 王国全土を掌握するとなると、黒城市占領に要した五万人ではとても足りず、恐らく二十万人規模の軍勢が必要となります。
 ケルトニアと交戦中の帝国にそんな余裕はありませんので、王国が音を上げてノルド割譲に応じるのを待つ作戦です。

■帝国軍としては、例え敵国民であろうとも、占領下の黒城市民の最低限の暮らしは保証しなければなりません。
 外部との接触を断った以上、食糧は入ってきませんので、旧市街五万の市民+占領軍の食糧が必要となります。
 これまで何度か説明されてきましたが、帝国の東部地区は開拓が思うように進まず、各地に点在する村落は自給するのが精一杯で、余剰生産物を生み出す力がありません。
 そのため、クレアの市民と東部方面軍は、穀物輸出国である王国から必要な食糧を購入していました。
 コルドラ大山脈西側の、帝国本土から陸送するのでは時間と経費がかかり過ぎるので、王国から輸入した方が早くて安いためです。

 しかし、黒城市を攻めて占拠した以上、王国は帝国東部に対する輸出を当然ストップさせます。
 もちろん、そんなことは作戦を立案した情報部も織り込み済みで、多少経費がかさもうとも本国からの陸送で十分賄えると計算していました。
 ところが、その兵站がなぜか計画どおりに機能せず、占領軍はかなり困った状態に陥ってしまいました。

 南から招聘した呪術師〝砂漠の隠王〟は故国に帰ってしまい、ロック鳥の偵察の妨害も無くなりました。
 アラン少佐は偵察を再開し、もたらされた情報を分析した結果、王国ではこうした事情を掴んでいました。

■さて、帝国の弱点を突いた王国側の作戦が始動しますが、どうやら例によってユニも巻き込まれそうな予感がします。
 どうかお楽しみに!

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