ヘラクレイトス、は俺のもっとも好きな哲学者で、いろんな箴言を残している。
「上がり坂と下り坂は一つの同じ坂である」
この箴言はとくに有名だ。

しかしこのヘラクレイトス、困った男である。
どの箴言も、いっけん、分かりやすいような、

だけどやっぱり、よくわからない。

実際、たいそうな屑野郎だったとのこと。
徹底的に他人を馬鹿にしていた。

「上がり坂と下り坂は一つの同じ坂である」


何が言いたいの?
ぱっと聞き「易きに流れるな」とか、そういう薄っぺらい解釈は、
いくらでもできるけど、さ。

違うでしょ絶対。

この世は、上がり坂だし、下り坂なのさ。
どの道、一つの同じ坂でしかないんだよ。

「俺は上がってる」とか思いあがっているのも、
「俺は下ってる」とか悲観するのも、
そんなこと考えている内は、まだまだだね~。

ヘラクレイトス、まったく困った男である。

「万物は一つであり、一なるロゴスによって万物は成り立っている」

「万物は一つ」なんですって。
ああ、そーですか。了解です。。。

?ぜ?ん?ぜ?ん?わ?か?ら?ん?

ヘラクレイトスの洞察は、どれも重要だが、
哲学史において、もっとも重要なのは、ロゴス(法則)という概念を打ち出し、
「神による世界説明を完全に捨て去った」ということである

、、とか、書かれてあった。
過不足のない説明だが、おれ個人的には、全然腑に落ちないものだ。



古代と現代を繋げてみると、こんなことが言えるかもしれん。

アインシュタインを凌ぐ天才といわれているヒュー・エヴェレットが提唱した多世界解釈、
という量子学の説がある。
エヴァレットによれば人間の実存すらも信じるに値するものではない。

エヴァレットによれば「私は生きている」世界と並行した、
「私は死んでいる」世界が現に今もあるのだという。

すべてがゼロとイチで構成されているビデオゲームのように、
コンピュータプログラムの乱数アルゴリズムの如きものが、この世界の核心、俺の振る舞い、
宿命すら決めている。

確かにその通りなのだろう。
エヴァレットの量子学の実験結果は、それを示しているのだから。

と同時に、それでもなお認め難いことは、
ではこの世には「信じるに値するもの」は何もないのか、ということなのだが。
(この問題こそが重要なはずなのだが、エヴァレットは、何も言及していない)

現にある、俺の「この開け」は何なのだろうか?という話である。
いくら言葉で考えても、ズレ続ける。

万物は一つというヘラクレイトス。

俺が考えるに、人類史上この人だけが、エヴァレット問題の核心の場所にいる。
むろん俺は、到底その境地へたどり着けない。

量子学的にいえば、 人の一生というものは、
無数の磁極から発せられるノイズや波のあとのようなもので、
何も残せずに終わるだろう。