【あとがき】
『家畜化された機械たち』第八話です。
今回は、自律機械の格闘技を書きました。
コピーによって機械が増え、そのわずかな差を人間が選び続ける社会なら、競技機にも当然、血統が生まれるだろうと思いました。
血統があるなら、親より強い子も出てくる。
そして、相手が完全停止するまで戦う競技なら、いつか親と子が王座を争うこともある。
そこからアリアドネとテセウスが生まれました。
書き始めた頃は、機械格闘技そのものをどう成立させるかを考えていました。
重量、出力、エネルギー、武装、修理、個体登録、ランキング。
考えていくうちに、これは単なるロボット格闘技ではなく、競走馬や格闘家のように、系譜そのものを観客が追う競技になるだろうと思うようになりました。
誰が誰の子なのか。
どの時点の親からコピーされたのか。
何を受け継ぎ、何が変わったのか。
そういうものまで含めて観戦する。
すると、アリアドネとテセウスの試合は、一試合で終わるものではなくなりました。
親が死んでも、子がいる。
子の先にも、また子がいる。
そして何世代も後の観客が、まだ二機の名前を口にしている。
そんな話になりました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
濃尾