こう書いている。
【大きな、櫓太鼓みたいなものを、めった矢鱈に打ちならすような音楽でもあったら、いまの僕のいらいらした気持にぴったり来るのかも知れない。けれども、そんな音楽は、世界中を捜してもないだろう】と。
今なら、ロックやメタルやパンクがある。そして、太宰の書いたこんな気持ちをもった事のある人は、昔からそれなりにいたのだろう。
ロックやメタルやパンクは、そんな先人たちの思いに応えて生まれたのかも知れないね。
今の作家は幸せだ。古今東西、過去から現在に至るまでのあらゆるミュージックが聴き放題だもの。
だけど、満たされないからこそ生まれるものもある。
渇きの中で、喘いで喘いで、自分なりのロックンロールを物語の中に落としこむ作業は悪くない。