鬼還奇譚の第一部が終わりました。
これまでお読みいただきありがとうございました。
個別の返信は行ってきませんでしたが、応援やコメントなど、いつもありがとうございました。
大変励みになっておりました。
次の旅までは少しお時間をいただきたいと思いますが、一旦終わったので、久しぶりの近況ノートでちょっとした振り返りをとりとめなく。
鬼還奇譚の旧タイトルが「鬼を飼う」でした。
もうちょい格好良いタイトルにしてぇなぁと思い立ち、現在のタイトルに至ります。漢字クール。
当初は志麻のごたごたを解決した時点でスッパリ終わろうと思っていたのですが、まだもう少し旅を続けたいと思ったことや、同期のその後を書こうということで延長することに決め、「鬼を飼う」はそのまま第一部のタイトルとして流用しました。
そして「鬼を飼う」のスタイルを継続して、各話のタイトルになりました。
さて、第一話「春を乞う」は2016年12月6日の公開ですので、8年以上をかけて第一部を執筆していました。
これには自分でもびっくりしました。
箱庭を書いていていたり、単純にストップしていた時期もあったりと、ずっと書き続けていたわけではありませんでしたが、まさか8年とは。
文字数にすれば54万文字超と、ここまで長い旅路でしたね。
最初の頃を読み返すと、志麻の言葉遣いが粗雑な感じで今となっては新鮮です。
この荒っぽさは近衛に引き継がれました。
「旧街道は難所が多い。」
この書き出しを考えていた時のことを今でも覚えています。
「木曾路はすべて山の中である。(島崎藤村「夜明け前」)」をイメージしていました。
当初は蟲師のようなファンタジーを目指していましたが、どこで何がどう変わったのか、何やら違うものが出来上がりました。
本文中で明確に述べている部分はありませんが、時代設定としては明治から大正にかけての西洋化の時代、ただし「別の国に対して別のタイミングで開国した日本」という架空の時代設定です。
全体として見返すと、愛情の話になりました。
愛にすべてを救うことは出来ないけれど、愛によって救われるものは必ずある。
絶望の中に射し込む一筋の光としての愛情を描きたかった、というと仰々しいですが、そういうものが僕は好きです。
第二部のタイトルは「神を穿つ」です。
真柴君という新しい仲間を連れて、新しい旅が始まります。
そして遥かなる道からの帰還を。
終末も鯨も、そして異世界ファンタジーも、書きたいものが色々とあるので、それらを集中して書いてから、また戻ってきたいと思います。
どうぞ気長にお待ちください。
以下はネタバレ全開の登場人物たちの雑感です。
志麻宗一郎
ちゃんと軍帽を被るタイプ。イメージカラーは群青。
洗脳をすべて解くにはもう少し時間が必要だけど、前には進んでいる。
偽名だと聞かされていたけれど、本当は本名でした。
榊雪影
イメージカラーは藍白。花はユキノシタ。
少年を連れ歩きたくて考えたキャラクター。
無垢な光は救い。
凪夜彦
漢字で表記することがほとんど無かったですね。
作中一番の美形かつジジイです。
気が立つと力こそパワーでゴリ押ししちゃうところはやはり鬼。
五津海宗貴
イケメンキャラと狂人キャラと道化キャラの盛り合わせに人外化。
献身が幸福なので、本人はこの顛末に不満は無いです。
イメージソングは抜錨(ナナホシ管弦楽団)
晴嵐
便利。本当に便利なキャラでした。ありがとう。
不定形な種族ゆえ生存のために保身しがちですが、やる時はやる。
ぶっきらぼうな優しさを表現できていれば幸いです。
煙管はハーブティーのようなものなので別に喫煙者ではないです。
(イメージ的にはいつも飴を舐めている感じ)
矢橋直紹
直紹と直嗣で迷って、こっちの漢字になりました。
色々思うところはあるけれど、結局みんなと一緒にいる時間が楽しかった。
申し訳なく思ってはいるものの、止めを刺したのが志麻で良かった。
近衛義成
一応はカトリック系。使役していたのはいわゆる「悪魔」というものたち。
渡会が天才肌ならば近衛は努力型。
ところで見えない内臓の欠損って興奮しませんか?しませんか……。
青柳燕
まともそうに見えるひとが、ぶっ飛んでいたら良いですよね。
呪術はぶっ飛んだ人間の使うものなので、このひとも例外ではありません。
ただし万里よりも倫理観はまだしっかりしています。
灰谷万里
ぶっ飛んでいそうなひとが、ぶっ飛んでいたら良いですよね。
倫理観もどこかに行ったサイコパス、本気で神様をつくりたい。
ただ、万里なりに同期のことは大切にしているつもりです。
渡会紅梅
最後まで近衛戦での生死を決めかねていたのですが、
矢橋ならば戦力として生かすだろう、ということで生存方針になりました。
結果的に渡会が残ってくれて助かったけれど、戦闘シーンが大変だった。
龍澤千早
尋鷹に激重感情を抱いていたので、裏切られたことが許せなかった。
五津海が憎悪の人なら、龍澤さんは憤怒の人。
後戻りするつもりなど無い。
志麻悠太郎
殺された記憶もある、龍澤が宗一郎を洗脳する様子も見てきた。
復讐を目的に生きてきたが、それだけでは虚しいばかりだとも思っていた。
雪影という大切な存在があったから、過去から抜け出せた。
志麻尋鷹
出来るならば、踏み外す一歩を引き留めてやりたかった。
夫としても、父としても、友としても、悔しい最期となったので、
せめて結末は救いたかった。