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国を守るということ

いつも「プリマドンナ・デルモンド 誰も知らないモナリザの秘密」を御愛読下さり、有難うございます。
4月9日西も東も分からず独りぼっちでカクヨムの世界に迷い込んだ私は今、沢山の仲間に恵まれ、支えられ、どんなに幸せをかみしめていることでしょう。
皆様、繊細な素晴らしい方々ばかりで、そんな皆様に惚れ直す毎日です。


最近、世界的に高い評価を受けた韓国ドラマ「緑豆の花」を観て、衝撃を覚え、魂を揺さぶられました。
日本では「東学党の乱」という名で日本史の教科書にたった一行出てくる「甲午農民戦争」を描いたドラマですが、1894年(甲午年)朝鮮王朝および貴族たちの腐敗と非人道的な圧政に抗議してチョン・ボンジュン<愛称「緑豆(ノクトウ)将軍」>率いる東学教徒たちが立ち上がると、圧政に苦しんでいた農民たちがそれに呼応し、その波は瞬く間に朝鮮全土に拡大しました。
恐れをなした朝鮮王朝は自国の民の鎮圧を清の軍隊に依頼。
清の朝鮮侵攻を見て日本もすかさず朝鮮に出兵。
そのさなかチョン・ボンジュンと朝鮮王朝の間で和議が結ばれ、混乱の中にも平和と民主政治の時代が訪れようとします。
しかし、それは長く続かず、朝鮮領有を目ざして激化する日本の侵略を前にチョン・ボンジュンたちは国を守るために挙兵。
しかし、牛禁(ウグム)峠の決戦で、農民軍2万人に対し日本軍100人であったにも拘らず、竹槍と火縄銃しか無い農民軍は近代兵器で武装した日本軍によって殲滅され19500人が死亡。
一方、日本軍の死者は0。
さらに、捕虜になった農民たちを日本軍は全員殺害し、村々をしらみつぶしに探しては農民軍に加担した人々を女性も子供も皆殺しにしました。
そして、チョン・ボンジュンはじめ農民軍の指導者たちは全員捕らえられ処刑されたのです。
時の全権公使 井上馨はチョン・ボンジュンの考えに共感し処刑に強く反対し阻止しましたが、朝鮮王朝政府は井上馨が日本に帰国している間に死刑を執行。
・・・胸をえぐられる思いがして、今思い出しても涙がこみ上げます。
この作品は、世界的に高い評価を受けました。
日本には
「反日のために創った作品で、不愉快だ。観る意欲がわかない。」
「悪いのは朝鮮の身分制度であって、日本を悪く言うのはお門違いだ。」
といった意見の方々も居られます。
最後の井上馨のエピソードが描かれていなかったことなど残念に思う点は多少はありますが、それでもそれを超えて私は圧倒されました。
それは、ここに描かれていることの大半が歴史的事実であり、真実だからだと思います。
だからこそ、世界的に高い評価を得たのだと思います。

私は暗澹たる思いに襲われました。
政治家の方々は、ウクライナを見て
「自分の国を守るために戦うのは当然です。
そうでなければ、他の国は協力してくれませんよ。」
とおっしゃいますが、この胸をえぐられる様な光景・・・自分の国を守るために立ち上がった日本人が容赦なくこの様な目に遭わされるのかも知れない・・・そう思うと、政治を志す者として、ただ言葉を失い、胸が張り裂ける思いで、どうしたらよいのか茫然としました。 
おそらく、その痛切な思いでイザベラも身の危険を顧みず決死の覚悟でフランスとの交渉に臨んだのであろうと胸に迫りました。

既に取り返しのつかないことをしてしまったけれど、井上馨が最後にチョン・ボンジュンの考えに共感し処刑を阻止しようとしたのは・・・井上馨こそ幕末の志士 井上聞多。おそらくチョン・ボンジュンに自らの若き日の姿、そして同志の姿を見い出したのではないか・・・そう私は感じました。

1件のコメント

  • 琴音様 御侍史

    感激でいっぱいになりました。
    琴音様は、作家として輝かしい御実績をお持ちの御方。
    御指導何卒よろしくお願い申し上げます。
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