ペンギンSFの自主企画が気になって、迷って迷って結局参加は諦めました。
読者としてお邪魔しよう……と、その前にあらすじをここに載せます。
力試しです。このアイデアが参加作品の水準に達していないことは自覚していますが、こういう楽しみ方もあっていいかなと思って。
Q星から帰還していた宇宙電車が彗星と衝突し、大きく線路から外れる事故が発生した。
乗客はほとんど即死のなか、かろうじて一命を取り留めた少女がいた。
衝動によって、少女の肉体は粒子となって車両に散らばってしまい、【消息不明】ということで、構築願いが出された。
対処法は、すでに一般化されていて、粒子化した対象の興味を引くものを空間にいれておけば、知覚するべく神経や器官を取り戻し人間に戻るという仕組みだ。
少女は無類のペンギン好きで、絶滅水族館の帰宅途中で事故に巻き込まれた。
ロボット専門のエンジニアKは、ペンギン博士Sの協力のもと、すでに絶滅したペンギンのロボットを完成させた。
しかし、ペンギンロボットを車内に放り込んでも望ましい結果はでなかった。
試作を繰り返していくうちにロボット特有のぎこちなさはなくなり、かつて氷の陸に生息していたペンギンらしい動きを模するようになっても少女は戻ってこない。
もしかすると、映像媒体や図書資料をベースにした現実的なペンギンより、彼女の思い描く理想的なペンギンの方が効果的ではないかと、エンジニアKは新たな目標をかかげてペンギン作りにはげむ。
少女と年齢の違い女の子を集めてもらい、平均的な少女に好まれるペンギンをいくつも試作してみたが、彼女が人の形を取り戻すことはなかった。
途方に暮れたエンジニアKは、気分転換に絶滅水族館へ行く。膨大な資料を参考にして、外見だけでなく習慣や運動を忠実に再現した絶滅危惧種が青いスクリーンを泳いでいる。
ペンギンコーナーでは、それぞれのペンギンが役割を担っている。魚を飲み込むペンギン、子供を育てるペンギン、雛のペンギン……。
エンジニアKの目を引いたのが、卵を温めるペンギンだ。雄が巣の代わりとなって、食事も摂らずに卵を温めている。作り物のペンギンだから餓死することはないが、卵を死守する役割のせいで一生餌にありつけない。
同情するエンジニアKはふと、ある疑問にいきつく。
少女はどのペンギンに注目したのだろう。
今度は監視カメラに着目したエンジニアK。少女が来館した日のペンギンコーナーの映像を遡り、少女と義母のやり取りを取得。ようやく答えに辿り着いた。
水族館の子育てペンギンを再現したペンギン親子を車両に投入。
構築届を提出して半年後、ようやくエンジニアKの努力は報われた。