タイトルで重要な部物は『労働者のため』だ。でも、労働のかたわらで漫画を描くのか。ヘトヘトなのに漫画に割く時間なんてあるの?
あ、読み進めていくと、そのアンサーが書いてあった。
忙しいという理由で、あなたは表現を放棄してはいけない。
なぜなら表現をしなければ、あなたは忙しい日々に漠然と殺されてしまうかもしれないからだ。(本文引用)
息抜きのために漫画を描くというのなら、他の趣味で気晴らしをしてもいいのでは?
あー、なるほど。著者の漫画の向き合い方に納得した。
どうして漫画を描くのか? その理由に共感した者でないと、先へ進めないような気がするので、必死に頭に叩き込む。
重要なものは技術ではなく感情である。
─この言葉いいな。勇気もらえる。
「ジョブとワーク」は生きる上で大事だから心に留めておこう。
もともと「不満がないと創作意欲が湧かない」タイプなので、前半はすんなり読める。不満ばかりで書く手が止まらなかったあの頃を思い返しながら読んだ。
140ページの「それでいいんだよ。だって「つまらないと感じた自分」だけは否定できないだろ?」って哲学者も似たようなセリフを言ってたような。
このセリフにかぎった話ではないが、この本は、人生訓や啓発本を読んでいるような気分になる。
武器をさがす講義で、敗北について熱く語っている。
このシーンがすでに漫画として完成している。他の人も何かしら感じ取れるだろうし、なんならその時感じたものを形にすればいいと思う。
技法編は著者の個性がでた文章だ。
これは一般的な漫画の書き方とは違ったノウハウだ。興味深い。
しっかり円を描いて、点の難しさを覚え、直線を引き、四角を駆使する……。
あと、どれを省くかも説いている。
直線のところは印象的。定規を使うと緻密に描きたくなるからよくない……あ、そうか。
労働者だから、手間をかける必要はない。上手く描こうと頑張らなくていい。
なるほど。表現を継続。これが大事。
創作活動をしている人は「発表編」を読んでほしい。
とくに454ページはまるまる読んでほしい。
作品をネットに投稿している人は、なんのために世に出しているのか考え直すきっかけになるはず。
最近、書くことが楽しくないから答えを探すつもりで読んだけど、まだあの時の感覚は取り戻せそうにない。気楽に待つか。