ユーレイとお喋りできる人形。
そのうたい文句に縋って、高橋ヨシヒロは人形制作を依頼した。
10歳以下であれば本人に似せるサービスがあると聞いたので、生前の写真を複数枚提供した。
その一週間後、完成品が家に届いた。
「お子さんがいそうな場所に人形を置いてください。五日ほどで動くでしょう」
箱から人形を出した瞬間、人形師がどれほど人間に寄せて製作したのか、こだわりを目の当たりにした。
「ヒロちゃん……!」
妻のケイコは息を飲んだ。
髪型のせいだろうか、お気に入りのパジャマを着せているせいだろうか、妻には愛しい我が子が帰ってきたように見えたようだ。
その様子に、ヨシヒロは満足した。
我が子がたった五歳でこの世を去り、ケイコは生きる気力を失っていた。
その後、いくらドアを閉めても子供部屋が開いたままな日が続き、毎朝椅子の上に子供服が放置されるようになった。
問題は、妻に自覚がないことだ。
置いたのは自分なのに、息子の仕業だと本気で信じ込み、我が子の気配を汲み取ろうとする。ケイコは心の病気を患っている。
時間が癒してくれるまで、ヨシヒロは待てなかった。
悪化する前に、彼女の気持ちを紛らわす人形を購入した。
「くれぐれも、引き止めることだけはしないように」
人形師は母親に向かって警告する。
ヨシヒロなど眼中にない。
「死を迎えると、タマシイは死後の世界へ行きます。それなのに此処にいるのは、心残りがあるからなのです。お母さんは、その心残りを取り除くお手伝いをするだけです」
あくまで、この家に息子が居る前提で、説明をする。
ヨシヒロには、「たとえ人形が動いても過剰に愛情を注ぐな」と注意しているように聞こえた。
参考資料の写真を一瞥するなり人形師は「可愛がっていますね」と言った。
可愛がられているではない。親が可愛がっていると言った。
西洋人形が着ていそうなドレスを身につけた息子〝だけ〟が写っている写真を見て、何を思ったのだろう。
「家族写真はないのですか」
問いかけではなく独りごちた声の抑揚だったので、ヨシヒロは聞き流した。息子のヒロノブが家族のどの立ち位置なのか、写真を見ればおおよそ察しがつくのだから、わざわざ説明するつもりはない。
とにかく、ヨシヒロは五日後の展開を考える。ユーレイを信じないヨシヒロは、人形が動くイメージができない。五日経っても動く気配のない人形にケイコは落胆するだろう。その時妻にかける言葉を今のうちに考える。
息子の代役がつとまる人形を購入したのだ。妻のお人形遊びが我が子から人形に変わるだけ。
「え! うそ! もう!」
ケイコが驚きの悲鳴をあげた。ヨシヒロも目を疑った。
ヨシヒロの意に反して、ソファに寝かせた人形は起き上がった。
「身体を受け入れてくれたようです。よかった。これでお喋りごできます」
人形師の男は、動きだした人形に不具合がないか観察する。
ユーレイとお喋りできる人形を作っているのだから、動きだしても不思議ではない。
それでも、亡くなった息子によって人形が動いているという事実を、ヨシヒロは簡単には受け入れられない。
それにしても、見れば見るほど息子に似た人形だ。
大きく見開いた目に、唇を固く結んだせいで若干膨らんだ頬。表情がつくと、一気に我が子らしさが強調された。
表情のつくりまで再現されているのでヨシヒロは感心した。
視線に気づいた人形がソファから降りて近づいてきた。
「服、着せて」
電子音の第一声は、父親に向けた懇願だった。
◆
「……ということがあったから、手伝ってほしいのです。お願いします」
「え?」
相談相手に選ばれたリュウボクさんは、とたんに顔をしかめた。息子に着替えをせがまれたが父。しかし選んだ服に息子は納得していない。うん。ここまではわかる。
「家にある服に納得できないのなら、新しく買うしかない。しかしお父さんはファッションに無頓着である。そこでお嬢にアドバイザーとして同行してほしいのです。ここまではオーケイ?」
「待ってちょうだい。父親の苦戦は察したけれど、〝だから〟僕に服を選ばせるって判断がよくわからないわ」
リュウボクさんは、父とも息子とも面識がない。息子が着たい服を当てられるわけがない。
「そもそも、息子くんはお父さんに服を決めてもらいたがっているのよね?」
「けれど、本人は気に入らないようで……」
決めてほしいのに気に入らない。リュウボクさんはため息をついた。つまり、息子が心の底から着たい服を当ててほしいのだ。
「ヒントなしで正解を当てろと言いたいの? 察して系女子なの?」
「いや………………いちおう男の子らしい」
「いちおうってなに?」
女子というのはたとえだったのに、なぜか真に受けている。しかも、はっきりしない返答だ。
「それにしても、お嬢は遠慮なくしているのですかい? 女子ってのはオシャレ好きだと聞きますが」
「どうして僕がいつも着物を着ていると思っているの? ファッションに関心がないからよ」
だいたい、女性がオシャレ好きだというのなら、母親に意見を求めるべきだ。我が子の服は、たいてい母親が決めているはずだ。
「母親は駄目になりました」
「は?」
「あ、言い間違えた。お母さんは駄目です。参考にしてはいけないというか、参考にはならないと言いますか……」
「なによ。お母さんが用意してくれる服の趣味が合わないから、お父さんに頼っているの?」
「その考えで合っています。まあ、本人が好き嫌いをはっきり口にできないから、こうして問題に向き合う羽目になっているわけでして」
ただ服を選ぶだけでは問題を解決したとはいえないようだ。なんとなく状況を把握したが、リュウボクさんの出番があるとは思えない。
「お嬢さんのセンスを試したいわけじゃありませんよ。だって答えは息子さんの中にあるから」
「だったら、本音を聞き出しなさいよ」
「お父さんは、これかもしれないと予想をたてたのですが、あてが外すと信頼関係が崩れてしまうリスクがあるらしい」
「なにそれ。気になるじゃない」
「代わりに尋ねてくれる誰かを必要としていて……それだったら手伝ってくれますか?」
「まあ、それだったら、協力できそうだわ」
人形師はいかついので、怖がられてしまう。
見知らぬ男児の服選びは難解だが、服を渡すだけならリュウボクさんにもできる。
「わかったわ。同行する」
「ありがとう。じつは今日の午前十時に待ち合わせをしていてます」
「三十分後じゃない」
◆
息子ヒロノブのクローゼットにしまっている服は、女の子用というよりお姫様向けだ。
ヒロちゃんのお気に入り──と妻が言っていた黒のワンピース見せると、ヒロノブはなにか言いたげに父親を見上げた。なんでその服を選んだのと、尋ねるような顔つきだ。
どの服がいいのか尋ねても「パパがきめて」しか言わない。もしかすると、母親がいるからそれしか言わないのかもしれない。
息子は母に従順で、服の趣味の文句を言わずに、女の子のために作られたお洋服を身に纏っていた。
だが、何も言わないだけで、本心はわからない。
いつも服を用意している妻のケイコではなく、ヨシヒロを選んだ理由について、うすうす気づいていた。
どれも好みの服ではなかったのだろう。
それなのに着せられていた。
この子の心を救えるのなら自分しかいない。
◆
待ち合わせ場所ですでに待機していた三人が家族であると、リュウボクさんはまったく気づかなかった。
「え? 息子のヒロノブくんと、妻のケイコさん?」
二人は、フリルの多いドレスを着ている。現代離れしたデザインは、コスプレを楽しんでいるように見える。
「お父さんだけ世界観がずれているわよ」
「おい、お嬢、一人だけ空気読めていないみたいな発言はひかえるように」
たしなめる裏腹で、人形師はケイコの服装の変化に焦っていた。
事前に依頼人のヨシヒロから、息子の望んでいない服を押しけたせいで妻の様子が変わったと、報告を受けた。
「はじめましてェ。ハピネス国から来ました。ケイコどェす」
まさかここまで変貌を遂げるとは思いもしなかった。
「え? そういう設定なの?」
リュウボクさんは、大人にしてはキツいキャラに驚いた。
「妻はその……息子にあてられてしまって……」
ヨシヒロは苦悶の表情を浮かべている。事実を言っているが、信じてくれるかは別である。
「あてられた? このキャラはヒロノブくんのせいってこと?」
「はい。まあ……そうです」
「へえ、素敵な趣味をお持ちなことで……。はじめまして。君がヒロノブくんね」
「……こんにちは」
リュウボクさんが挨拶をすると、ヒロノブは熊のぬいぐるみをにぎりしめ、父親の後ろに隠れた。警戒しながらも挨拶してくれた。礼儀正しい男の子だ。
「君にプレゼントしたいものがあるの」
リュウボクさんは膝を曲げて紙袋の中身をだす。
それは、熊の着ぐるみパジャマで、ヒロノブがいつも持ち歩いているぬいぐるみと同じ色だ。
これは父ヨシヒロの提案で、主張の少ない息子のお気に入りだと判明しているものが熊のぬいぐるみだけだった。
もし、口に出すのが恥ずかしいから誰かにうながされて服を着る流れを望んでいるなら……?
ファッションにくわしくないヨシヒロが悩みに悩んだ末に導き出した答えが、熊の着ぐるみパジャマだった。
「…………」
ヒロノブは真剣なまなざしをそそぐ。
目の前に差し出された茶色の衣服ではなく、さあ着なさいとニコニコと笑う着物姿の少女を見ている。
◆
プランBを実行するために、ヨシヒロ達はショッピングモールの服屋に向かう。
「うわぁ! ねえ、見て! 夢の国ピヨン!」
熊の着ぐるみに着替えた少女がゲームコーナーへ駆けて行く。
店に入る前は灰色の着物を着こなし、凛としていたのに、ほんの少し目を離した隙に着替えていた。
そして熊に変身したとたん、雰囲気が一変した。ハズレを選んだばかりに、洗脳されたのだ。
「気持ちを切り替えていきましょう」
人形師は冷静だった。おそらく彼にとって、失敗は想定内なのだろう。
「絶対に答えを急がせてはいけません。根気強く息子さんの言葉を待ってあげてください」
「ところでお嬢さんがゲームセンターに行ってしまったのですが……」
「はい。あの子は役目をまっとうしました。だから放牧……あとは自由行動とします」
「本当に放置でいいのですか?」
「彼女を正気に戻すためにも、ヒロノブくんの要求に耳を傾けることを優先しましょう」
手に負えないのだから仕方がないという割り切った反応に何も言えず、ヨシヒロは手を繋ぐ息子を見下ろす。
ヒロノブはずっと父を見上げていた。
「……とりあえず、そのドレスは目立つから、まずはマシな服を着ような」
相変わらず息子は無言だった。黙々と父親の隣を歩く。
すれ違う人々が場違いな格好の我が子を見る。ヨシヒロはいたたまれなくなったが、当の本人は気にしていなさそうだ。すでに慣れてしまった様子にヨシヒロはさらに胸を痛めた。
とりあえず、サイズの合うズボンとシャツを着てもらうことにした。
ヒロノブは素直に着替えた。これまで着たことのない洋服だ。履き慣れないズボンを触り、飾りのない袖を見て、これでいいのかと父親に不安げな視線を向ける。
「いいよ。似合っている」
変じゃない。むしろこれまでがおかしかったのだと言い聞かせるように、ヨシヒロはうなずく。
もっと早く伝えるべきだった。
幼稚園を卒業したら、息子は小学校に進学する筈だった。妻のヒステリックを無視して、もっとはやく、普通の服を用意してあげればよかった。
他の服を着てもいいんだよ。
無理をしなくてもいいんだよ。
だけど、もうその言葉を発することはない。必要がなくなった。
「夢の国……」
ヒロノブがしがみついてきたので、ヨシヒロは抱き抱えた。精密機械なだけに、それなりに重量はある。まるで人間だ。
「ゲームコーナーか。熊のお姉さんが心配なのか?」
「夢の国。行く……」
ゲームコーナーでは、熊の着ぐるみを着た少女が怒涛のリズムで太鼓を叩いている。
ヨシヒロ達はその後ろを通過して、店の中を歩き回る。ヒロノブは幼稚園にいるとき以外はずっと家の中で暮らしていた。首を動かして、騒がしくもあわただしい光景を目に焼き付けるなか、とくにメリーゴーランドは一心に見つめていた。
「乗りたい?」
「こっちがいい」
ヒロノブは父親にしがみついた。見るだけで充分だそうだ。
「ねえ。この服、あの帽子に合う?」
ヨシヒロはすぐに理解した。過去に男の子っぽいデザインの野球帽をプレゼントしたが、妻に激怒されたあげく捨てられてしまった。
いつもニコニコ笑っている母親が腹を立てたのだ。印象に残っていて当然だ。
「ああ、もちろん」
「よかったね」
「ずっと気にしていたのか。ごめんな。でもあの帽子は家の奥で迷子になって、どこにあるかわからないんだ。だから他の帽子を買いに行こう。他にもやりたいことがあったら遠慮なく……ヒロノブ?」
まるで筋力がなくなってしまったかのように、人形はダラリと弛緩している。名前を呼ぶが、目の焦点も合わない。
「満足したのよ」
熊の着ぐるみを着た少女が断言した。
「お疲れ様。ヒロノブくんは無事天国へ旅だったわ」
◆
正解を見つけられずに苦しむより、たまたま着せた服に満足してもらえた方がいいに決まっている。
だが、解説がほしい。釈然としない。
「な、なにこの格好! 私はもう三十路なのに! 意外と似合うってどういうこと! 新たな自分に目覚めちゃう!」
妻の気が動転しているため、ヨシヒロは深く考えられなかった。一同は外へ向かった。
正気に戻った時に備えて、服を車の中に置いてきた。車へ避難するべく、妻はダチョウ並みのスピードで歩いている。
一方ヨシヒロは、重たい荷物を背負っているので、妻との距離が離れるばかりだった。
「本当にお疲れ様でした」
人形師の男は歩きながら労いの言葉をかけた。
「お父さんにコーディネートを決めてもらうことが大事だったのかもしれません。ヒロノブくんの未練が晴れてよかったですね」
「いえ、僕だけでは解決できたか不安です。人形の製作だけでなく、こんなにも協力していただけるなんて、ありがたかったです。本当に、ありがとうございました」
あの子は普通の服を着たかった。へんに考えないで、当たり前のものを与えればよかったようだ。
我が子の気がかりが解消されて、ヨシヒロは胸を撫で下ろした。
「結局君たちは仲間にならなかったのね」
正気に戻ったのに、リュウボクさんは熊のままだった。トイレで着替えてもいいのに、自分の格好に羞恥心を感じないようだ。
ケイコは自分の格好に錯乱しているというのに。
ところでリュウボクさんの言葉が引っかかる。『仲間にならなかった』。どういう意味だろう。
ヨシヒロは無意識に思考を巡らせる。
ふと、派手な格好をされたケイコに対するリュウボクさんの発言を思い出した。
『あてられた? このキャラはヒロノブくんのせいってこと?』
無理矢理可愛らしい服を着せられた腹いせとヨシヒロは恐れていたが、事情を知らないリュウボクさんは、息子が自分の世界観に周りの人を巻き込んだと誤解していた。
ヒロノブが仲間を増やす目的で洗脳したものだと勘違いしていたからこその発言だ。
それでは、愛らしい服を息子が受け入れていることになる。
「いや、ヒロノブは……」
否定しようとして、ヨシヒロは何故か思いとどまる。我慢して着ていると本人の口から聞いていないから? 否、母親がいたから言えなかったのだ。……本当に、その推測は真実だろうか?
自問自答を止めるべく、ヨシヒロは根拠をあげた。
ヒロノブは男の子だから。
男の子が可愛らしい服を着るのは間違っているから。
「これは変だ。間違っている。その判断は周りを見て培われるものでしょう」
リュウボクさんが淡々と言う。
ヒロノブは同世代のお友達をつくらずに家で過ごしていた。おかげで友達から揶揄われずにすみ、大人から同情されなかった。
「世間知らずの立場で考えると、素敵な服を着せて可愛がられることに、不満なんてないと思うのよね」
「だったら、どうしてヒロノブくんはお母さんではなくお父さんに服をせがんだのか、疑問が残りませんか?」
リュウボクさんの意見をもっと聞きたいと、人形師は質問を投げかけた。
服装を気にしていないのなら、息子の服選びに慣れていない父にこだわらなくてよかった。
ヨシヒロと人形師は、ヒロノブに同情的だった。ドレスを嫌がっていることを前提に、本当に着たい服を着せるべきだと判断した。
しかし、ヒロノブが可愛い服を着ることに否定的な感情はないと確信しているリュウボクさんは、とてもシンプルな別解を出してみせた。
「お父さんに愛されているのか、たしかめたかったのよ」
「何も言わなくても、要求に応えてくれるだろう。そんな試練でしょうか?」
「もっとシンプルよ。服を着せてもらうことが愛情表現だと思っていたのよ」
お母さんからは充分に愛情をもらった。
だから生前かかわりのなかった父親に愛を求めた。
なんて歪んだ愛情だろう。息子は女の子向けのドレスを受け入れていた。着ていることが間違いであると気づいていない。
たとえ本人が気にしていなくても、世間が許してはくれない。
だけど、教える必要は無くなった。修正する訓練はしなくてすんだ。
ヒロノブは、世間に傷つけられる前にこの世を去った。
ヒロノブは、そのズレに苦しむ前にこの世を去った。
「だからこれで良かったのよ」
「そんなわけ──」
ヨシヒロは否定しそうになった。
これでいい。これでいいのだ。リュウボクさんは、息子のために服を用意してあげることが正解だったと言っているのに、見当違いなリアクションをとるところだった。
真相は、ヨシヒロの想像よりシンプルだった。本当にこれでよかったと思うほど単純な結末に、肩すかしをくらった。
「僕たちは、動く人形をたくさん見てきたの。タマシイに従順に動くから、恨みごとがあれば容赦しないのよ。たまったものじゃないんだから」
「ヒロノブくんは、物足りなくてこの世にとどまっていただけで、根はいい子でした。未練や怒りを抱いていたら、解決までにもっと時間がかかっていたことでしょう」
「そうでしたか……。お二人のおかげで、ヒロノブがなんの不満もなく生きていたのだと、確信が持てました。本当にありがとうございました」
人形師の男と着物姿の少女と別れ、ヨシヒロは妻と家に帰った。
◆
妻の精神は徐々に回復していき、息子に執着するような行動は一切とらなくなった。
息子に着せていたドレスを捨て、人形に見向きもしなくなった。
それなのに、人形はまだソファに座っている。
「高額なんだ。そう易々と廃棄できない」
仕事が忙しくて、生前はほとんど息子と関わらなかったのに、人形が動かなくなってから、ヨシヒロは日常に穴が空いているような違和感を抱いた。
穴というより魚の小骨のような引っかかりだろうか。
時折、その引っかかりに思いをはせるようになった。
今さら何を考えても無駄なのに。
今日も人形を捨てられない。