怪談好きの知人と餃子を食べ、瓶ビールを飲みました。
餃子は小ぶりですが、にんにくが強烈にきかせてあり、皮がもちっとしているタイプです。
飲み会に先立って、『近畿地方のある場所について』の背筋先生の新刊『穢れた聖地巡礼について』を借り、読み終えていました。
「どうだった?」
「面白かった。背筋は本当にすごいね」
私は蛍光イエローの表紙の本『穢れた聖地巡礼』を知人に返しました。その本には廃墟が3か所登場します。
栃木県の変態小屋。
埼玉県の天国病院。
茨城県の輪廻ラブホ。
「ネットで実際にどこにある廃墟なのか、意見を交換しているんだ。ちょっと行ってみたいよな」
「行きたくない。怖いよ」
本に口絵写真がついているのです。これは合成ではなく、実物を撮影したものなのでしょうか? たぶんそうなのでしょう……。
私はいくつか廃墟探訪をしたことがあり、廃墟の危険性について自覚的です。あれらはいつ壊れるかわからないし、許可なく侵入してはいけません。物理的にリスクがあり、心霊的にデンジャラスな廃墟なんて、近づきたくありません。
「行きたいけどなあ……」
怪談好きの知人はそう言って、ビールをあおりました。