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僕らは『読み』を間違える

 水鏡月聖先生のスニーカー大賞銀賞受賞作を読みました。
 ミステリーと純文学要素のある恋愛小説。

 実際の生活の中ではミステリ小説のような殺人事件が起きることなどめったにありえないし、そんなもの無い方がいいに決まっている。そして解き明かせないような謎もなければ探偵だって必要ないのだ。
 思春期真っ只中の僕たちにとって最大の解き明かしたい謎というものは、果たして誰が誰のことを好きなのか、ということぐらいなのではないだろうか。

 作中でそう書かれているように、登場人物の「誰が誰を好きか」がしだいに明らかになっていく中盤以降、ぐっと物語に引き込まれました。人間関係がかなり複雑に絡み合っています。隠されていた意外な真実……。

 登場人物の造形もよかったです。なかなかしたたかなメインヒロイン宗像瀬奈さん、秘めた恋心を抱く笹葉更紗さん、下ネタを会話に混ぜる葵栞さん、それぞれ魅力的です。

 以下の文学作品が取り上げられていて、作者独自の解釈があるのも面白かったです。
 太宰治『走れメロス』、芥川龍之介『蜘蛛の糸』、ツルゲーネフ『はつ恋』、江戸川乱歩『D坂の殺人事件』、谷崎潤一郎『春琴抄』、フィッツジェラルド『グレート・ギャッツビー』、カポーティ『ティファニーで朝食を』……。 

4件のコメント

  • ふたつぐらいしか、解る作品がないなぁー。ティファニーとメロス。
  • スニーカー文庫も変わりましたな〜、最近のラノベは普通の文学作品化していていますね。
  • 『走れメロス』と『蜘蛛の糸』は国語の教科書で……。
    きちんと読んだのは『グレート・ギャッツビー』くらいです。 
  • ラノベは出版数が多くて、全貌がよくわかりません。
    読めるのはごく一部です。
    いろいろな良作があるのでしょうが……。
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