• ミステリー

「悪い人になりたい」付記

 第17回ミステリーズ!新人賞(東京創元社)に応募し、一次選考通過(二次選考落選)した短編小説です。
 2018年に『刑事コロンボ』が五十周年を迎えました。その頃、大倉崇裕〈福家警部補〉シリーズや倉知淳『皇帝と拳銃と』などの倒叙もの、井上真偽作品のように探偵と犯人との対決に着目した作品が盛んになっていると感じていました。
 なお『名探偵は、性別不明。』の第三話「殺意の処方箋」というタイトルですが、執筆がほぼ完了間近の頃「聞き覚えがあるな」と思いネット検索してみて『刑事コロンボ』の記念すべき第一作のサブタイトル「殺人処方箋」のことだとわかりました。DVDを入手して2017年の末に視聴し「倒叙にはこんなことも可能なのか」と新鮮な感動を覚えました。
 じゃあ自分もやってみようと思い立ったわけですが、その前に『名探偵は、性別不明。』を完結させたり、記憶の新しいうちに評論集『探偵が推理を殺す』をまとめる必要がありました。
 刑事コロンボ、古畑任三郎、福家警部補という正当な倒叙ミステリには到底敵わないという認識からスタートし、ダークウェブや新型コロナウィルスといった世の風潮を取り入れて、さてどう捻りを入れようかと悩んだことを覚えています。
 また、この作品の構想を練っていた時期に平庫ワカ『マイ・ブロークン・マリコ』(BRIDGE COMICS/角川書店)を読みました。少なからず影響を受けてしまったことを認めざるを得ないようです。

コメント

さんの設定によりコメントは表示されません