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『暗黒竜の渇望』第五部で分量を増す

特に「第五部 第二章 第三節 無意味な勝利」はわずか450文字だったので1,000文字近くにし1話分の分量にふさわしい分量にした。もう執筆当時(12年前)は第五部ともなるとスタミナ切れで疲れ切っていたのだろう。敵を倒しました、だけではいけないので設定追加(というかさならるネタバレ)をしました。

「第五部 第二章 第三節 無意味な勝利」
https://kakuyomu.jp/works/16817330647877241956/episodes/16817330647892248441


さらに節を分割しました。

「第五部 第四章 第一節 培養管」
https://kakuyomu.jp/works/16817330647877241956/episodes/16817330647892272015

「第五部 第四章 第二節 恐怖の天帝の復活」
https://kakuyomu.jp/works/16817330647877241956/episodes/16817330666707527575

ここは元々「第四章 第一節 第一節 恐怖の天帝の復活」で約1500文字くらいだったのです。それを約2200文字+約1500文字(合計約3700文字:つまり約2.5倍増)にして分割し助けてもらったイマつまり仏教だと閻魔ですね。ゾロアスター教だとジャムジードと言って闇堕ちする王なのですがこいつも最後まで小悪党でしたということにしました。

本当にこれで今度こそ直すところはねえよな?

おかげで『暗黒竜の渇望』は20万文字から21万文字の作品にさらに分量が増えたのです。あちこちいろんなところを分量を増やした結果。特に第一部はゾロアスター教徒の風習の説明の追加を行いました。カーグがやってる風習ですね。またペルシャ語での呪文や古代アヴェスター語で『アヴェスター』で本当に書かれている呪文の一節を登場させるなど本気度が増した作品になったのです。ボキャ貧だった文章は類似語辞典を買って文語を増やすことでダークファンタジー感も同時に増し、難読漢字にはルビもちゃんと付けました。中には「谺(こだま)する=木霊する」という高度成長期あたりからもう廃れた文語まで使っているのですから。厳密には谷が深くてまるで咆哮に近い反響の音や声を「谺する」と書くので厳密には「木霊」とは違うんですがね。しかも本作に登場する「谺」は深き洞窟で人間が暗黒竜として生まれ変わったことを誇りとして咆哮する声ですしね(第一部の初めに登場します)。
つまり「そういう表現は文芸的にもおいしいから令和の世に復活させて使ってみては?」という隠れた作者からのメッセージでもあるんです。そういうメッセージを出すのが本当の意味での文芸かなって私は思うのです。たとえそれがラノベであっても。だって「ラノベだから幼稚に書けばいいや」って異世界恋愛でやったら見事に爆死したもん。読者をなめてはいけないんだね。ラノベであっても。

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善悪二元論のこのゾロアスター教という宗教は本来ユダヤ教には無かった「最後の審判」や「地獄」という概念をバビロン捕囚の時に捕らわれの身になっていた当時ユダヤ教徒が感化・影響されて自分たちの教えにも追加させたというぐらいのいわば「宗教の母」という異名を持つ宗教です。つまりゾロアスター教はユダヤ教、仏教、キリスト教に影響を及ぼした文字通りの世界宗教です。世界宗教なだけあって中国(当時の唐帝国)まで到達し「拝火教」と呼ばれていました。そんな世界宗教が……サーサーン朝ペルシャ帝国がイスラム帝国に敗れ去りペルシャの民のほとんどがイスラム教シーア派に改宗する中で……ゾロアスター教宗教人口は約50万人と殲滅に近い形になったのにゾロアスター教的に「最後の審判」がこの世に来ないのはなぜかというとこまで書いて締めくくっているのです。それが本作の真のラストです。本当に『王書』(シャー・ナーメ)のラノベ化って大変ですよ。実に執筆から15年も経過しての真・完成です。

なお神話部分の歴史解説を終えると『王書』(シャー・ナーメ)は史実の歴代ペルシャ王の説明……つまりリアル世界に突如突入するのでまさにペルシャ版日本書紀だと思ってください。

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