コルベス様 「凶悪なおっさん」を指すドイツ語らしい。
ただ、ヤーコプさんとヴィルヘルムさんの時代に、コルベス様で「凶悪なおっさん」といふイメージがGDGDになってるらしい。
グリムのお話は、雄鶏と牝鶏が、ハツカネズミの引く車に乗って旅行に行くと、猫と鴨と卵と臼と縫い針と留め針が
「どこ行くの?コルベス様のとこ?じゃあのせて」
ニワトリさんは
「いいよ」
でみんなで行き、コルベス様がお留守だったのでめいめい然るべきところへスタンバイし、帰宅したコルベス様をぼっこぼこにしました。めでたしめでたし。
グリムはさういふわけで、次の版で文の最後に
「コルベス様はよっぽど悪い人なのでしょうね」
と付ける。ただ源話がアレなので、具体的にどういふ「吐き気を催す邪悪」なのか描かない(『サルカニ合戦』のやうなナニがあった感じがなんかなさげ ただ、小澤俊夫先生による「コルベス様と猿蟹のパーティの類似点」を示した説があった)
ヤーコプ&ヴィルヘルムはこの話とKHM10『ならず者』(雄鶏と牝鶏と鴨と縫針と留め針が、宿へ行って極悪非道の限りを尽くす)との類似点を上げる。
諸星大二郎は『ミステリーズ!』掲載の『グリムのような物語』で掲載時(2005年)の、「イラク侵攻をやってしまうアメリカ」を作品の中へ突っ込んでゐる。ここの猫様と牝鶏さんがセクスィーで。
カール・ハインツ=マレはこの作品についてなんか言ってた。
カールは、ぬこ、鴨、卵に臼に縫針と留め針といふパーティが、女性的であり、アレに夫婦鶏が入ってゐない点を根拠に、「コルベス夫人」が旦那をボコにした、と解釈する。
あー。