目がちかちかする今日この頃ですが、宮本輝さんの『青が散る』を読みました。
若い頃にはまって読んでいた作家さんですが、歪な世界観に釘付けになった『避暑地の猫』、『泥の河』
暗い面が前面に出る小説に若い時分は惹かれていたのだなと思いますが、『青が散る』は輝さんの光が放出された小説かなと思います。ご本人もそう書いているし。
友人の一人が自死するエピソードがありますが、青春の思い出の中に、友人が逝ってしまった苦い思い出を抱えている人は多くいるのではないでしょうか。
光の側面とは言っても、青春の苦さにも溢れたこの小説が、青をとうに失った人間の心に深く降りてくるのは、やはり輝さんが紡ぐ虚構の世界の真実の力かなと思ったり…。
最後に青が散りゆく場面に青春への惜別を味わいました。
いい小説だったな…。