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禁色

読書の秋なので、1.5日を三島由紀夫の禁色の読了にあてました。女に裏切られ続けた老作家が、完璧な容姿をもった男色の若者に出会って、彼をつかって女達への復讐を企てるというプロットが面白くて、ページが次から次への捲れていきました。

絶対に女性を愛さない美しい男が女性を誘惑していくわけですが、女に嫌悪しながら女を腕に抱きしめるのは、老作家から与えられる拷問のはずだろうけど、それを受け入れるのは、自分の美貌に耽溺しているからなんでしょうかね。

三島文学はあまり縁がなかったのですが、美麗で格調高い文体、老作家や他の中年男の口から発せられる形而上学的な思想が底にある台詞の数々に耳が開いていく気がしました。

しかし、美しい青年に抱きすくめられて体を開いたつもりがとんでもないものを朝に見せられた女性の下りで、なにか、裏切られたような、矮小感を感じてしまいましたね。

後半は、老作家の作り出した作品の登場人物が勝手に動き出して、当初の物語を大幅変更していく私のような腕の悪い作家を見ているような気がしましたが、それでも、やはり、作家が見出したギリシャ神話のアポロンが、精神性を持っていないままだったことに、救われた気がしました。

何を感じたんだ?私は?
面白い小説でした。三島の文体の美しさに惑溺しました。
仮面の告白は読みにくかったので、別人感を感じた気がしました。

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