おはよう、そして会えない時のために念のためこんにちは、こんばんは、おやすみ!
文字書きが好きな一般人、安条序那です。
いつも『白い夏に雪が降る』を読んでいただいている読者のお方、ありがとうございます。
今回は反省会第九回、『夏が来ます』の巻です。
本日0時公開されました最新話から数えて二話。ついに物語が終わります。
長い長い旅でしたね。後六日間。三咲町の夏をお楽しみください。
さて、今回の反省テーマは、『視点変更・情報展開の妙』です。
このテーマ、『深い』&『正解がない』&『センスを問われる』の三本柱でございます。
物語の引きと展開部分を司る神と言ってもいいでしょう、視点変更。
白夏でも使われていますね。
一般的な物語では、主人公をメイン視点として、何が起こっているかのベースをなぞります。
その補完のように他人の視点が入り、或いはその視点では知り得ない情報を仄めかし、追走するように主人公が事件を詳らかにしていく。
う~ん、王道ですね。もっとも使いやすい視点変更チュートリアルといえます。最も多用する物語のテンプレートと言えるでしょう。
このテンプレートのいいところは、物語の中で必要な情報が、筆者の手の中で絞れる部分ですね。この話では重要な情報を話させたいけどまだ物語の核となる情報には触れてほしくない……とか、このキャラクターは実は色々知ってるんだけど今回はここまでにしておいて、知ってる風にしておこう……とか。視点を適切に変更することによって読者にストレスを与えず情報を展開することができます。
主人公の『気付き』が視点の窓になるというのもまた、このテンプレートのいいところですね。こういう系統の物語を展開していると、当然のように主人公は『あれ? なんか情報足りなくね?』を起こしてしまうので、その気付きをそのまま別視点への自然な誘導路として準備できるのは非常に手際良く展開のルートを構築できていると言えるでしょう。
こういう展開だと別視点をやってる間に主人公が地道に調査を進めていて、なんらかの形で情報の切れ端を握ってる、なんてこともやりやすいですからね。地味~な調査フェーズを飛ばして、字数の削減にも役に立ったりしますね。
(個人的には白夏の大きめの反省部分でもあります。この物語はもっと短くできたはずなのですが、書きたいシーンをドコドコ詰めてる間に気がつけばこんなことに……後半はかなり駆け抜けられるように必要な情報と展開も絞ったのですが)
なのですが、視点変更も何度も同じ手法をやってしまうと、大きな目線で『また展開これか』で飽きられてしまうので難しいところ。まずは王道で攻めて、適切に横紙破りが必要です。
またここも反省点なんですが、私は白夏では王道展開を十分にしなかったので、序盤~中盤の展開にもたつきがありましたね。王道展開は読者にわかりやすいカタルシスを与えるので、一回はちゃんと使っておくべきカードだったなあ、と。現在書いている次回作では頑張って改善を考えております。できるといいな。
『視点変更の妙』と書きましたが、やっていることはすごく単純なんです。
A視点がこの物語の基本だとして、B視点で補完する情報を取捨選択するだけなので。
なのですが、この単純な取捨選択によって主人公の情報の得方はものすごく変わってしまいます。そして、情報の得方が変わるということは、主人公の行き先も行動も変わるということ。展開がガラッと変わります。
この情報の出し方で『面白さ』がめちゃくちゃ変わります。何もかも変わります。
めちゃくちゃにセンスを問われます。絵がうまい人がラフや構図の時点で一枚上手なように、ここが文字書きにとってはラフなので。
そして更に恐ろしいのが、情報は1→2→3→4という順接で出すだけが面白い訳では無い、ということですね。
よくある手法では4→1→2→3→4というような盛り上がりを先に見せるタイプのお話ですね。
これももう一つの王道展開と言えるかもですね。
ですがあくまでも最終的に物語にとって情報が揃えばいいので、まあ変な話4→2→3→1→4→1みたいな順番でもいいわけです。それがもっとも『面白い』のであれば……!
『深すぎる……』『むずすぎる……』『センス必要すぎるだろ……』
みなさんも、ぜひ一度『視点変更・情報展開の妙』を感じてください。
そして変な順番で物語、書いてみてください……!
今週はここまで。来週で白夏の反省は終了です!
まだ企画はあるので、来週告知しますね。それではここまで読んでくださりありがとうございました!
待て次回! そして、白夏をよろしくお願いします!