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【白夏】 第八回『裏の主人公は屋台骨』 の巻

 おはよう、そして会えない時のために念のためこんにちは、こんばんは、おやすみ!
 文字書きが好きな一般人、安条序那です。

 いつも『白い夏に雪が降る』を読んでいただいている読者のお方、ありがとうございます。

 今回は反省会第八回、『裏の主人公』の巻です。

 先週がなぜか(なぜか)作品に変えられてしまったので、書きかけの話の結論を一週持ち越す結果となってしまいましたね。(読んでいただいてありがとうございます!)

 ですので、今回こそやりましょう、反省会。

 先週は『反転』の回でしたね。
 物語は意味を反転させるとカタルシスを生む、というお話でした。
 と、同時に、反転というのは物語の中でも要点で行わないと主題がぼやけていってしまう、というような話もしました。(これでもうまとまってしまった)


 でも、それでももっとひっくり返したい!
 という時はあるし、構想上ではそんなつもりじゃなかったのに、物語にとって反転が必要になる時もまた発生します。(超焦ります。ほんとに。)

 そんな時、どうしよう?

 というのが今回の反省会の主軸です。 
 どうしてもこのままだと物語がブレブレになっちゃう! どうしよう!
 を解決する為の「返す刀」を、自己流ですが一つご紹介できれば、と。

 『反転』が短期的に起こると、もうそれはそれは、読みにくいことになります。読者のキャラクターの愛着も薄れ、そして何よりも筆者さえも書きにくい。(丁寧に描写することでなんとか避けられる時もありますが、レトリックだけで理を捻じ曲げるのは容易ではないでしょう)ですので、できるだけ、このような状態にそもそもしたくない、というのが理想です。ですが理想の通りにいかない場合。どこから問題解決の方法を模索すればいいでしょう?
 
 私の場合、まずは物語そのものを分解するところから始めてしまいます。
 『物語にとっての主題、そしてメインキャラクター』これらが物語にとって、どのような役割を持っていたのか、切り分けて観察してみましょう。

 物語にとっての主題とは、ドライブでいうところの目的地です。
 主題が達成された状態が、『主人公たちの最も幸福な状態』であるはずです。(ex.世界を救う、好きな人と付き合う、強くなる、復讐を達成する)
 であれば、メインキャラクターはドライブでいうところの車両であるはずです。

 物語とは、ドライブに必要なものを集めて、目的地に向かうこと。
 そう仮定した時、ドライブにとってのトラブルが『物語の展開』になります。(ex.エンジンが壊れている、運転する方法がわからない、道が壊れている)
 読者はそのドライブを好意を持って見守っている画面の向こうの人、というと伝わりやすいですね。

 では反転とは?

 これは様々な置き換えができる部分なので一概には言えませんが、ドライバーが変わること、もしくは目的地が変わること、と言い換えるといいかも知れません。
 そうすると、どうなるでしょう? 物語は最初から目的地が決まっているはずなのに、急に変わってしまうわけです。


 当然、ドライブを見守っている人は不安に思うでしょう。今まではそのドライブを楽しんで見ていたのに、急にドライバーがいなくなり、みんなバラバラになり、車は違う方向へ走っていってしまう。
「ああ、私が好きだったのはさっきのドライブだったのに……」
 となってしまい読むのをやめてしまう、そうなると、悲しいですよね。

 では、どうしましょう?

 私の答えは、『もう一台、車を用意する』です。
 最初から目的地の近い、或いは同じ車を二台用意して、並行して走らせたり、或いは反対側から走らせたりすればいいのです。

 つまり、『同じ目的を持つ主人公を二人用意して』、便宜上片方を表主人公にして、その裏でもう一人の物語を描写し続ければいいのです。

 こうすることで、もし表主人公の車が途中でどこかに行ってしまったり、ドライバーが変わってどこか知らない場所を目指し始めてしまっても、その間は裏主人公の物語を描写すれば、物語を見ている側も不安を最小限に抑えることができるはずです。(もちろん別解もあります)
 そうして時間を稼ぎ、最後に目的地で共に会えれば、それはひとしおのカタルシスになるはずです。(こういう形式の物語だと僕はキングダムハーツをまず最初に思い出しますね) 
 そんなにガッツリ描写してないキャラクターでも、しっかりと要所要所で必要な描写や情報があれば、誰でも裏主人公足り得ると思います。また、そういう情報を拡充しておくことで、シナリオ内の不必要なセリフを減らすこともできますね。(なんとなく会話で出ていた情報が実は大事とか、みんな好きですよね?)

 また、二つの物語が一つの水平線上で展開されることで、一つの視点だけでは書ききれなかった部分が相互に働き、物語の信頼性を担保してくれるということもあります。(有名な方だと道尾秀介さんはこういう作用をかなりトリッキーに使いこなしている小説家さんだなあと作品を読んでいて思います)シナリオの根幹に関わる叙述トリックなんかにも使えますね。

 注意点としては、ぽっと出のキャラでやっちゃいけないってことです。
 むしろ逆効果、より読者を遠ざけてしまうでしょう。
 ジリジリ、ジリジリ、伏線を組み立て張り巡らせていきましょう。
 力みなくして開放のカタルシスはありえねェ、というわけです。

 まとめに入りましょう。

『反転』はセンセーショナルに、かつ的確に! 
『反転』で磨り減った『一貫性』は視点を増やすことで対応!
 
 あとこれはもう雰囲気の話なんですが、大人っぽく見えます。
 いやこれは本当にただの雰囲気の話なんですが……。

 ということで、今回はここまで!
 反省にお付き合いいただきましてありがとうございました!
 また次回!

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