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とある書籍化作家との出会い

 では前回からの続き。

 わたしはWEBで読みやすいレイアウトを探ります。
 ランキングからではなく、全体から無作為に選んで。
 というのも、なろうのランキングは今でこそレイアウトがそろった作品が多くを占めているが、当時はひどかった。
 文章つめつめだったり、日本語としておかしなものも平気でランクインしていたのだ。
 シロウトならではの自由な発想と着眼点。
 また、商業にない利用者の欲望に特化したものなどが人気を得ていたためだろう。

 ちなみに、前者は後者に駆逐されていくわけだが、これはまた別の話。

 そうして、無作為に選んでいると、ある作品が目にとまった。
『気がつけば洞穴』
 作者は小倉ひろあき(敬称略)。自分と同じ、なろうに登録したての新人さんだった。

「あ~、このレイアウト読みやすいな」

 パッと見て気に入った。
 適度な改行にスッキリした文体。それでいて、なろうらしさがなかった。
 さっそく読んでみる。

「なにこれ、面白い」

 なんということでしょう。あれだけ自分好みの作品がないと嘆いていたにも関わらず、テキトーに選んでいたら面白いと思える作品を見つけてしまったのです。

 当時わたしはランキングに好みの作品があがってこないので、キーワードなどで検索していた。
 それで、良い作品に巡り合えることもあった。だが、ほんのわずか。
 しかも、どれも中途半端に終わっていた。まあ、エタだな。

 だが、この『気がつけば洞穴』はキレイな形でちゃんとエンディングを迎えていた。
 結局最後まで読み切ったわたしは、作品のポイントを見た。そして、驚いた。
 100ポイントほどしかなかったのだ。(もっと少なかったかも)

「このクオリティーで100ポイント!?」
 しかも完結しているのに?
 薄々感じていたが、自分にとってポイントがあてにならないことを確信したのだった。

 作者のアカウントに飛んだ。
 他になにか書いていないかを見る。
 そうして見つけたのが『猟犬クリフ~とある冒険者の生涯』という作品だった。
 どうやら執筆中のようだ。こちらも読んでみる。
 面白かった。
 というか、なろうで一、二を争う作品だったと思う。(あくまで個人的に)

「あれ? もう俺が書く必要ないんじゃ……」

 そもそも、自分好みの作品がないから書き始めたワケで。
 見つかったなら、もう書く必要もないわけで。

「いや、でももう書き始めちゃったし」
 
※書いているうちに思いだしてきた。
 このときはすでに書き始めていたのだった。
 書いている途中でレイアウトに悩み、なろうを散策したのだ。
 すまんね、記憶があやふやで。

 芽生えた疑問は黙殺。
 こうして文体は翻訳本、レイアウトは小倉ひろあきで執筆を続けるのだった。

 執筆のかたわら、わたしは猟犬クリフに感想を送った。
 口にはださなかったが、参考にさせてもらってありがとうの気持ちを込めつつ。
 なんと返信をいただいた。ちょっとビックリした。
 まさか返ってくるとは思っていなかったから。

 そうして、自身の作品を何話か書いていたころ、ふとわたしは不安に襲われた。
 
「これ誰も読んでないんじゃ……」

 当時、わたしはなろうのシステムがよくわかっていなかった。
 感想をメッセで送るなどストーカーのごとき行為を数回やらかしていた。
 とうぜんPVなど見方どころか存在もしらないし、ブックマーク? ブラウザにあるのに誰が使うんだよ(笑)ぐらいの認識だったのだ。

 まったく読まれている実感がないわたしは、あとがきでポロっとこぼす。
「誰か読んでるのかな? 俺、壁に向かって喋っているんじゃ……」
 
 するとメッセージが来た。
 なんと送信者は小倉ひろあき。
「大丈夫ですよ。ちゃんと読んでますよ」
 そう書かれていたのだった。

 すっごい嬉しかった。
 メッセには投稿して自分なりに気がついたこと、さらには励ましの言葉もあった。



 ……なんか書いててスッゲー恥ずかしくなってきた。
 本人に許可もとってねーし。

 というわけで今回はここまで。
 次回からはもっと端折って書くんだぜ!

 小倉ひろあき著『リオンクール戦記』でも読んで待っててくれよな!!

4件のコメント

  • 猟犬クリフにリオンクール!
    読んだ覚えがあります!
  • 暮伊豆さんコメントありがとうございます!
    すでに読まれていたんですね。
    というか暮伊豆さんが読んでいない作品てあるんですか?
    いったいいつ寝てるんや?
    なろう会のさんま師匠やで!
  • 感激しました!
    いいお話です!
    ちょっとグッときました!
    しかも暮伊豆さんも読んでたとか!
    びっくりです!
  • ただ巻き芳賀さんコメントありがとうございます!
    喜んでいただけたのなら嬉しいです。
    恥ずかしいながらも書いた甲斐がありました。
    とはいえ、このまますんなりいかないのがわたしであります。
    右へ左へ蛇行していくのです。
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