どうも、秋の夜長に脳内から溢れてくる変質者たちをムーンサルトで虐殺し、脳内世界の平和を保っている煎田です。もう、病院いったほうがいいかもしれませんね。
そんな煎田は、月刊アフタヌーンで連載している漫画「メダリスト」が激熱すぎて、一人悶えておりました。
アフタヌーンといえば、ヴィンランドサガ、ヒストリエ、宝石の国、おおきく振りかぶって、ブルーピリオドなど、そうそうたる面々が連載陣に名を連ねておりますが、その中でも、メダリストの熱さがヤバいです。
この「メダリスト」、女子フィギュアスケートを題材にしたスポーツ漫画で、まだ単行本1巻が発売されたばかりのフレッシュな連載作品なのですが、とにかく、作品のクオリティが半端じゃありません。
2巻の発売が待ちきれぬあまり、煎田は先月からアフタヌーン本誌を購入し、部屋で熟読しております。とにかく、最高なのですじゃ……。
(以下、ネタバレが含まれるのですじゃ。もみもみ)
ストーリーは、かつて経済的な理由などでフィギュア選手としての夢を断たれたフリーター青年の司(つかさ)が、並外れたスケートの才能を有する小学生少女いのりと出会い、彼女のコーチとして、二人三脚でフィギュアスケートのメダリストを目指していくという、王道スポーツ物語です。
設定的には特に奇をてらった感じでもないのですが、キャラクターの個性や台詞回し、ストーリー構成なんかが非常に巧みに練られており、読んでいて思わず引き込まれてしまいます。
まずなんといっても、ダブル主人公ポジションの司といのり。この二人の関係性、コーチと選手として構築される信頼感の描写が素晴らしい。
長年フィギュアスケートに憧れていたものの、引っ込み思案で勉強も苦手、学校生活を上手く送ることができないいのりは、お母さんからも「なにもできない子」扱いされ、どうせやっても上手くいかないからと、スケートを習うことを反対されていました。
ですが、独学で高水準のスケート技術を身に着け、フィギュアスケートに並々ならぬ執念を抱くいのりの情熱を感じ取った司は、かつてクラブに入るお金が無く、コーチに教えを乞うことができなかった過去の自分の姿を重ね、「自分がコーチになって、この子を育て上げてみせます!」と、超絶熱血な演説を行い、お母さんを説得してしまうのです。
「わたしは金メダルを獲れる人に、絶対なりたい」と懇願するいのりに「あなたを誰が見てもスケートの天才だって思わせるくらいの選手にする」と言い切る司は、マジ漢の中の漢です。いのりに与えるアドバイスもいちいち的確で、その真っ直ぐな言葉が心を打ちます。マジコーチの鑑です。
個人的に、司がいのりを「いのりさん」「あなた」と丁寧に呼ぶのが、子供ながら彼女を一人の選手としてリスペクトしている感じがして好きです。
いのりもいのりで、初めはただのコミュ障ミミズ少女かと思いきや、フィギュアに対する思いは本当に強く、「わたしにも誰にも負けないくらい好きなことがあるって、自分は恥ずかしくないって思いたい!」と涙ながらに訴えてきたりして、度々こちらの涙腺を崩壊させてくれます(泣)
その他、二人以外のキャラも、非常にいい味出しています。
ライバルキャラの天才少女光(ひかる)ちゃんは、裏表を感じさせない真っすぐな性格で好感が持てますし、生意気少女のミケ太郎はいちいち三河弁が可愛いし、ミケ太郎のコーチなっちんも、コミカルで大人げないキャラながら、コーチらしい一面もしっかり見せてくれます。
あと、司の経済面の恩人、加護親子。ほぼオマケ漫画だけの出番であのキャラの濃さは反則でしょ(笑)
また、作品の画力も高く、演技シーンの躍動感など、魅せるべき絵をしっかりと魅せ、カラーイラストも滅茶苦茶上手い一方で、ギャグシーンのデフォルメ絵なんかはいい感じに可愛らしかったり笑えたりと、絵の描き分けが見事。
作者のつるまいかだ先生、これがデビュー作ってマジなのでしょうか。
まだコミックスには収録されていませんが、いのりの初舞台、初級大会の回なんかもう、絵はもちろんのこと、ストーリーの起承転結も完璧で、鳥肌モノのクオリティでした。今月号の司の宣戦布告シーンも、滅茶苦茶熱かった。
いやほんと、末恐ろしい作品ですよ、メダリスト。
間違いなく、アフタヌーンのネクストブレイク大本命ですな、こりゃ。
今後もしばらく目が離せませんぞ、がちゃぴん!(唐突に現れるむっく)
秋の寒さに震えていたら、凄まじい熱量を得ることができて、感激の全裸煎田です。
パトラッシュ、疲れたかい? 僕はまだまだ、これからだよ……。なんだかとっても(身体が)熱いんだ……。
(こうしてアフタヌーンによって生きる活力を取り戻した、全裸のイリタ少年なのであった)